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当時、私は都内某所のビル18階におりました。大きく長い揺れ、徒歩で数時間かけて帰宅したこと、実家や友達となかなか連絡が取れなかったこと、その後、流通マヒにより業務が大混乱になったこと…冒頭のシーンで記憶が蘇ります。きっと一生忘れられないでしょう。
この作品は、現地の有力新聞「河北新報」が百年以上続いた「無休刊」を守りぬいた激闘の記録です。1日1日の記者・スタッフ・被災者の様々な困難・葛藤を振り返り、その結晶として章末に翌日の紙面が来る構成となっており、紙面を見ると自然と泣けてきます。想像を絶する被害状況をセンセーショナルに伝える全国紙とは一線を画した「被災者目線」で伝えていく。その結果、地方紙としての存在意義を見出していく。ただ感動した、では終われません。