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【第97回(1987年)直木賞受賞作】
ときは戦国。海と船への憧れを抱いて対馬で育った少年笛太郎は、航海中、瀬戸内海を根城とする村上水軍の海賊衆に捕まり、その手下となって、やがて“海の狼”へと成長していく。日本の海賊の生態をいきいきと描いた、夢とロマンが香る海洋冒険時代小説の最高傑作。「海を舞台にした小説は外国には多い。海洋冒険小説という一つのジャンルが確立しているほどである。四面環海の日本にそれがないというのは、ふしぎな現象だ。(略)日本の海洋小説の一里塚を築けたとすれば、私としては本当にうれしい」(「著者のことば」より)
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Posted by ブクログ
昔の新潮文庫の1ページにみっちりと印刷された文字は久しぶりだった。けっこうしんどくていつ終わるのかと茫洋とした気分になったりもしたが半分を過ぎた頃ページを繰るごとに海の上を満帆の船が駆けるように加速して読み進められるようになっていた。読書もトレーニングだと思う。地図を見ながら読むと理解が進むのでおすすめ。「村上海賊の娘」の巻頭に付いている瀬戸内や大坂あたりの地図をみたり対馬や壱岐のあたりはグーグルマップを見たりしながら読んだ。笛太郎の海賊になりきれぬ人道的でロマンチストなところは現代人におおいに受け入れられる素養であり共感しやすい。美丈夫で戦いに強く美貌の麗花に惚れられてもどこ吹く風、一途に情をかわしたこともない玉琴を愛するピュアなところもある雷三郎、ほかのことはからきしだが船大工や鍛治に関しては天才的な小矢太といった魅力的な面々、宣略将軍や金崎加兵衛の潔い最期も見事。海の男のカッコイイところが余すところなく描かれている。
続編があるようだ。明国海賊マゴーチは本当に笛太郎の父なのか、笛太郎が惚れ込んで嫁にした大三島の巫女、晴の出生の秘密とは。気になる伏線が回収されておらず、気になるところ。
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