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惜しまれつつ亡くなった著者の最後のエッセイ集。
透徹した眼力と豊かな想像力で敗者の歴史を丁寧に掬い取った珠玉の名篇。
臨在の「済」の字には「河の渡し場」という意味がある。
中国、唐末の僧・義玄は、現在の河北省の河に臨む場所に臨在院を建てて禅を広めたことから臨在禅師とよばれたという。臨在は「河のほとり」とも読めるのだ。著者の地元の九州、西日本新聞に連載された「河のほとりで」を中心に、西郷隆盛、武田勝頼、真田幸村(信繁)、源実朝ら悲運に倒れた歴史上の人々や、司馬遼太郎、藤沢周平から松本清張まで先達の作家たちを縦横に論じ、山本兼一、安部龍太郎、青山文平、佐藤賢一、澤田瞳子ら大時代作家の文庫解説でエールを送る。
著者の人柄が偲ばれる鋭くも優しい文章たち。
Posted by ブクログ 2023年10月01日
葉室麟さんの随筆第二弾。
葉室ファンの私からするといい本だが、あまり葉室作品に馴染みのない人からすると、書評や雑感が一緒になっていて、内容に統一感がないと思うかもしれない。
ただ、葉室作品に馴染みがない人も、読んでいると葉室さんに優しく諭されているようで癒されるので、騙されたと思って読んでいただ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月04日
『柚は九年で』に続く、急逝直前まで新聞や雑誌に記された随筆集第2弾。
「書物の樹海へ」は、他の作家の時代小説の文庫に、著者が書いた解説を集めたもの。
早乙女貢著「奇兵隊の叛乱」、山本兼一著「おれは清麿」、青山文平著「伊賀の残光」安部龍太郎著「レオン氏郷」などなど。
どれも未読であり、是非にと読んでみ...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年05月04日
作年12月に亡くなった葉室麟さんの二冊目の随筆集(一冊目は「柚子は九年で」)。
西日本新聞に連載された随筆の数々からは、彼の作品執筆に対する裏側が読み取れていいし、「書物の樹海へ」と題した項目で取り上げられた数々の本に寄せた解説文も素晴らしい。
ただ、「日々雑感」としてまとめられた中にある「健康への...続きを読む
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