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Posted by ブクログ
山本文緒さんの作品が好きで小説は今まで何冊か読んだが、エッセイは初めて読んだ。
10年間のエッセイということでとてもボリュームがあり、読むのには時間がかかったが、お気に入りの章は何度か読み返したくなる。
このエッセイを読んでいると、他の小説の設定や内容にも、著者の経験や思考が色濃く反映されているのだなと、関連性が見えて面白かった。
何気ない日常や恋愛についてなど、大事件が起こるわけではないのだが、山本文緒さんの独特な視点での分析や考えが淡々と語られていて、思わず共感してしまうような喩えや表現がたくさんあった。
(著者は)人の心の動きが好きだ というような記載があった。まさにそういった人の心の動きを、小説等を通して描かれてきたのだと思ったし、この点を心に留めて、小説を再読するのも面白そうだと思った。
「愛しているとは、憎んでもいるともいうことだ。」
「憎んでいるということは、愛してもいるということだ。」
このような表現を、このエッセイでも小説でも目にした。
いずれも大きく心が動く行為である一方、対極の意味であるとしか今までは考えたこともなかったが、すごく山本文緒さん節であると思うし、物事や人の感情は多面的で、単純に切り分けることはできないこともたくさんあるのだと感じた。
相反する気持ちを同時に持ったり、人間は矛盾したまま存在しているということが印象に残った。
また、 「向上心を持たないといけないと誰が決めたのか」のように、一般的に良いと信じられている点についても、本当にそれだけが正しいのか?自分にとっての幸せは何か?を考えさせてくれるとともに、例えば気持ちが弱っている時には、そこに寄り添ってくれる著者の優しい言葉がたくさんあった。
Posted by ブクログ
31才から41才になるまでの10年間のエッセイ。離婚したばかりで仕事もお金もほとんどなかった頃から再婚、直木賞受賞まで。丁度「恋愛中毒」「プラナリア」を執筆した時期でもある。
前半は30代独身女性向け雑誌Domaniのエッセイが中心。
後半は、色々な媒体で綴られた日常の一コマ、20代の私、日々思うことがまとめられている。
彼女の作品を貪り読んでいた20代後半の私。田舎から関東の大学に出て、紆余曲折あって東京に戻り一人暮らししていた頃。
朝起きて仕事に行き、小さなアパートに疲れ果ててもどる。そんな生活の中で、彼女の小説は、抱えていた苦しさを代弁してくれる理解者で、目に映るごく普通の風景や日常を彩ってくれた。
あの頃、筆者である彼女は30代後半だったのだ。
前半部の男だの女だののエッセイは正直、もはやどうでもいい。それは、エッセイには心に染みるタイミングがあるからなんだと思う。
後半部はやっぱり面白かった。端的に本質を突く表現はさすが。「家庭は人格工場だから..」とか、さりげない一言に、あ〜、メモ!という気持ちにさせられる。
時を経て、私の経験値も上がり、心の筋肉も体力もついた今、本書の中のこの言葉を誰かに伝える機会があればいいな、と思う。
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物事の解決法が分からない、ということは、つまりまだ解決する力がないということだ。判断力というのは体力と同じで時間をかけて地道に作り上げていくしかないのだと思う。
そう、今は苦しくても、少しずつ経験値を上げていけば力はつくんだよ。きっと楽になる。
Posted by ブクログ
山本文緒のエッセイ集。
人生の最悪な時期に「この方が唯一の理解者なのだ」と思い込み、貪り読んでたものだ。
社会復帰(?)以降ご無沙汰していたら、今度は山本文緒が心の病を患っていたとのこと。
山本文緒の小説ばかり読んでいた時は人生観的な事が好きだったけど、時代が変わると別な見方もできるようになってくる。
私は恋愛マスターでもなければ女性友達が多い訳でもない。
そもそも既婚者だし。
でも、このエッセイ集の中の「男女恋愛観の違い」のような価値観に共鳴した。
「女性に浮気は出来ない!」という「本気の不倫」VS「気楽な浮気」というエッセイは特に面白かった。
別に差別している訳ではなく(著者は女性だし)、女性は既婚未婚、恋人の単数・複数問わず、全て本気で付き合うから、浮気は出来ない。
それに対し男性は「家庭を守る」前提のうえでの「楽しい」浮気をする。
女性がより本気になると男性は逃げに入るが、情が湧いてしまい両者共にスパッとは別れられない。
結果として既婚女性と独身男性、既婚者同士の不倫は少ないのではないか、という山本文緒の仮説に、うんうんと頷けてしまいました。
男性ながら。。。
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小説・文芸
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