実際に何社かでタクシー運転手を務めたノンフィクション作家による東京のタクシー論。実体験に基づいた意見には説得力があり、タクシー運転手の実感を理解することができた。面白く興味深い内容が多かった。
「決められた労働時間をオーバーし、休憩もそこそこに走り回って達成した65万円という水揚げ。それでもらった
...続きを読む給料は、税金・社会保険等を差し引く前の総額で39万1404円」p35
「履いているのは、値段がチープなら性能も怖ろしくチープなタクシータイヤだ。グリップ力を筆頭に、直進性や排水性といった性能を犠牲にしてのコスト最優先。そんなタイヤで首都高のきついコーナーやら東名道をぶっ飛ばすなんて、とてもじゃないが怖くてできやしない」p44
「深夜は稼ぎ時ではあるけれど、それ以上に、客探しに苦労する時間帯でもある。タクシーの数が多すぎて、六本木も赤坂も新宿も、すべての繁華街の路肩が空車のタクシーで埋まる」p47
「タクシー輸送人員:1989年 5億8400万人、2008年 3億9700万人、2009年 3億6447万人に減っている」p51
「東京で日車営収がもっとも多かったのは規制緩和の7年前、初乗り運賃がまだ650円だった1995年の5万9750円である。(2002年に4万円台になり、それからは限りなく3万円台に近い4万円台を保つのが精一杯という状況に陥っていく)」p56
「隔勤の一般的な労働時間は、合計3時間の休憩時間を含めればおよそ18時間」p70