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かきバターを神田で
熱いバター醤油にまみれた立派なかき、清らかなせん切りキャベツ、黄色い芥子。 あの光景を思い浮かべただけで――平松さんが悶絶する、冬の名物・かきバター定食。 寒い夜、家に戻る途中「肉豆腐が待っている」と思うだけでものすごく安心する――。 昨日より豆腐に味が染みて、ねぎもとろとろに甘く…その煮汁につけておいた煮卵の美味さ! 冬の煮卵、かきバター焼定食、山形の肉そば、ひな鶏の素揚げ、デミグラスソースがたっぷりかかったトンカツ、あるいは、ちぎりトマトにサザエカレーに水茄子… 世の中の美味しいもの、美味しい味を生むお人柄、美味しい料理の背景。 週刊文春人気エッセイをオリジナル文庫化した一冊。 解説・堂場瞬一 -
架空の球を追う
「自由ホンポウな女になりたい!」「その方、カツラですの」「やっぱり罠にはまった。そんな気がする」 あなたの心を揺るがす物語がきっとある。ようこそ魅惑の〈森絵都ワールド〉へ! 何気ない言葉に傷ついたり、理想と現実のギャップに嫌気がさしたり、いきなり頭をもたげてくる過剰な自意識にとまどったり……。 生きているかぎり面倒は起こるのだけれど、それも案外わるくないと思える瞬間がある。 ふとした光景から“静かな苦笑いのひととき”を抽出した、読むとちょっと元気になる小説集。 解説・白石公子 ※この電子書籍は2009年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
革命前夜
この国の人間関係は二つしかない。密告しないか、するか──。 第18回大藪春彦賞受賞作! 革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。 留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。 中でも学内の誰もが認める二人の天才が── 正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。 奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。 ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。 その一方で、自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。 演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。 彼女は、国家保安省(シュタージ)の監視対象者だった……。 冷戦下の東ドイツで、眞山は音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。 ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。 圧巻の音楽描写も大きな魅力! 本作を彩る音楽は……ラフマニノフ 絵画的練習曲『音の絵』バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻 『マタイ受難曲』リスト『前奏曲(レ・プレリュード)』 ラインベルガー オルガンソナタ11番第2楽章カンティレーナ ショパン スケルツォ3番 ブロッホ『バール・シェム』より第2番「ニーグン」 フォーレ『エレジー』 ……etc. 解説・朝井リョウ -
かげゑ歌麿
水谷豊主演でドラマ化された話題作、待望の文庫化! 礼金と引き替えに世の悪党どもを退治する殺し屋・月影。追う北町奉行筆頭与力・仙波一之進は、事件現場に倒れていた娘を救う。が、娘は記憶を失っていた。仙波は平賀源内に依頼し、エレキテルで娘の記憶を呼び起こそうとする。施療のあと、娘の口をついて出た言葉は「おっとつぁんは歌麿」。 滞在していた房総から呼び戻され、歌麿は娘と涙の顔合わせを果たす。ところが、殺人現場を見られたかもしれないと考えた月影が娘を誘拐した。娘を取り返すべく、月影の呼び出しに応じる歌麿だが…。表題作など3編収録。 -
風に恋う
かつては全国大会金賞、マスコミにも頻繁に取り上げられた、名門高校吹奏楽部。 幼馴染の基(もとき)と玲於奈(れおな)は入部したものの、現在の部にかつての 栄光は見る影もない。 そこへ、黄金時代の部長だったレジェンド・瑛太郎がコーチとして戻ってきて、 あろうことか3年生たちを差し置いて、1年の基を部長に指名する。 選抜オーディション、受験との両立。嫉妬とプライド渦巻く部で 孤立する新入生男子の部長は果たして、全国大会開催地・名古屋国際へ 行くことができるのかー― かつての輝きを懐かしむすべての大人たち、 部活動に青春をささげるすべての中高生の胸に、 リアルな言葉が突き刺さる王道青春エンタメ小説! 人気作を連発する額賀澪が、松本清張賞受賞作『屋上のウインドノーツ』 から10作目に原点である吹奏楽を舞台に挑んだ渾身の大感動エンタメ! 解説・あさのあつこ ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった
アフリカの最貧国・マラウイを食糧危機が襲い、ウィリアム少年は食べていくために中学校を退学せざるをえなくなる。。 しかし、知的好奇心にあふれた彼はNPOがつくった図書館に通い、そこで風力発電について書かれた一冊の本と出会います。 電気があれば暗闇と空腹から解放される――ウィリアム少年は発電の仕組みを独学し、廃品を集めて作った風車で発電に成功、そこから大きなチャンスをつかみます。 池上彰さんも「学ぶということが、これほどまでに人生を豊かにしてくれるとは」「私たち日本人が忘れていたことを、この本は教えてくれます」と解説で太鼓判を押す、感動の実話。 -
片桐大三郎とXYZの悲劇
この一冊で、エラリー・クイーンの“X・Y・Zの悲劇”に挑戦! 推理とユーモアがせめぎ合う、倉知ミステリーの真骨頂がここに。 歌舞伎俳優の家に生まれたものの若くして映画俳優に転身、世界的な人気を博す名監督の映画や時代劇テレビシリーズなどに主演し、日本に知らぬものはないほどの大スターとなった片桐大三郎。 しかし古希を過ぎたころ、突然その聴力を失ってしまった――。 役者業は引退したものの、体力、気力ともに未だ充実している大三郎は、その特殊な才能と抜群の知名度を活かし、探偵趣味に邁進する。 あとに続くのは彼の「耳」を務める新卒芸能プロ社員・野々瀬乃枝(通称、のの子)。 スターオーラをまき散らしながら捜査する大三郎を必死でサポートするのの子。 異色コンビが挑む事件の真相は? クイーンの「ドルリー・レーン四部作」を向こうに回した、本格ミステリー中篇四作をこの一冊で。 〔収録作品〕 冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの殺意 春の章 極めて陽気で呑気な凶器 夏の章 途切れ途切れの誘拐 秋の章 片桐大三郎最後の季節 -
火盗改しノ字組
「鬼役」の坂岡真、渾身の新シリーズ発進! 火盗改の駆け出し侍が、個性豊かでアクの強い仲間たちと江戸の巨悪に敢然と立ち向かう。 九代将軍徳川家重の治世。越後新発田藩の浪人の息子・伊刈運四郎は、直参旗本・坂巻讃岐守に中小姓として召かかえられるが、出仕初日から御先手筒(鉄砲)組二十四番の手伝いを命じられる。 筒組二十四番は火付盗賊改の助役代理を命じられていて、運四郎も火盗改の見習いになってしまったのだった。 初仕事は、口から鯖の尾鰭が飛び出した血腥い屍骸の検分――。 火盗改本役の弓組二番は優秀な人材が集められたエリート集団。 かたや、筒組二十四番は出世とは無縁な外れ者ばかり。 博打にのめり込んでいる者、金勘定にやたら細かい者、記憶力だけは抜群に良い者、変装に長けた者などなど、個性的でアクの強い連中がいがみ合うが、顔に大きな刀傷がある供頭・杉腰小平太がまとめ上げて、難事件に立ち向かう。 -
カトク 過重労働撲滅特別対策班
「目標達成」と「働き方改革」の間で翻弄される日本のビジネスパーソンたち。 ブラック企業から人々を救え! 時代が待望した文庫書下ろし小説。 「カトク」とは、ブラック企業が社会問題化する中、大企業の違法な長時間労働を専門に取締る目的で、東京と大阪の労働局に作られた「過重労働撲滅特別対策班」の略称。 主人公は、カトクの最年少監督官・城木忠司。 ある過去の出来事がきっかけで、民間から労働基準監督官に転身した彼は、女性上司の村井真理班長の指導の下、今日もこの国の第一線で働く人々の苛酷な現実に誠実に向き合い、悩みながら奮闘します! 筆者は『狭小邸宅』はじめ、ブラック企業描写に定評のある新庄耕さん。 すべての働く人必読の、文庫書下ろし長篇小説です! -
金沢あかり坂
古都・金沢を舞台に、恋と青春の残滓を描いた短編集。 「金沢あかり坂」 ――金沢の花街で生まれ育った凛は、別れた恋人の記憶を引きずったまま 芸妓になった。その心をいやしてくれたのは父の遺した笛だった・・・。 「浅の川暮色」 ――新聞社の事業部に務める森口は、十数年ぶりに記者時代の初任地、 金沢を訪れた。夜、浅野川を見つめる森口の意識に、それまで自分の内側に 押し込めていた女性の姿が浮かび上がる。 「聖者が街へやってきた」 ――北陸のK市にあるラジオ局に勤める魚谷と同僚、友人の新聞記者は、 古い城下町の秩序に挑もうとして、世界各国に打電された奇妙な事件を 作りだすが・・・。 「小立野刑務所裏」 ・・・いまから十数年前、私は金沢に住んでいた。金沢は誇り高く、そして 怖ろしい町だった。著者を思わせる男が回想する金沢で暮した日々。 -
金子みすゞと詩の王国
「人間・金子みすゞ」の真の姿に迫る 新しいみすゞ像と名詩60作を徹底解説! 金子みすゞの詩というと、優しくて可愛らしい作風を連想します。しかし残された五百余編は幅広いテーマを含み、意欲的に創作されたものです。一人で生まれ、一人で死んでいく人間の根源的な孤独、子ども心のあどけなさと寂しさ、小さな命の愛しさ、宇宙の成り立ち、さらに童謡詩の範疇(はんちゅう)を超えて、女性の生き方にも筆を広げています。これらの詩は、みすゞの人生の哀歓とも関わっているのです。 金子みすゞの希望と挫折の生涯、大正デモクラシーの理想から生まれた童謡詩の盛衰をたどりながら、珠玉の名詩60編を文学の視点から読解する新しいみすゞ論。NHK「100分de名著 金子みすゞ詩集」で指南役を務めた著者が、番組テキストに大幅に加筆。図版写真97点、実弟の日記を収載の決定版。心に響く暖かな言葉の王国へいざなう。 ◆金子みすゞ(かねこ・みすず) 詩人。本名テル。1903(明治36)年、山口県生まれ。下関の書店員だった20歳で詩作を始め、雑誌「童話」「赤い鳥」に投稿。詩人の西條八十に絶賛されるも、生前に詩集はなく、1930(昭和5)年に自死。代表作「私と小鳥と鈴と」「大漁」「蜂と神さま」「こだまでしょうか」。 ◆松本侑子(まつもと・ゆうこ) 作家・翻訳家。『巨食症の明けない夜明け』すばる文学賞。『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』新田次郎文学賞。訳書に日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ(文春文庫)。著書に、金子みすゞの弟で脚本家の上山雅輔(かみやまがすけ)の日記から判明した新事実に基づいた伝記小説『みすゞと雅輔』。 -
彼女は頭が悪いから
2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場! 私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの? 深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。 現実に起こった事件に着想を得た衝撃の「非さわやか100%青春小説」! 横浜の3人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。 偶然に出会って恋に落ちた2人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学のサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。 そして酒を飲ませ、仲間と一緒に美咲を辱める。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件は明るみに出ることに。 しかし、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いする。 柴田錬三郎賞選考委員絶賛! 無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静 どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。―逢坂剛 女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生 テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子 平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
カブールの園
シリコンバレーで起業した30代後半、日系3世の女性レイ。 80年代アメリカの小学校時代に周囲から受けた壮絶ないじめの後遺症を今も抱えながら、黒人の同僚とコンビで自社製品のプレゼンに駆り出される日々を送る。 精神安定剤を手放せないレイは、大仕事を前に休暇を命じられ、旅に出る。 日系1世の祖父母が戦中に入れられたマンザナー強制収容所、レイの母がひとり暮らすリトル・トーキョー。自らのルーツを歩いたレイは、目を背けていた本心・苦しみの源泉を知った。 複雑な形で差別の問題が日常にある3世の苦しみ、母親との関係。 日本とは、日本人とは、私とは何か――。 VRや音楽のミキシングアプリを対比させ、問題を鮮やかに巧みに 浮かび上がらせる。「マイノリティとしての私たちのこと」を問いかけた傑作。 第30回三島賞受賞。芥川賞候補。 「一読者として非常に感銘を受けた」平野啓一郎(選考委員) 様々な人種が暮らし、薬物の誘惑も幼児虐待も当たり前に転がるニューヨークで、女子プロレスラーとして働く姉の稼ぎで小学校時代を送った。やがて当たり前のように、一つの悲劇が起こる――日本人青年が、かつての生活を振り返る「半地下」も収録。 解説・鴻巣友季子 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
壁の男
彼はなぜ絵を描き続けたのか? 〈最後の一撃〉が読者の心を撃ち抜く感動の傑作長編。 北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。 決して上手いとは言えないものの、その色彩の鮮やかさと力強さが訴えかけてくる。 そんな絵を描き続ける男、伊苅にノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが、寡黙な彼はほとんど何も語ろうとしない。 彼はなぜ絵を描き続けるのか――。 だが周辺を取材するうちに、絵に隠された真実と、孤独な男の半生が次第に明らかになっていく。 〈最後の一撃〉が読者の心を撃ち抜く感動の傑作長編。 解説・末國善己 -
河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
あの日――2011年3月11日、仙台に本社を置く東北地方のブロック紙・河北新報は壊滅的な被害を受けました。沿岸の支局は津波にのまれ、安否不明の記者や販売店関係者が続出。本社のコンピューターが倒れて紙面制作の機能を失い、休刊の危機に瀕します。しかし現場は、「それでも新聞をつくる!」という気概を失いませんでした。極限の状況下で、彼らは何を考え、どう行動したのか? 新聞人たちの凄絶な闘いの記録が本書です。被災者に寄り添った紙面づくりが胸に迫ります。あの日を忘れないためにも、長く読み継がれるべき書です。 -
神様のたまご 下北沢センナリ劇場の事件簿
劇場支配人兼名探偵・ウィリアム近松太郎、登場! サブカルチャーの聖地・下北沢で起こる怪事件に、 東西の2大劇作家の名を持つ謎のイケメンが挑む! 進学のため上京した竹本光汰朗は、亡き祖父が作り、今は祖母が経営する 下北沢センナリ劇場でアルバイトとして働き始める。 演劇人やミュージシャンたちが夢を追いかける街で起こる 「甦る死者」や「人間消失」など様々か怪事件を、 劇場支配人・ウィリアム近松太郎とワトソン役の光汰朗が快刀乱麻解決! ACT1 神様のたまご シャーロック・ホームズや金田一耕助が出るパロディ芝居の初日に、 小道具の宝石が盗まれた!? コナン・ドイル「青いガーネット」のパスティーシュ。 ACT2 死と乙女 芝居小屋を狙った連続空き巣事件が発生。 一人で留守番していた光汰朗の前に謎の黒い人影が! ACT3 シルヤキミ 島崎藤村の詩「知るや君」に曲をつけたロックナンバーを歌う 女性ボーカルの正体は? ACT4 マクロプスの旅 下北沢の街が靄に包まれる”シモキタの白い夜”に、 死んだはずの暗黒舞踏のカリスマが出現!? ACT5 藤十郎の鯉 劇団藤十郎一座が上演した歌舞伎の演目「鯉つかみ」の舞台から 役者が消えそのまま失踪した。 横溝正史「幽霊座」のパスティーシュ。 -
神さまを待っている
誰にも「助けて」と言えない。 圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。 文房具メーカーで派遣社員として働く26歳の水越愛。 会社の業績悪化で派遣切りに遭い、失業保険を受けながら求職活動をするが どこにも採用されない。アパートの更新料や家賃、住民税、そして食費… あっという間にホームレスになった愛は、漫画喫茶に寝泊まりしながら 日雇いの仕事を始め、前の生活に戻ることを目指していたが、次第に 価値観、自己認識が揺らぎ始める。 同じ境遇の女性たち、「出会い喫茶」に来る客との交流。 生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。 ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。 大学に進学し、勉強や就活に励み、まじめに勤めていた女性が またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。 著者自らの体験をもとに描いた「貧困女子」長篇小説。 解説は 俳優・佐久間由衣 ※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
神は銃弾
「このミス」第1位! “暴力の詩人”ボストン・テランの輝かしきデビュー作。 元妻とその再婚相手をカルト教団〈左手の小径〉に惨殺され、娘を誘拐された刑事ボブ・ハイタワー。元薬物中毒者の女性ケイス・ハーディンの助けを借りて娘の足跡を追い、教祖サイラスと〈左手の小径〉に復讐を誓う。 愛と憎悪、セックスと暴力、そしてドラックと銃弾。鮮烈な文体で描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。 発表と同時に大きな反響を呼び、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞候補作となり、英国推理作家協会(CWA)最優秀新人賞を受賞。 日本でも「‘02年版 このミステリーがすごい!」第1位に選出。日本冒険小説協会大賞を受賞した。 解説・池上冬樹 -
カムカムマリコ
ギネス記録は通過点の大人気エッセイ コロナ感染爆発(パンデミツク)も2年目に入り、行動制限も緩和された。 となると、自粛中に溜まったマリコのエネルギーが一気に弾けるのは当然のこと。 ゴルフを再開し、太秦で女優としてドラマに出演、 人生二度目の東京五輪は聖火ランナーも務めて大いに楽しむ。 前だけを見て突き進む、マリコパワーに刮目せよ! 巻末に豪華対談2篇収録! ついに連載41年目に突入! ギネス世界記録、絶賛更新中! 聖火ランナー、相撲観戦、映画出演―― コロナ自粛期間を経て マリコ、再始動! 巻末に豪華2大対談を収録 1、「日本史に学ぶ! 『皇室の縁談』波乱万丈」 ×磯田道史(歴史学者) 2、「運命の一冊に出会うために」 ×藤原正彦(作家・数学者) ※この電子書籍は2022年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
狩りの時代
【逝去直前まで推敲を重ねた津島文学の到達点】 「津島さんはまだこの小説の中に生きていて、読む私たちとともに、奮闘している」――星野智幸(解説) でもあのことばだけは消え去らない。 忘れていたはずなのに、ひどいことばを聞かされたという感触だけは残されていた。 その痛みだけは忘れられなかった。(本文より) 15歳で早逝したダウン症の兄との思い出、ヒトラー・ユーゲントの来日。 「あこがれ」、障害、病気、戦争、差別、「不適格者」……大家族二世代の物語はこの国の未来を照射する。 『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞・第51回野間文芸賞を受賞した著者による、絶筆長編。 ※この電子書籍は二〇一六年八月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
花柳界の記憶 芸者論
花柳界、芸者、三業地……文字としては馴染みがあっても、実態は殆ど知られていない世界。長年新橋演舞場に身を置き、数々の名妓たちと親交のあった著者が、芸者の成り立ちから戦前、戦後の東京の花柳界全盛の時代までの歴史と変貌を細やかに描写。処女作にして和辻哲郎文化賞を受賞した、画期的日本文化論。 -
枯葉色グッドバイ【新カバー版】
※このコンテンツは、2008年11月に配信を開始した電子書籍の表紙を新たにし、文庫版解説と追記を加えたものです。本文内容に変更はありません。 名探偵は、せつないホームレス マンションで親子三人が惨殺された。一人残された美少女が心を開いたのは、デカ上がりのホームレス探偵! 傑作書き下し長篇 現住所=代々木公園の西門そば。仕事=リヤカーでの廃品回収。主食=焼酎。煙草=原則として路上で調達。ホームレスで元刑事の椎葉明郎は、かつて指導した女性刑事・吹石夕子に雇われる。日当は二千円。依頼は、事件の真相解明。両親と次女の一家三人が殺された事件だ。物証からは犯人像が浮かばず、怨恨でもなさそうだ。では犯人の狙いは何か。その夜、外泊していた長女は事件に関係があるのか? モテない女性刑事とホームレス探偵の捜査の行方は……。 解説 池上冬樹 単行本 2003年10月 文藝春秋刊 文庫版 2006年10月 文春文庫刊 -
彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠
不条理な暴力に私たちはどう抗えるのか―― 【第53回大宅賞受賞作】 1972年11月、革マル派が支配していた早稲田大学文学部構内で、一人の学生が虐殺された。後に「川口大三郎君事件」と呼ばれるこの悲劇をきっかけに、一般学生は自由を求めて一斉に蜂起。しかし事態は思わぬ方向へと転がり、学外にも更なる暴力が吹き荒れて――50年前、「理不尽な暴力」に直面した著者が記した魂と悔恨のルポ。 1972年、キャンパスでいったい何が? 思想家・内田樹氏 推薦! 「同時代を生きた人間として樋田さんがこの記録を残してくれたことに深く感謝したい。 若い人に読んで欲しいと思う。 人間がどれほど暴力的になれるのかは知っておいた方がいい」 【本作原案映画、公開決定!】 『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』 (2024年5月25日よりユーロスペース他で公開) ※この電子書籍は2021年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
カレーなる逆襲! ポンコツ部員のスパイス戦記
感動の実話!? 廃部寸前のおちこぼれ野球部員が一念発起、エリート大学とカレー対決! 乾作品の新境地は、読めば腹ペコな青春小説!不祥事で廃部寸前の小樽経営大学(通称・樽大)に残ったのは、 主将・森一郎…甲子園の北海道予選で伝説のエラー。ネット上でも笑い者。 ファースト・恵山光…小太りで童顔。貧乏育ちでいい奴。 コーチ兼マネージャー・白石苗穂…一番野球がうまいアイドル。 入部希望者・砂原健介…36歳で新入生。熱血なだけの空回り男。 というポンコツな面々。 廃部を免れるために教授が持ち込んできたのは エリートの北海道総合大学(道大)とのカレー対決!?ヤル気も希望もゼロのメンバーに、エリート大学生達が火をつける? 3回の対決を経て、樽大のダメダメ部員たちはどのように成長していくのか――。 笑って泣ける、カレーなる青春小説です。 夏といえばカレーの季節! おまけに今年は甲子園100周年。 夏休みの読書に最適の、ピリッとスパイスの効いた青春カレー小説! -
川あかり
藩で一番の臆病者が暗殺を命じられ…… 「何度、泣いたことか。何度、笑ったことか。 生活に疲れた時、ふと気づくとこの本を手に取っている」──島内景二 豪雨で川止めとなった巨勢川の土手に呆然と佇む若侍。 藩で一番の臆病者・伊東七十郎が命じられたのは家老の暗殺。 雨が止み、川明けになれば、勝ち目のない決闘に挑む運命にある七十郎は、 怪しげな宿で、いわくありげな同宿者たちに出会う。 個性の強すぎる面々に戸惑いながらも、やがてそれはかけがえのない日々となるのだった──。 「おじいちゃんがよく言うのです。 日が落ちてあたりが暗くなっても、川面だけが白く輝いているのを見ると、元気になれる。 なんにもいいことがなくっても、ひとの心には光が残っていると思えるからって」(本文より) 人の心を震わせる名手による珠玉の一冊。 単行本 2011年1月 双葉社刊 文庫版 2014年2月 双葉文庫刊 文庫版 2025年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
かわたれどき
ベストセラー「まんまこと」シリーズ第7弾! 町名主のお気楽跡取り息子・麻之助が、幼なじみの色男・清十郎と堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎と揉め事の解決に挑みます。 「きみならずして」「まちがい探し」「麻之助が捕まった」「はたらきもの」「娘四人」「かわたれどき」の6篇を収録。 清十郎に子が生まれ、縁戚のおこ乃の縁談がまとまるなど、麻之助の周りで祝い事が続くものの、自分自身には揉め事ばかり。 特に親しい料理屋の娘・お雪には何かと振り回される日々だ。 ある時、野分けと呼ばれる大嵐が起こり、お雪が洪水に流される。 間一髪助かるが、何やら一大事が……!? 解説は「まんまこと」シリーズの装画を手掛けるイラストレーターの南伸坊さんです。 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
河のほとりで
惜しまれつつ亡くなった著者の最後のエッセイ集。 透徹した眼力と豊かな想像力で敗者の歴史を丁寧に掬い取った珠玉の名篇。 臨在の「済」の字には「河の渡し場」という意味がある。 中国、唐末の僧・義玄は、現在の河北省の河に臨む場所に臨在院を建てて禅を広めたことから臨在禅師とよばれたという。臨在は「河のほとり」とも読めるのだ。著者の地元の九州、西日本新聞に連載された「河のほとりで」を中心に、西郷隆盛、武田勝頼、真田幸村(信繁)、源実朝ら悲運に倒れた歴史上の人々や、司馬遼太郎、藤沢周平から松本清張まで先達の作家たちを縦横に論じ、山本兼一、安部龍太郎、青山文平、佐藤賢一、澤田瞳子ら大時代作家の文庫解説でエールを送る。 著者の人柄が偲ばれる鋭くも優しい文章たち。 -
監禁面接
『その女アレックス』の鬼才ルメートルが放つ徹夜必至、 一気読み保証のノンストップ再就職サスペンス。 リストラで職を追われたアラン、失業4年目、57歳。再就職のエントリーをくりかえすも 年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。 だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。 だが最終試験の内容は異様なものだった。 〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ――〉 どんづまり人生の一発逆転にかけるアラン。愛する妻と娘たちのため、 知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む! 解説:諸田玲子 ※この電子書籍は2018年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
韓国芸能界裏物語
KARA、少女時代などのK-POPから、イ・ビョンホンらベテラン韓流スターまでの裏事情を徹底レポート! 華々しい舞台の裏側で伝えられる、分裂騒動や奴隷契約、セックス接待などのスキャンダルを、現地通ライターが解き明かす。少女時代屈辱の「10ミニッツ」事件とは? 韓流芸能人はなぜ自殺が多い? 女優の「整形」カミングアウトが流行中? 「本当のところ、どうなってるの?」という疑問に答え、韓国芸能界独特の歴史やルールまで網羅したファン必読の一冊。 -
勘三郎伝説
みんな、あなたが大好きだった! 芝居の世界に身を捧げ57歳で早世した十八代目中村勘三郎。不世出の歌舞伎役者を幼時から知悉する作者だけが知る素顔の名優の姿。 -
鑑識課警察犬係
『正義の天秤』(亀梨和也主演)『婚活探偵』(向井理主演)『不協和音』(田中圭主演)など原作が数多く映像化されている大門剛明氏、文春文庫初登場の警察犬小説です。 主人公は鑑識課警察犬係に配属されたばかりの岡本都花沙。念願かなって警察犬係に配属となった岡本は、ベテランの警察犬アクセル号とコンビを組んで、捜査をすることに。岡本の「バディ」となるのは、通称「第二」と呼ばれている民間警察犬訓練施設の訓練士・野見山。野見山は元警察官で、名警察犬レニーとコンビを組んでいました。しかし、あることがきっかけになって辞職。いまは民間の立場から捜査の協力をしています。 本書は五章構成になっています。第一章は、岡本が赴任する前日譚で、主人公は野見山です。レニーに向けられた疑惑の真相と、野見山の決断を描きます。第二章から第五章は、岡本を主人公にして、野見山や先輩刑事の桐谷(第一章では新人犬係として出てきます)など魅力的な脇役を配置しつつ、日々の捜査を描きます。全て読切の短編として読めますが、全体を通じて大きな謎が隠されています。 実際、警察犬の出動依頼が多いのは、行方不明者の捜査で、近年は認知症高齢者の失踪に駆り出されることが多いそうです。当然、そこには認知症を抱える家族の辛さなどもあり、そういう「日常レベル」の捜査を扱うことで、他の警察小説とは違った人間ドラマを描けていると思います。そして捜査官と警察犬が苦労の末に「心を通わせる」ことができた瞬間のなんと愛おしいことでしょうか。 第一章「手綱を引く」は第75回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補作になりました。 今後シリーズ化も予定しています。 -
漢字ふむふむ
人気のNHK漢字バラエティを完全書籍化! 日本と中国では同じ漢字なのに意味が微妙にすれ違っていたり、時には正反対の場合も。全60篇、通勤通学のお供にも最適の一冊です。 「痴漢=性犯罪者」は大江健三郎が作った? 「妻」は「老婆」か、「老婆」が「妻」か? あなたの干支は「豚」ですか? 遠い昔、中国から伝わってきた漢字ですが、意味も一緒とは限りません。長い時間を経て全く違う意味になったものも少なくないのです。漢字の知られざるルーツと遍歴を深堀りする人気番組が一冊に! -
関東大震災
大正12年9月1日午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。直後に大規模火災が発生、首都圏一帯は一瞬にして地獄となった。絶叫し、逃げまどう人々──飛び交う流言が、自警団による陰惨な朝鮮人虐殺という悲劇をも引き起こす。本書は、地震予知を巡る抗争にはじまり、被害状況、死体処理、被災者のバラック街の様子から糞尿の処理にいたるまで、未曾有の大震災の真実を掘り起こす。20万の命を奪った“天災”と“人災”を浮き彫りにする、菊地寛賞受賞の名作。 -
完本 1976年のアントニオ猪木
1970年を境に勢いを失った世界のプロレス。なぜ日本のプロレスだけが、その力を維持し続けたのか。その謎を解くべく、アメリカ、韓国、オランダ、パキスタンを現地取材。1976年の猪木という壮大なファンタジーの核心を抉る迫真のドキュメンタリー。※電子版には文庫版に収録されているアントニオ猪木インタビューは収録されておりません。
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