人生で1度だけ思い切ったことをしたからには――。現代女性の奥底に潜む毒を描く、刺激的で挑戦的な桐野文学の方向性を示す短篇集。
不倫相手と夏休み、キューバに旅立った女性教師を待ち受けていたのは非難の嵐だった。
表題作の他、女同士の旅で始まった生々しい性体験告白大会、若い女の登場に翻弄されるホームレスの男達、など七つの短篇を収録。
「直木賞受賞後に発表された七つの短編を収める本書は、桐野さんの新旧二つの作品世界に架けられた吊り橋のようなものといえようか」
(本書解説より)
解説・杉本章子
※この電子書籍は2005年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2015年10月19日
桐野夏生氏の短編集。失礼ながら、面白くなさそうと思いながら読み始めたのだが、非常に良かった。
一言で言うと、「エグい」。桐野氏の他の作品もそうだが、人間の裏の部分、つまり人が隠しておきたい部分が容赦なく抉り出され、「イテテ…もう勘弁して」と思いながら読むのが醍醐味。また、救いのない短編もあるが、なぜ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年02月02日
短篇集でどれをとっても面白い。どの話もいろんな意味で一線を超えちゃった人間が主人公で(この人の小説はみんなそうだ)、著者はその超える瞬間までも容赦なく激写する。『植林』『怪物たちの夜会』『愛ランド』『毒童』、いびつなタイトルのつけ方がまたいい。名は体を表してる。
いくつかの話のモティーフはその後の...続きを読む
Posted by ブクログ 2010年10月14日
一つ一つの物語が個性を持っていて、印象強く本当に面白かった。
特に『愛ランド』と『浮島の森』は面白い!!!
東京島のベースとなった本とされている『愛ランド』はエロいけど女の人が本当に隠している本性、本音、願望?みたいなのを言い当てて、登場人物たちだけではない『女』の姿を上手く表現できてた。
あと『浮...続きを読む