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Posted by ブクログ
思い出して、思い出して、忘れて行くこともある──
釧路で書道教室を営む夏紀は、軽い認知症を患った母がつぶやいた、聞き慣れない地名を新聞の短歌の中に見つける。
父親を知らぬ自分の出生と関わりがあるのではと、短歌を投稿した元教師の徳一に会いに根室へ。ひとつの短歌に引き寄せられた二人の出会いが、オホーツクで封印された過去を蘇らせる……。
面白かった〜
徳一は教師時代に受け持った女生徒への後悔と懺悔を胸に抱えて生きてきました
夏紀が訪ねてきた事で過去の出来事を息子と共に探っていくんだけど…
徳一、息子、夏紀…それぞれの心情が丁寧に描かれてて良いの♪
曇天のオホーツクと過去を探っていくミステリー部分が絶妙に暗くて悲しい
これぞ桜木紫乃の世界です
:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。
Posted by ブクログ
釧路で書道教室を営む夏紀は、
認知症を患いだした母の春江が呟いた「ルイカミサキ」という
耳慣れない地名を新聞の短歌の中に見つける。
父親を知らぬ自分の出生と関わりがあるのではと、
短歌を投稿した元教師の徳一に会いに根室へと向かう。
歌に引き寄せられた二人の出会いが、オホーツクに封印された過去を蘇らせる。
そんなノワール的展開を予想させる冒頭。
釧路と根室、近いようで実は随分と離れている二つの街で
30年前の拿捕事件とそれに纏わる歪な人間関係。
段々ときな臭い展開になっていく様相は読んでいてワクワクした。
だが、そんな中でもどこか情緒的な雰囲気が全体に漂っていて
その辺の緊張と緩和が上手く融合していた作品であった。
ラストの畳みかけが割とアッサリし過ぎていた点と、
その後のオチに関してはもうちょっと言及が欲しいところではあった。
結局『何』がそうさせたのかという一番気になる部分が、
霧がかかった様にハッキリ見えないまま終わってしまったのは、
狙っての事なのだろうか。霧で曇りがちな道東の夏。
物語の中のそんな描写を思い出した。
Posted by ブクログ
誰でも大なり小なり隠しておきたい物事があるものだ。
「墓場までもっていく」つもりの秘め事は人の頭の中、あるいは心の中にのみ容れられ、封をされ、取り出されることなく朽ちるのを待つことになる。
棄てたくても棄てられず、ただ放置するしかないもの、あたかも宝箱の中身のように大切に保管されるもの、事象によってそれは様々だとは思うが、ゆっくり風化させるという向き合い方もあるようだ。
いずれにせよ記憶にのみ留め置くことを選択した場合、関わりのある人が死んだり、忘れてしまった場合はその事象は消え去ってしまう。
消えゆく記憶に向き合って、大切に思い出し、ただもちろん口外せずに、その消せない記憶に別れを告げていく。
しかし自身の出生の秘密が消えていくとき、それを受け入れることができる人は少ないかもしれない。
オホーツク海に接した道東という立地条件が今回の物語の舞台を唯一無二のものにしている。
スパイとか、密漁とか、どこか遠い世界の話のようだけど、北海道のこの地であればそんなこともあるのかもしれないなと思う。
様々な人の思惑が絡みあうサスペンスだが、最後は急速に収束した感があり、なんだかもったいなかったな。もう少し長く楽しめるような気もしたのだけれど。
とはいえ家族や人生の再生に主眼がある桜木紫乃の文章の魅力は存分に発揮されていた。
氏が繰り返しモチーフにしている書道や短歌がふんだんに織り込まれている。また、他の作品のあの人が殺された場所がちらりと出てきたりするのもおもしろい。
『硝子の葦』が好きな人にはおすすめしたい。
『無垢の領域』にも通じるところがある。
それにしてもタイトルが『風葬』とは。
この人は読者のツボに触れるのがよっぽどうまいように思う。
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