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30歳の誕生日に、妻と離婚する予定の敦。暑いさなか、自動販売機に飲料缶を補充する仕事に回る車内で、同僚のシングルマザー・水城さんに、敦は結婚生活の顛末を尋ねられるまま語りはじめる…。ほんの僅かずつ掛け違っていく夫婦を描いた、第135回芥川賞受賞の表題作。ほか、働く男女の暮らしを淡々と描き出す「貝からみる風景」、妊娠中の娘が実家に戻ってきたのを機に煙草との離脱を決意した男の進行形禁煙小説「安定期つれづれ」を収録。
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Posted by ブクログ
ああ、わかるなあ、ほんと、結婚生活ってこういうところあるよなあ…・・と、少しずつ、大切に文章を拾っていきながら読みました。
初めの一つからずれて置かれた上に、積み木を積み上げていくような結婚生活。グラグラと揺れながら積み上がっていく危うさ。初めから積み直せばいいのに、もう、面倒臭くてそれも出来ず、最後は崩れるしかない。その一つを置くのが自分なのか相手なのか。
些細なことが重なって、本当に一つ一つは些細なことなのに、それがどんどん我慢出来なくなっていく。小さなことに拘って後に引けなくて、馬鹿みたいに譲れなくなってしまう様は、哀しくて、滑稽で、静かに痛かったです。
話をしようと座れと促すのに、頑なに座ろうとせず、ドアノブにしがみつくのを必死に引きはがして争うあたりは可笑しいのに哀しいし、最後のデートで二人で思い出の場所を巡りながら、お互いの嫌だったところを論う場面では微笑ましくさえ感じて、自分も大概な性格をしているな、と思いました。
静かに壊れていくのをどうしようもなく感じながら歩いて行く。最後の五行が秀逸でした。この五行で、この作品がとても好きになりました。
Posted by ブクログ
2006年上半期の芥川賞受賞作。
夫婦の苛立ち、すれ違いが生々しく描かれる中、自販機の補充という、あまり意識されない地味な作業と交互に織り込まれて行く「八月の路上に捨てる」。その対比が人の営みを感じさせる。
「貝からみる風景」は風に揺れるカーテンの中が、貝の中にいるようだと、柔らかく暖かい話。
「安定期つれづれ」では禁煙を決断した定年後の主人公が、娘の妊娠から、妻、娘と向かいあっていく(あまりできていないが)話。「夫婦には安定期なんてないのかもしれない,」
どこか生々しく生活苦みたいなものが感じられる3作品だが、「それが人間。前に進まなきゃならんよ。」と、言われたような良い本だった。
Posted by ブクログ
大きな出来事は起こらない、淡々とした日常だけれどじわじわ面白かったです。
3篇とも、入り込み過ぎないし離れすぎないでいて絶妙でした。初めから離れている、表題作の明日離婚する夫婦は置いといて…人と暮らすのって難しいなと思いました。「何もかも本気だったのだ」、しみじみわかります。誰からも理解されなくても、間違ってなかったって思っていたいあれこれ、ある。
長年連れ添ってたら乗り越えられることもあるかもしれないけれど、かといってそれまで待つ気力も体力も残ってない関係も確かにあると思うので。
解説が津村記久子さんで、なんか同じ空気を感じる作家さんがいた気が…津村さんか!となりました。解説の冒頭で、津村さんの小説があんな感じになる理由が垣間見えた気がします。淡々とじわじわ退屈しない同じ空気でも、女性作家さんと男性作家さんの描かれる心情はやっぱり違うなぁ興味深いな、となるので伊藤さんも読んでいこうと思いました。
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