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一緒に暮らして十年、小綺麗なマンションに住み、互いの生活に干渉せず、家計も完全に別々、という夫と妻。傍目には羨ましがられるような二人の関係は、夫の何気ない一言で裂けた。一緒にいるのに満たされない、変化のない日常になってしまった結婚のやるせなさ、微かな絆に求めてしまう、そら恐ろしさ。表題作「紙婚式」ほか、結婚のなかで手さぐりあう男女の繊細な心の彩を描いた、直木賞作家の珠玉の短編集。
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Posted by ブクログ
最初に読んだのは、20代前半。結婚なんて遠い先のこと、と思っていたとき。 山本文緒さんの作品に初めて出会ったのがこの短編集。 全体的に重く、閉塞感のある物語だが、この感じが好きで何度も読み返した。 表題作の「紙婚式」のラスト、「手をつなぎ続けることはこんなにも困難で、断ち切ってしまう方が百倍もやさし...続きを読むい。」この一文が10年前にも心に響き、結婚した今さらに身に染みて感じている。
夫婦、という関係性はとても難しい、と常々感じる。 人のこころはとても移ろいやすく、共に生活する中で見せたくない部分もさらけ出しながら、良好な関係を築くのは相当努力が必要だと思う。 この本の二人は8つの話すべてに子供がいないことが共通項。子供という強烈な嵐はものすごく覚悟が必要だけど、家族になるた...続きを読むめの重要なトリガーになりうるのかもな、と思ってしまった。 子供がいると人間が苦手な”停滞”の状況は良くも悪くも無くなってしまうから。 そんな風に親に依存されるのは実体験からものすごーーーーく嫌だけど。 命ほど重いものを抱えないと、他人と交わり、尊重し、手を取り続けるなんてできないのかも。 紙婚式の「夫は既に私の一部である。ー 淋しさを紛らわしてくれるのは 他人 であることを私は知った」がすごく印象に残った。
大恋愛の末結婚したわけでもなく、激しく憎しみあって別れたわけでもない。そんな夫婦像がリアルに感じる。 ただ結婚したら専業主婦になって家を守るという概念が今や古く感じる。
結婚生活における男女の心の葛藤を描いた八編の短編集。僕にとっては二冊目の山本文緒作品読書となりました。 この本の感想を書く前に、白状しておきます。僕のファースト山本文緒作品は「パイナップルの彼方」。 林真理子の小説に寄稿されていた著者の解説に接したのが切っ掛けでした。読んだ直後は、自分の感情を言葉...続きを読むに出来なかったのですが、今は出来ます。不愉快でした(笑)。 当時記した「パイナップルの彼方」の読書日記を読み返すと、苦し紛れです(汗)説教してるし(俺)。ハードボイルドとか書いているし……。 ハードボイルドは「固ゆで(卵)」。中身が見えません。外面描写に徹した小説の手法です。 「パイナップルの彼方」 は、心理描写盛りだくさんで、主人公が自分の感情をよく語ります。もちろん、ハードボイルドではありません。 が、しかし。一人称で書かれたこの小説は、主人公の主観に徹していて、著者の、主人公の言動に対する、評価が一切排除されています。友達の結婚や、転職に対する主人公の感情は描かれているのですけれども、著者がどのように考えているかは全く解りません。これがハードボイルド・テイスト(?)を醸し出しているのかも。と思うに至り、他の小説も読みたくなりました。 最新の文庫「紙婚式」は結婚生活における男女の心の葛藤を描いた八編の短編小説集でした。全て主人公の一人称で語られる物語です。各編のタイトルと「一人称」と性別を記してみます。 1. 土下座「僕」男 2. 子宝「私」女 3. おしどり「私」女 4. 貞淑「俺」男 5. ますお「私」女 6. バツイチ「僕」男 7. 秋茄子「私」女 8. 紙婚式「私」女 やはり著者の評価なり、感想なりが一切排除されつつ語られる感情の葛藤は、一種サイコ・ホラー。 怖いあまりに、他人事として「夫婦喧嘩は犬も食わねぇ」と一蹴にしてしまいたくなる気分がなきにしもあらず、でした。 それは、他人には解らない男と女の閉じられた空間であり、人に話したところで、愚痴と受け取られ 「聴いてあげているのよ。」 という顔をされるの落ちになる物語であり、人から聴かされても頷くことしか出来ないのが目に見えている物語です。 ですが、そういう物語であるからこそ、本人にとってはせっぱ詰まった問題であり、語られる事を望まれている物語だと思うのが僕の感想でした。 その後の二人を知りたい欲望が満たされないまま、各々の物語は終わってしまうので、その後の物語は自分で想像するしかありません。 「どうなるのだろう。」 この想像は、自分のケーススタディーとなって、読者自身の物語に引き継がれます。
解説のすべてに共感をしてしまった また名前のつけられない感情に「 知ってる! 」と思わされ、山本さんの作品を読んだな〜という気持ちに 表題作である紙婚式とおしどりは痛いほど共感しつつ、わたしの苦手なコミュニケーションの領域を言い当てられたかのような物語で恥ずかしくもなったし、大人になっても、結婚す...続きを読むるまでの関係を育てても、人間関係に思い悩むのだと安心に似たような気持ちもしました 恋愛関係に限らず、相手が愛だと認識できる形で愛を渡すって難しいことだな〜と感じます そういう意味では秋茄子がとくによかった、わたしもだいじな場面で向き合える強さを育てたい
23年前、初めて山本文緒さんと出会った本です。 紙婚式をちょうど迎えていたので手にとって中身も確かめず購入してしまった。。。
たしかだいぶ前に一度読んだ気がするけれどその時は恐らくまだ独身でこんな世界もあるんだなーとどこか他人事だった。今読むとなかなか頷けるエピソードが目白押しで、いろんな夫婦の形があり、結婚がゴールではなくその後続けていくことの難しさを実感させられる。
この短編集のテーマは夫婦。『貞淑』と『ますお』に衝撃を受け、『土下座』に心を乱される。相変わらず著者らしい作品ばかり。心臓に爪を立てられるような感覚が病みつきになる。まったく身近にいなさそうな夫婦関係が多いのに、不思議とリアリティを感じる。『子宝』は共感はしないが、何となく鈴子の気持ちが理解できる...続きを読む。気を遣いすぎても、遣わなさすぎてもダメ。夫婦の距離感は夫婦の数だけあり、自分たちの正解を死ぬまでに見つけていくのが連れ添うということなのかしら。
結婚にまつわる短編集。 なんだか読んだ後じんわり切なくなるような話が多くて、さすが山本文緒さんといった感じ。 「紙婚式」が1番好きかな。 結婚には色々な形があって、同じ価値観を持った同士でないとだめな部分があるけど、どこまでお互い譲歩できるかが大事なんだな…と思った。
夫婦にまつわる8作の短編集 外から見たら表面上は円満な夫婦でも、闇の部分が隠れているという物語が多め 15年くらい前に読んだのを再読 当時とは私の状況が一周して大きく変わったわけで、物語の理解度や解像度が高まっていた ・土下座 結婚してから夜の生活を断るようになってきた妻 それに対して自分も求...続きを読むめなくなった夫 そんな夫に、妻は自分から誘うような素振りを見せてくる 普段はニコニコとしているように見えて、実は料理はとんでもないものを出してくる 成人式のときに居酒屋で振り袖にキムチを落としてしまったときでも怒らなかった妻 その時にしたのが土下座の一回目 二回目はプロポーズのとき そして、三回目は…… ・子宝 政略結婚のような結婚をしたお嬢様育ちの妻 夫は何かにつけて妻の世間知らずなところを揶揄してくる そんな夫は愛人とその子供がいる キーアイテムは「毛ガニ」でしょうかw まぁ、生き物って食べるにしろ育てるにしろ大変ですよねー ・おしどり 夫婦円満で何の問題もなさそうな兄夫婦 恋愛関係のトラブルで、そんな兄夫婦の家でしばらく過ごす事になった妹 お互いを想い合いう理想的な夫婦に見えたが、兄嫁が突然の家出 兄夫婦が表には出していない事情 ・貞淑 行為の最中に、知らない男の名前を口にした妻 夫は不貞を疑い、相手は誰かと詮索したら、その男は人気芸能人 実際に不倫をしていたわけではない事に夫は安堵するが それでも残り続ける不快感 ・ますお 母親と同じマンションの違う部屋に住む夫婦 夫は姑との関係も良好 しかし、夫の行動には不審なものがあり 最後に明かされる夫の真意 ・バツイチ お互いに離婚経験のある男女 ペットショップで知り合った男女の再生の物語 子供という存在 人によっては救いだけど、時と場合によっては重い枷にしかならない事もあるよね…… ただ、終わり方は希望がゼロではない感じでよい ・秋茄子 二世帯住宅だが、義父母とはまったく交流のない夫婦 休日にも活動的で色々なところに一緒に行きたがる夫 義母からは嫌われているかもしれないと悩む妻 義父母と夫は、何故二世帯住宅に誘ってきたのか? 秋茄子のぬか漬けを義母に持っていったところ、足を捻挫したという 何かと世話を焼こうとするが、義母は遠慮するばかり 体調が悪い妻を気遣うことがなく、はては家に帰ってこなくなる始末 そんな一見したら離婚目前のような関係の夫の家族の隠されていたものとは…… ・紙婚式 お互いに干渉しない、依存しあわない関係で10年続けてきた事実婚 夫の一言で、その関係が崩れる時が来る そんな二人の新たな関係性 全体を通して、夫婦という関係性のダークな部分が描かれている 冒頭に書いた通り、以前よりも物語の理解度は深くなった 以前はただ「結婚なんてするもんじゃねぇな」と思ったけど 改めて読んでみると、経験者だからこそわかる心の動きがある もしかして、山本文緒さんも同じような経験をしたからこそ書いた作品だろうか? そして、最後の3つ、バツイチ、秋茄子、紙婚式は終わり方にどこか救いや希望が見え隠れしている 短編小説の並び順としては、前半に表題作や評価の高いものが配置されがちだけど この3つを後ろに持ってきたというあたりに、結婚は色々とダークな面があるものの、捨てたもんではないというメッセージ性を感じる
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