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Posted by ブクログ
すげえかった…一気に読み終わった今、頭がぐわんぐわんしている。
このあいだ読んだ、田中美津さんの「かけがえのない、大したことのない私」の中で本作品について言及しているところがあって興味を持った。自分はこの事件が起きたときしっかり小学生だったはずだけど、全然覚えていなかったので、事件自体は知っていたけど、もっと昔のことだと思っていた。97年、私の感覚では意外と最近だ。この作品の中では2000年になっている。
今、この年齢でこの本を読んだことにも宿命めいたものを感じる。私は30代なかばを過ぎていて、この4人とはほとんど同世代だ。そして私は最近、自分の目の下の濃くなってきたクマとか、昔より丸くなったなーと思う顔とか、笑っていないと自然と下がってくるほっぺたなんかを鏡の中で見つけては「あーあ」と思っていたのだ。自分から何かが失われていくようで怖かった。一言でいうと「若さ」のようなものだと思うのだけど、でもそれだけじゃない気がする。「若く見えるね」とか、本当に時々だけど「きれいだね」と言ってもらえる自分とか、鏡をみて今日はいい感じだなと張り切れる自分とか。それはルッキズムと呼ばれるものなのかもしれない。自分はそんなものには踊らされないと思っていたけど、この本を読んでいて、私の中にも和恵がいることをはっきりと悟った。そしてそれがきっと、私一人の目じゃなくていわゆる「世間」「社会」の目も一緒になってつくっている和恵なのだと思った。
なんて生きづらい世の中なんだろう。そんなこと気にしなければいいだけだから、その生きづらさは結局自分がつくっているといえばそうなんだろうけど、でも、じゃあそれって自己責任だと言われると反論したくなる気持ちもある。あんたが弱いだけだと言われたら、強さを求めてくる社会ってなんなんだと机をバーンッと叩きたい気持ちになる。
自分だけに集中して、自由になることが、どうしてこんなに難しい世界なんだろう、人間なんだろう。誰のせいでもない自分のせいなのに、自分のせいだけにはしたくない気持ちがまだある。
とにかくすごい本だった。桐野夏生さんの本は、なんとなくそのイメージから怖くて今まであまり手を出してこなかったのだけど、それはあたっていた。こわい。そして読み切るのにすごく体力と気力がいる。それから一気読みできる時間も必要だ。
たくさんの女の人が、たくさん大変な目に遭って、たくさん辛い思いをして、それで今私たちの手に「幸福だ」と思えるいくつかの瞬間があることを、忘れてはいけないと思った。和恵たちがいなければ、今のこの不完全な自由ですら感じられれている私はいなかったかもしれないのだ。
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小説・文芸
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