ガンズ・アンド・ローゼスに心酔した中学生ガクは、親友マロと幼なじみリリイとバンドを始める。そしてギブソンのフライングVを持っていてギターがうまいと噂の問題児かけるを、バンドに誘うのだった。
昭和の終わりの頃の中学生の青春。めちゃくちゃでアホでどうしようもないけど精一杯がんばる日々。けんかして、意気
...続きを読む投合して、思いやって、仲間になっていく。
いつも一緒にいて、自分のことを自分以上に知っていて、当たり前だと思っていたふたりの関係が変わる時。
ガクの視点とリリイの視点が交互に現われ、同じものを見て同じものを聴いて同じ場所にいるけど、二人の視点が交差することでしか見えないものがある。
音のない小説で音楽を書くこと。音のない小説だから書ける音楽。
それぞれの音はいい感じなのに、合わさった時にギクシャクしてしまう。自分の音だけを聴いていたらいけない、相手の音を聴くことにより、相手と合わせることができる。一度合わせられれば、もう聴こえなくても聴こえている。仲間の音と自分の音が重なり音楽になる。
好きな気持ちで心が一杯になる。そんな青春小説でした。