あらすじ
31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい──。離婚して仕事もお金もなく、実家に寄生するしかなかった31歳。直木賞を目標にかかげて、胃痛に苦しみながらも、必死で作品を生み出しつづけた30代中盤。念願の直木賞を受賞した38歳。ずっと一人で生きていくと思っていた矢先の、39歳での再婚。幸せな生活のはずが、うつ病で入院してしまった40歳。絶品の恋愛小説で読者の心をゆさぶる著者も、様々な葛藤を抱えながら生きてきた。心に沁みるエッセイ集。
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文緒さんも葛藤しながら、悩みながら、もがきながら生きてるんだなぁと思った。
こうした想いがあるからこそ、心に響く数々の作品を生み出すことができたんだろうな。
厳しいながらもどこか愛情を感じる文章で「今の生き方でいい、自分で選択した道を信じて進めばいい」と希望と自信を持たせてくれる人間くさい山本文緒さんの作品がわたしは大好きだ。
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エッセイ。
普段エッセイはあまり読まないけど、
山本文緒がデビュー〜現在(執筆当時)まで
ぎゅぎゅっと凝縮されている本であり、
等身大な感じがすごくおもしろい。
魅力的な人(人間として)なんだな〜と思いました。
エッセイ読まない上に、読んでも読み返すことはないんだけど
これだけはけっこー読み返しました。
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随分前のエッセイなので時代を感じるものも多い。
花には水を。私に恋を。が好き。私もどこでも好きな人を見つける、順番はつけないけど…
置かれた場所で咲きなさい、的にその場所で好きな人をほぼ見つける。恋愛スコープ活躍しすぎ、けどモテませんね…若かりし頃の山本文緒、面白かった。
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31才から41才になるまでの10年間のエッセイ。離婚したばかりで仕事もお金もほとんどなかった頃から再婚、直木賞受賞まで。丁度「恋愛中毒」「プラナリア」を執筆した時期でもある。
前半は30代独身女性向け雑誌Domaniのエッセイが中心。
後半は、色々な媒体で綴られた日常の一コマ、20代の私、日々思うことがまとめられている。
彼女の作品を貪り読んでいた20代後半の私。田舎から関東の大学に出て、紆余曲折あって東京に戻り一人暮らししていた頃。
朝起きて仕事に行き、小さなアパートに疲れ果ててもどる。そんな生活の中で、彼女の小説は、抱えていた苦しさを代弁してくれる理解者で、目に映るごく普通の風景や日常を彩ってくれた。
あの頃、筆者である彼女は30代後半だったのだ。
前半部の男だの女だののエッセイは正直、もはやどうでもいい。それは、エッセイには心に染みるタイミングがあるからなんだと思う。
後半部はやっぱり面白かった。端的に本質を突く表現はさすが。「家庭は人格工場だから..」とか、さりげない一言に、あ〜、メモ!という気持ちにさせられる。
時を経て、私の経験値も上がり、心の筋肉も体力もついた今、本書の中のこの言葉を誰かに伝える機会があればいいな、と思う。
ーーーーー
物事の解決法が分からない、ということは、つまりまだ解決する力がないということだ。判断力というのは体力と同じで時間をかけて地道に作り上げていくしかないのだと思う。
そう、今は苦しくても、少しずつ経験値を上げていけば力はつくんだよ。きっと楽になる。
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興味のこと、日常の生活範囲のこと、人付き合いのこと、1人が苦でなく好きなこと。
この時期の筆者さんと年齢が近いからか、とても共感がわいてきた。
(もちろん、異性との話など、共感できない部分もあったけれど。)
恥ずかしながら、本業の小説の方は読んだことがないので、これを機に読んでみようかなと思う。
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山本さんの作品は、昔、たくさん読んだ。
以前にもエッセイの本を読んだことがあって、その時は、作品は好きだけれど、本音の部分はちょっと・・・と思った。
しかし、この本は“あるあるある”の連打。
『プラナリア』のイメージが、結局は一番ご本人に近いのかな?と思いました。
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山本文緒さんのエッセイ集です。
色々な雑誌に掲載されたものをまとめた一冊。
今まで以上に山本さんがすきになりました。
こういうことを教えてくれるお姉さんがいたら
すてきだと思います。
一人暮らしについの記述が数ヶ所あるのですが
それらにとても共感しました。
私もいずれ家族を失う。
その時に取り乱さないために
離れて暮らすことによって予め失っておきたい、
それが本音かもしれない
一人暮らしが金銭的にも精神的にも大変たなのは
事実であると思う。けれど、それだけの価値はある。
とにかく精神的にもどうのこうのというより
私がその最初の一人暮らしで得たものは
「自分が月にいくらあれば生きていけるのか」
という明確なラインだった。
何気ない一文にはっとさせられる一冊でした。
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山本文緒のエッセイ集。
人生の最悪な時期に「この方が唯一の理解者なのだ」と思い込み、貪り読んでたものだ。
社会復帰(?)以降ご無沙汰していたら、今度は山本文緒が心の病を患っていたとのこと。
山本文緒の小説ばかり読んでいた時は人生観的な事が好きだったけど、時代が変わると別な見方もできるようになってくる。
私は恋愛マスターでもなければ女性友達が多い訳でもない。
そもそも既婚者だし。
でも、このエッセイ集の中の「男女恋愛観の違い」のような価値観に共鳴した。
「女性に浮気は出来ない!」という「本気の不倫」VS「気楽な浮気」というエッセイは特に面白かった。
別に差別している訳ではなく(著者は女性だし)、女性は既婚未婚、恋人の単数・複数問わず、全て本気で付き合うから、浮気は出来ない。
それに対し男性は「家庭を守る」前提のうえでの「楽しい」浮気をする。
女性がより本気になると男性は逃げに入るが、情が湧いてしまい両者共にスパッとは別れられない。
結果として既婚女性と独身男性、既婚者同士の不倫は少ないのではないか、という山本文緒の仮説に、うんうんと頷けてしまいました。
男性ながら。。。
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作者の31歳から41歳までのエッセイをまとめた一冊。
作者の周りの環境の変化と共に変わる気持ちの変化や、時を越えても変わらない想いなどが分かる。特に、「ここに一人でいる理由」と「贅沢な助手席」が今の自分に共感できた。
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山本さんの31歳から41歳のさまざまなエッセイが収録されています。年齢的に自分と近いので読みながら色々感じました。好きな文章です。すごく共感する部分もあり、まったく違う部分もあり、ですが。「天気予報の時間になるとテレビをつける(しかも平井さんの)」のが嬉しかった!そんな人私(と家族)以外にもいるのね、と。その前にうつ病の話(「再婚生活 私のうつ病闘病日記」)を読んでいたので背景もわかって尚理解が深まる感じ。
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山本文緒さんのエッセイ。
山本さんの本は全部読んでるかもってくらい一時期読んでた。
エッセイも楽しいです。
考え方や伝え方がとてもおもしろくて私は好き。
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いろんな媒体に掲載されたエッセイ集なので
対象媒体によって文体の温度感が違う。
なのでアップダウンは激しめ。
人の葛藤を知る由がないので
赤裸々な本書は興味深い。
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5月に読書をする時間がなかったせいか
読書欲が止まりません。
山本文緒の小説って、
どこか暗くて病んでる雰囲気があまり好きじゃなかった。
それでもけっこう読んでいるのは、姉が好きだから。
私の姉はけっこう読書家で、わりと趣味も合う。
山本文緒も自分では買いたくないけど読みたい。
この本は、今山本作品を読み直したら好きと思うかもしれない、
と思わされる面白い人柄がにじみ出るエッセイ集。
なんとうか…性格がキツい!全然いい人じゃない!
だけど正しい感じが、巷に蔓延する「私ってばハッピーなの~」的
うんざり女性エッセイ(あんま読んでないのに偏見だらけですみません。)とは違う、
爽快感のようなものがあった。
不幸のどこが悪いのかとか書いていて、ぷっ達観してるなって。
彼女のそういうクールなところが好きだと感じた。
自分の親や友達(と思ってた人)をぶった切るところとか
あんまり女性はしないよね。でも、すごくわかる。
ライフスタイルの地味さも共感とあこがれを覚えたし(笑)。
どこか暗い語り口調も無個性のようで個性的。
淡々と、ぼんやりと、鋭くして、刺す。
31歳で離婚してから再婚するまでの10年間に、
いろんな雑誌に寄稿したエッセイの寄せ集めではあるので、
一気読みはキツかった。が、なんか気になって一気読みしてしまった。
直木賞受賞のくだりでは、自分を卑下しつつも、
書くぞ、読ませるぞという決意やパワーを感じましたよ。
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『いやなものはいや』で古い友人に対して『もう電話しないでくれる?』と言った山本さんがすごく羨ましく思えた。
私は人を誘うばかりで誘われるという事がほとんど無く、時々誘ってもらえると舞い上がってはい、よろこんで!と返事してしまう。例え相手が苦手だと意識している人であってもだ。
そして返事した後に少し後悔し、いざ会ってみると様々な毒をぶつけられて会うんじゃなかったと大いに後悔する。
気持ちを切り替えようにも会うと返事してしまった自分が悪いと思ってスムーズに切り替えができない。
『だから私はなるべく気が進まないことはやらないようにしている。厭なことは厭だというのが、他人や自分に対する礼儀のような気がしているのだ』
誘われるのは嬉しいけど、会った時にどんな気分になるかを冷静に考えて、厭な気分になると判断したら潔く断ろう。
自分だけじゃなく相手への礼儀にもなるなら。
Posted by ブクログ
人の心の動きを愛してる、とあったけど、自分の心の動きもすごく丁寧に観察してる人だなぁと思った。
作家を目指した動機とか、直木賞候補になりたかったの件りとか、リアリティ感じたなぁ。
Posted by ブクログ
山本文緒さんのエッセイ。
やっぱり自分と性格にてるわーーーってのが多い。
暴飲くらいかなあたししないの。てかできない。
でもとてもいいことだからこそある。
親が死ぬという状況にあらかじめ慣れる為に独り暮らしと言う考え方。そして、日本人はもともと狩猟民族ではなく農耕民族(でも私は狩猟・・・って思う)ゆっくり種をまいてじっくり育てればいいと思う。
人生には成功と失敗の2種類しかないのではない。あやふやでいい。なぜなら、物事を決め付けたい時は心が弱っている時なのだ。こうしなくっちゃ、と思いつめた時こそ無理にでもお休みをとることをおすすめしたい。