髪結いを本業とする傍ら、北町奉行の定廻り同心・不破友之進のお手先をつとめる伊三次。芸者のお文に心を残しながら、銭にならない岡っ引き仕事で今日も江戸の町を東奔西走する。呉服屋の一人娘を誘拐した下手人として名乗り出た元芸者の駒吉は、どうやら男の罪を被っているらしく……(表題作より)。伊三次とお文のしっとりとした交情、法では裁けぬ浮世のしがらみ。人情味溢れる五編を収録。選考委員満場一致でオール讀物新人賞を受賞した渾身のデビュー作!
Posted by ブクログ 2021年04月25日
どの話も良いが、「備後表」が良かった。
幼い頃に両親と死別し、姉の婚家へ身を寄せて使用人のような扱いを受けていた主人公に母と呼ばれるほど優しかった畳表の職人が口にした最後の願いにまつわる話である。
藺草の問屋だったという私の母の実家に畳表の織機が残されていた事もあり、惹かれた。あれを個人の家に置い...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年02月18日
宇江佐真理の書くキャラクターはどうしてこんなにも魅力的で、そして哀しいのでしょう。「あやめ横丁の人々」で惹きこまれてから、久々に著者の作品を読みましたが、ストーリー運びも素晴らしいのですが、やはりキャラクターがハンパ無くいいのです。
主役の廻り髪結いの伊三次、彼のいい女の文吉、伊三次の主不破。
三人...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年01月17日
人から1巻もらった。
ら。
現在進行形で続いてる息の長いシリーズものだった。
うそん。
現状12巻まで出てる。
文庫化されてんのは10巻まで。
なんでまだ10巻までしか読んでないけどとりあえず。
一話完結の人情捕り物。
著者が女性ってのもあって
「御宿かわせみ」シリーズとちょっと似たイメージ。...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月03日
髪結い伊佐次シリーズ一弾。
廻りの髪結伊佐次がもう一つの仕事である下っ引きとして関わった事件を描いた捕物帖。
恋人である深川芸者、お文との恋模様や、同心不破との関わりなども描かれている。
捕物帖だが市井ものでもあり、江戸の人情咄として楽しめる。
捕物咄ではないけど、畳職人の老女の話「備後表」がしみじ...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年08月03日
デビュー作とは思えない安定感。
人物描写が丁寧で生き生きしていて、人情噺でほろっときたりクスッときたり。
作者の逸材ぶりがうかがえます。
読み終わった時すでに書店の開いている時刻ではなかったのですが、今すぐこのシリーズの先が読みたくてうずうずしてしまいました。
「明日 朝イチで買いに行こう・・・」...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月12日
本業は髪結いで裏で同心の小者をやっている伊三次の物語。
最初は登場人物たちのきつい感じの物言いに慣れなかったけれど、だんだん小気味良くなってきた。
伊三次は確かにお金持ちでもないし、同心に便利に使われているかもしれないけれど、なんかカッコイイ。
相手の芸者文吉も芯があってカッコイイ。可愛い部分がある...続きを読む
※予約作品はカートに入りません