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Posted by ブクログ
【本の内容】
清の八十翁・松齢の庭に突如咲いた一茎の黒い花。
不吉の前兆を断たんとしたその時に現われたのは(黒色の牡丹)。
人間稼業から脱し、仙人として生きる修行を続ける小角がついに到達した夢幻の世界とは(睡蓮)。
作家「司馬遼太郎」となる前の新聞記者時代に書かれた、妖しくて物悲しい、花にまつわる十篇の幻想小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
本の帯に<幻の初期短篇、初の文庫化!>とあるが、文春文庫が、司馬作品を「幻」と銘打って出すのは初めてではない。
2001年刊の『ペルシャの幻術師』は<幻のデビュー作>、03年刊の『大盗禅師』は<幻の司馬文学、復刊!>。
「幻」をうたうことで読者の目をひこうとする商魂が見え見えとはいえ、今回の「幻度」は高い。
収録作品は、司馬が1960年に『梟の城』で直木賞を受賞する以前、本名・福田定一で雑誌「未生(みしょう)」に連載したもので、まさに作家・司馬の誕生する以前。
しかも、作品は花にまつわる10の幻想小説である。
堂々の「幻」だ。
愛やエロスをロマンチックに描くウブな作品もあり、清新さにあふれる。
自らの故郷に近い奈良の葛城山で育った役(えん)ノ行者を描く「睡蓮」には、すでに司馬節が健在。
<美しいものへ放心できるこころ、これこそ世尊の説く正覚というものではあるまいか>
「竜馬がゆく」を髣髴させる明朗でおおらかな語りが魅力だ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
花にまつわる幻想小説集。
「司馬遼太郎」になる前、新聞記者時代に本名で書かれていた作品たちだそうで…。
司馬遼太郎の根底は、<わかりやすさ>なのだなと思った。
「花神」読んでから、しばらくどっぷりつかっていた司馬遼太郎なのだけど、どの作品でもシンクロできるというか、シンパシーを感じる人物であり、シーンがあった。過去に生きた人たちなのだけど、人間である基礎というものはゆるぎないものであると感じてきた。
それがようするに<わかりやすさ>なのだろう。
いや、人としての軸を明確にしている、といえるのかもしれない。
花が題材なので、妖艶で耽美な短編だ。
が、そこには赤江瀑のような退廃はない。
あくまで、健全で健康的だ。
そう。月下の話であっても、薄曇りの月ではなく、朗々と毅然と明るい月であるのが司馬遼太郎の魅力なのだろう。
面白かったです。
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