先ず、震災当時の悲惨な映像が思い出され涙した。
次に、被災者に情報を届けようとする河北新報社社員たちの努力と葛藤に目頭を熱くした。
そして、地元住民に寄り添う地方新聞社の大切さに気付いた。
私たちは、多くの情報から自ら判断し行動している。情報が突然に絶たれたなら、私たちは自らの立ち位置すら見失い身
...続きを読む動きできなくなってしまう。現在人にとっての情報は、水や電気・ガスと同じく無くてはならないインフラの一部と言える。
過日の東北では地震と津波により電力と共に情報も途絶え、救助を求めることも救援の手を差し伸べることもままならなくなった。そこに情報の光を射したのが地方紙河北新報の取材・編集・印刷・輸送・販売の総力を挙げた献身的努力だった。
全国紙は被災地の惨状を伝え、援助の手を集めることが大きな使命であり、被災地の地方紙は被災者の立場に立ち、励まし、希望の光を被災者に投げることが使命であることを知った。
こう書いては申し訳ないが、これまでローカルな記事に面白みを感じず地方紙を蔑んでいた。しかし本書を読んで地方紙の意義を知り、地方紙には全国紙と競うのではなく地元住民に寄り添って、特色のある紙面で益々発展してほしいと思う。
震災から3年が経ち、原発報道すら頻度が低下した昨今ではあるが、被災地はまだ震災と闘っている。一日でも早く傷が癒え、復興されることを祈念する。