第146回芥川賞を「共喰い」で受賞。受賞会見がテレビなどで話題になった田中慎弥氏作品。野球を続ける夢破れ就職。後に野球賭博絡みのトラブルで失踪した父親から少年に葉書が届く。そこにはただ一言「野球をやってるか?」。父の願いをかなえるべきか、野球を憎む母に従うべきか、少年の心は揺れる。おりしも1986年日本シリーズでは、三連敗からの四連勝という奇跡を西武がおこそうとしていた。「父親が帰ってくる」という奇跡が少年の身にもおこるのか? 父と子の迫真の物語。
Posted by ブクログ 2013年05月08日
野球クラブでいじめに遭い、部屋に閉じこもってしまった息子に父親が語る父(息子にとっては祖父)との野球をめぐる物語…。というと何かハートウォーミングな話を期待してしまいそうだけど、全然そういう話じゃない。
父は実家の困窮のために中卒で働くことになり、野球を諦めた。仕事が決まった日、父は愛用のバット...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年11月12日
1986年日本シリーズ。この年限りで引退する広島の四番山本浩二、涙のドラフトから西武入りして高卒ルーキーながら四番に座る清原和博。
象徴的な二人がチームの柱である両チームの闘いは、野球の神様が奇跡的な運命を起こした。
あの日あの時こうであればというのは、野球も人生も同じこと。タラレバ禁止の世界におい...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年12月03日
最近話題になったプロ野球選手が賭博に関わった問題。読み終わってから間もなくのことだっただけに妙な縁と呼ぶのか、奇妙な繋がりもあるものだと思う。
サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」を下地に、野球という色彩。更には最初から最後まで父親が子供に語りかける口語体で文章が綴られるという構成。かなり...続きを読む