奴隷小説

奴隷小説

620円 (税込)

3pt

どこにも、逃げられないよ──。

長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう、という掟のある村で、ある少女が結婚相手として選ばれる「雀」。
ある日突然、武装集団によって、泥に囲まれた島に拉致された女子高生たちを描いた「泥」。
アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿とは?(「神様男」)。
管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事し、時に動物より躊躇なく殺される。死と紙一重の鐘突き番にさせられた少年の運命は?(「山羊の目は空を青く映すか」)……など。

時代や場所にかかわらず、人間社会に現れる、さまざまな抑圧と奴隷状態。
それは「かつて」の「遠い場所」ではなく、「いま」「ここ」で起きている。
あなたもすでに、現代というディストピアの奴隷なのかもしれない――。
様々な囚われの姿を容赦なく描いた七つの物語。
桐野夏生の想像力と感応力が炸裂した異色短編集。

カバーイラストは、かわいさと残酷性を併せ持った作風で物議を醸すLA在住の画家、Luke ChuehのRough Waters。

解説・白井聡

※この電子書籍は2017年12月刊行の文春文庫を底本としています。

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奴隷小説 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2018年12月24日

    すっと書いてある分、そこらのちょっとしたエログロより大分きつかった。一話につき30ページでこれだけ伝えられる表現力。遙かなる高み。「神様男」が身近には一番辛い、私はこういう人達を知っている。

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    Posted by ブクログ 2024年01月21日

    7つの短編小説が収められた短編小説集。雑誌掲載の作品を集めたものであるが、発表時期は2006年から2014年の間でばらついている。何かに物理的に捉われていたり、あるいは、支配されている状況を描いた小説ばかりである。「奴隷小説」という短編小説集全体の題名も、そこから来ているのだろう。
    どれも、やり切れ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年02月08日

    文庫本になってから読む利点は解説があるから、それがいいのか、邪魔なのか。

    この文庫版の政治学者白井聡の解説は、なるほどなあと思う。桐野夏生さんの作品が現代の(平成の)新しいプロレタリア文学ではないか、というところはおもしろい。

    ここに集められている7短編は、何かに隷属させられて藻掻くか、打ち破れ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年02月20日

    大好きな作家様の短編集。
    そんじょそこらの胸糞を遥かに凌駕する素晴らしい胸糞で、むしろ清々しいくらい。
    どの話も救いはないが、どれもこれも嘘八百のファンタジーとも思えないのが心にキます。

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    Posted by ブクログ 2021年01月31日

    「雀」「泥」「神様男」「REAL」「ただセックスがしたいだけ」 「告白」「山羊の目は空を青く映すか」
    これら7編が収録されています。

    どの短編も日常と掛け離れた一種独特の世界が描かれていて桐野さんらしい「毒」が溢れた作品でした。

    現代を描いた「神様男」その他、場所や時代背景は異なるけれど皆...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年10月20日

    短編集だが内容はズシリと重いものばかり。一気読み。なぜか頭にこびりついて離れない。暗く陰湿な世界にどっぷりと浸って自分もなかなか這い上がれない。

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    Posted by ブクログ 2020年06月06日

    女性、低所得層、民族や人種。今もなお、目に見えないところで差別されている人々。
    BLMのプロテストが今行われている中でとても考えさせられた。誰しもが、フィジカル的にもメンタル的にも奴隷的に扱われていること扱っていることそしてその可能性があることに気づいているのかな。

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    Posted by ブクログ 2019年03月02日

    肉体的あるいは精神的に隷属状態に置かれた人々を描いた短篇集。

    とにかくぞくぞくしました。
    面白いと言うのは不謹慎かもしれないけど、こんな気持ちにさせてくれる桐野夏生という作家はやっぱり稀有な存在だと思います。

    さまざまな時代や設定の中で、奴隷として抑圧状態に置かれた人やその周囲の人を描いています...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年02月04日

    短編集ですが、楽しめました。
    設定が現代なのに、理不尽に人が連れ去られて殺されたりの話があったりして。
    非現実的ながらも「理不尽」「差別意識」などを考えさせられる斬新な内容です。

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    Posted by ブクログ 2022年09月18日

    タイトル通り、奴隷がテーマの短編集。
    どれも結末がわからないというか、これからもうひと山ありそうなところで終わるのが不気味。

    0

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