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これぞ桐野夏生の原点。江戸川乱歩賞受賞作!親友の耀子が、曰く付きの大金を持って失踪した。夫の自殺後、新宿の片隅で無為に暮らしていた村野ミロは、共謀を疑われ、彼女の行方を追う。女の脆さとしなやかさを描かせたら比肩なき著者のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞!
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Posted by ブクログ
新作「ダークネス」を契機に、ミロシリーズを読み返すべく、10年以上ぶりに本作を手にした。加齢によるボケのため、ストーリーをほぼ覚えておらず、新鮮な気持ちで読めたのは却ってラッキーだった。主人公ミロにしろ、それを描く作者にしろ、一筋縄では行かない、したたかな女性である。続けて第二弾に臨みたい。
ハードすぎないボイルドさの、女性版少し無骨ミステリーでした。もし映画化したとしたら、原作が女性だと思う人は、きっと少ないストーリー。 暴力的な中にも、女性の意地や、親友の彼氏に惹かれてゆく様子など、繊細で細やかな描写により、話にのめり込む事が出来ました。 ミステリーとしても、散りばめられた伏線をしっ...続きを読むかり回収し、最後の最後に全回収という、スッキリ読める作品だったと思います
村野ミロという魅力的なキャラクターを知り手に取った。携帯電話やインターネットは普及していなかった時代のミステリー小説として、当時の東京や世相を懐かしく味わえる。続編も順次読んでたい。
女性が主人公のハードボイルド小説。少し異色に感じるが、ヒロインは別れた夫と、その死をひきずる32歳の独身女性であり、並外れた美貌だとか屈強の身体能力を持つ訳でもなく、等身大のごくありふれた人物像だ。 しかし、ある日、忽然と姿を消した美貌の親友と、彼女と共に消えた大金を巡り、その恋人の男やヤクザに、あ...続きを読むらぬ疑いをかけられ追われる羽目になる。ただ追われるだけならよくある話だが、時に監視され、或いはこの追っ手と行動を共にしながら消えた女の行方を追う。 ヒロインの強い精神力や機転、失踪した親友の見えざる過去や倒錯した性癖、人脈などが明らかになるにつれ、事態は思わぬ結末を目指して疾走していく。 作者が表現する生々しい都会や異国描写、さらには全編を通じて描かれる「夜」や「雨」の情景を切り取った描写が好きです。 ミステリーとしては、最後の方まで疑問が解消されないモヤモヤ感があり、これが正に伏線となって、最後の最後でどんでん返しの結末を迎え、全てが白日の元に晒される(スカッと解消・伏線回収)という秀作でありました。 この種のジャンル好きには是非一読をお勧めします。
面白かった!長編ですが物語が進むにつれてどうなるの?と気になって気になってどんどんページをめくっていけたし、読んでる途中で眠くならない本でした。
最後までわからなかった 耀子さん本人はほとんど出てこないのに彼女を中心として話が進んでいくのがとても面白かった そして話の最初から最後で彼女に対する印象が大きく変わった 最後の一文まで見逃せなかった
20年以上前に読んで面白かったという記憶しか残っていなかったっけれど、やはり面白かった。桐野作品でも屈指の人気キャラクター「村野ミロ」のデビュー作です。 ゴシックミステリーの風合いも有って、気持ちの悪い面白さが好きな人は絶対好きだと思います。
デビュー作であり江戸川乱歩賞受賞作。女性探偵村野ミロシリーズ第一弾。以前父親が新宿で探偵事務所を開いていて、今はそこにミロが住んでいて父親はリタイア、別の場所に住んでいる。親友が4千7百万円と共に蒸発。それを探す羽目になる。 後半からのスピーディーな展開は面白かった。友人の仇取ってきっちりケジメつ...続きを読むけるミロがかっこよすぎる。 桐野夏生15冊目。やはり「らしさ」があって良かった。
この作品に出会えてよかった〜!しかもシリーズものとあって、今後の作品も読むのが楽しみです。 個人的にとても読みやすいミステリー。難しくないけど、真相には手が届きそうで届かない。読みすめていくごとに、主人公のミロと一緒に一歩ずつ犯人に近づいていく実感がドキドキしてたまらない。主人公もみんなキャラが立っ...続きを読むていて面白い。 元夫との間にあった確執や死の真相に謎が残るな〜と思ってたところに、シリーズ化されていると知って歓喜!早く読みたい〜!
1993年、「江戸川乱歩賞」を受賞した桐野夏生さんのミステリデビュー作。実はこの前に彼女は野原野枝実という名義で少女小説を幾つも書いて出版しているので、これが処女作とは言えない。 読み始めて、うわっ、これ面白い、すげえ、ヤバい。と焦るほどで、どんどんページをめくっていった。冒頭から実に巧みなスト...続きを読むーリーテリング。しかも、女性主人公のミロの微妙な心理などを繊細にリアルに描出しており、さすが桐野さんという感じだ。 近年の桐野さんの作品は描写の少ないスカスカの文体であることが多く、初期の『OUT』は逆にやや濃密な描写が重苦しい雰囲気を醸し出していたが、この作品の文体は「ちょうどよい」くらいだ。もちろん、プロット展開主体のエンターテイメント小説として。 心に深い傷を負った孤独な主人公や、次々と出てくる一癖ある人物の造形が魅力的でもあり、なかなか充実した小説となっている。 本作以降、ミロを主人公としたミステリを数作書いたが、その後の桐野さんはもはやどの分野の作家なのか把握しがたいほど多彩な、ボーダーレスな作品群を生んでゆく。本作で示したような孤独な心が深い狭隘から脱しようとする動き、他者との関係性の変転、そして女性の目から見たジェンダー的なるものの軋轢、などが桐野さんの大きな主要主題となっていくのだから、やはり本作は出発点と呼ぶにふさわしいかもしれない。 それにしても、読んで非常に面白い、楽しい小説だった。1日ちょっとで一気に読んでしまった。
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