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私は西郷隆盛を一番書きたかった! 西郷隆盛は薩摩藩主の島津斉彬に仕え、天下のことに目覚め、一橋慶喜擁立のため暗躍するが、安政の大獄により全てを失うが……。 ※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
奄美時代までの西郷さんの伝記。葉室さんの本は初めて。 一橋派と尊攘派の連携の様子など、分かりづらい部分も説得的に書かれている。西郷さんの海外観、運動の進め方などで、大久保と徐々に意識がずれていくのが、その後の展開を思わせる。 総じてフラットな書きぶりで、西田さんや鹿賀さんの顔しか出てこない自分には読...続きを読むみやすい本だった。
現代ものが続いた後に、時代ものを読むとやはりホッと気持ちが落ち着く。まして手に取るのが葉室麟ならば、なおさらなのは読書人共通の感ではないだろうか。 副題が「西郷青嵐賦」と示す通り西郷隆盛の前半生の行動が焦点ゆえ、本作では吉之助で通している。 藩主斉彬に見いだされ、八面六臂の活躍をしながら、井伊直弼に...続きを読むよる安政の大獄を逃れ奄美大島に潜居するまでの、ほぼ史実に基づく歴史長編。 架空実在を問わず、己の信念に真摯に向き合い清冽に生きる漢(おとこ)を叙情たっぷりと描く九州出身の著者ゆえ、西郷は書かずにいられない人物だったのだろう。 吉之助のひととなりを彼の発する言葉で表現している。 「涙も出らん男が強うなってどがいする。ひとが強うなっとは、ひとに優しくするためごわんど」 「力により、弱き者を虐げる異国は不義の国じゃ。わが国は道義の国でなけりゃ、ならん。さもなければ異国に負けるのじゃ」 一蔵にも語らせる。 「吉之助さあと話していると、死ぬという暗い話をしながらも明るい気持ちになるのはなぜなんじゃろう」 この一蔵とは、いつか袂を分かつことを早い段階で吉之助は見抜いていた。 「おそらく一蔵どんはおいの敵になりもそ。憎くて敵になるのではごわはん。・・・一蔵さあの道を行くか、おいの道を行くかで争う日も来もそ。そんとき一蔵どんなどげな手を使ってでもおいを倒そうとするじゃろ」 一蔵との違いについて吉之助は語る。 「人を動かすのは心だけじゃ。久光様も一蔵どんも力はひとを動かすと思うちょる。・・・力で押さえつけられて本当に動く者はおらんじゃ。ひとを動かすのは心だけじゃ」 日米通商条約は井伊大老が進めたと歴史上はなっているが、違勅の責めを負わせるべく、幕府の実務者に橋本佐内が仕掛けたとしている。井伊が望んだのは、あくまで調印の延期だったとか。史実として真相は・・・。 また、自分の死は、父の斉興による毒殺だとの思いを抱きながら、斉彬は死の床につく。彼の排除は、斉興の側近に井伊が示唆したと、井伊自身が語る場面がある。史実として真相は・・・。 歴史的事件を著者なりの構想で描いたこの作品、歴史ファン西郷ファンは読むべき一冊だろう。 また、解説で、本作と対をなす悪品として松平春嶽が主人公の『天翔ける』を挙げている。続いて読まずにいられない。
西郷隆盛がどの様に見出され、世に出て行ったかを描いた作品。 クライマックスで親友である大久保と訣別する未来を、お互いがそうなる大分前に気づき始めて終わる。 人の心が、人を或いは世の中を動かす為にはもっとも重要であると訴えかけた作品のように感じた。 続編があるのであれば、西郷の最後まで描いて欲しかった...続きを読む作品である。
西郷さんが、薩摩藩が、なんかブラック…薩摩は勝ち組から見れば正義の味方みたいに書かれがちですが、政治ってどどちら側も結構汚いことやってたのね。
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