Posted by ブクログ
2019年07月14日
読後はさまざまな意味で胸が熱くなる銀行員の6つの人間ドラマを収めた池井戸潤さんの秀作短編集。池井戸さんの作品はとにかく主人公の必死の心意気が読者に伝わり一刻も早く結末を知りたい気持ちにも後押しされて最速で一気読みさせられますね。全てが明るいハッピーエンドとは行かず哀切なバッドエンドもありますが、どの...続きを読む話も結末には深く納得できて何とも言えない深い余韻が心に満ち溢れ胸が一杯になりますね。表題作「かばん屋の相続」は唯一の例外として、人生の勝負に負けた人も挫けずに頑張って何時かまた立派に再起を果たして欲しいですね。
『十年目のクリスマス』やや狡賢いけど路頭に迷う悲惨な運命からの逆転勝利は素直に祝福してあげて良いでしょう。『セールストーク』腐った銀行員は「驕れる者久しからず」ですね。『手形の行方』男が真相の疑惑を口にしない理由は後ろめたさか心優しさなのか。『芥のごとく』浪速の女社長はさぞや悔しかったやろうけど何時かまた帰って来るんやで!『妻の元カレ』妻に裏切られても静観しかできない男は銀行でも同様の覇気の無さで既に手遅れですね。『かばん屋の相続』兄弟の骨肉の争いも最後に善が逆転勝利し悪が滅ぼされて心から大満足でしたね。