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Posted by ブクログ
城山三郎による、石坂泰三の生涯を描いた長編小説。
石坂泰三・・・第一生命、東芝社長を歴任後、高度成長期に長年、経団連会長を務め、“日本の陰の総理”、“財界総理”とうたわれた、気骨ある財界人。
もともとは、土光敏夫の本を何冊か読んでいるうちに、
土光氏が影響を受け、色々教えられた先達として石坂が語られているため、
読んでみた。
土光は、清貧・実直でいくならば、
石坂は、自由奔放・豪放磊落。
しかし、二人揃って、筋を通し、言行一致の人であり、
栄誉や権力・お金を全く求めないところなど、
生き方がとても似ている。
土光との比較で読んでみると、
経営者、あるいは人としての生き方の一つの指標を得られると思われる。
個人的には土光のような聖人的な生き方が好きだが、
石坂は、土光よりも俗っぽい部分があり、
また自身は、自由で縛られるものがないために、生き方に窮屈さが感じられない。
土光が、家に閉じこもって、慎ましく暮らしている一方で、
石坂は、どんどん外出し、ゴルフもする。読書もし、海外旅行もする。
ただ、ともに無私であり、国家大計のために行動し、
また、知的好奇心にいつまでも溢れているところが魅力的である。
更に本書では、雪子夫人に対する石坂の想いが多く書かれている。
次男を戦争で亡くし、また夫人を早くに亡くし、
その二人に対する想いを詩にし、切々と綴られている。
土光の場合でもそうだが、
大業を成し遂げた人には須くその後顧を支える女性や家族がいる。
また、大業を成し遂げる一方で、その人たちに対する愛情がある。
そういう部分についても、改めて気づかせてくれた。
330ページ超とやや長めだが、
石坂の人生について、様々な視点から描かれており、充実感のある読み応えである。
良書。
Posted by ブクログ
第一生命社長、東芝社長、経団連会長、大阪万博会長 等 を務め、
財界総理と言われた石坂泰三の生涯。
教養が深すぎる。
英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語ができ、
俳句や短歌にも詳しく(万葉集が愛読書)、
書や焼き物も趣味で、哲学にも精通。
バラエティ番組を見て日本の将来を嘆いていたりもしており、
テレビ見て笑ってる場合ではないと反省。
とにかくスケールの大きな人。
高度経済成長期で、のびしろが大きかった時代なので今とは背景が全然違うとは思うが。
部下で、朝7時から出勤し、夜7~8時まで働き、土日も休んだことがない、という人が出てきた…
働き過ぎでしょ…
Posted by ブクログ
石坂泰三の伝記。石坂泰三は、戦前・戦後にかけて活躍した経済人である。その主な経歴を記すと以下の通りだ。
1886年 誕生。1886年は明治19年
1911年 東京帝国大学卒業→逓信省入省
1915年 逓信省を退官し第一生命に入社
1938年 第一生命社長就任(52歳)
1947年 第一生命社長辞任(61歳)
1948年 東芝取締役就任(62歳)
1949年 東芝社長就任(63歳)
1956年 経団連会長就任(70歳)
1965年 日本万国博覧会協会会長就任(79歳)
1968年 経団連会長退任(82歳)
1975年 逝去(88歳)
石坂泰三の活躍は、東芝社長時代の労働争議対応、12年に渡る経団連会長としてのもの、大阪万博を成功に導いた万博協会長時代のもの等が知られているが、一目で分かる通り、かなり歳をとってからの功績である。第一生命社長を退いてからしばらくは、いわゆる「浪人時代」があり、縁あって東芝の取締役・社長に就かなければ、そのまま終わっていた可能性もあり、典型的な大器晩成型のキャリアである。
また、石坂泰三のもう一つの特徴と思えるところは、トップになってその実力を発揮するという部分だ。東芝には社外役員として関わり、その後にトップに就いている。経団連、万博協会長には、初めからトップとして(あるいはトップ候補として)関わりを持っている。日本の企業トップで有名な方は、創業社長あるいは内部昇格された方が多い中で、やや異質な特徴を持っていたのではないかと感じた。
城山三郎の作であり、取材は行き届いているし、また、物語の構成も文句なく、楽しく読んだが、私としては、「何故高齢になって活躍できたのか」「何故トップとして、より力を発揮したのか」について、もう少し触れて欲しかったな、と感じた。
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