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Posted by ブクログ
アニメーション作家の業というものをイヤというほど思い知らされるインタビュー集です。アニメーションというのはもうやってもやってもきりがないもので、おそらく100パーセント満足できたなんてことはないのでしょう。だから映画を作る度にもうやめたい、となるのでしょう。でもまた自分のなかで、もやもやと「作らねばならないもの」が動き出す。途方もない時間と、カネと、人材とを消費して、傲慢で自分勝手なクリエイターとして「それ」をつくりつづけなくてはならない。
自分はこんなふうに一度でもものづくりをしたことがあるだろうか。と問えばあるはずもなく、うなだれるしかない。やはりまともじゃない人にしか、並外れたものはつくれないのでしょうか…。せつなくなります。
Posted by ブクログ
一流ならではの悩みに触れることができる1冊 描くこと1つ、一場面であっても、その背景やバックグラウンド、習慣なんかも全部考えた上で、映画やアニメにするのに、時間とお金を考えて削ぎ落として表現にしていくアニメーションの深さに、現実と理想はなかなか難しいものがあるな、と思った。かつ、アニメーションの世界では、簡単に費用は吹っ飛ぶものなのだとも。ジブリは今では世界にファンがいるブランドにもなっているかわ、過去の各映画をリリースした際はたいして人気と動員が無かったのも今となっては驚き。宮崎駿のなかだけで考えて、答えを出して、そのやるせなさに悶々としたものが積もって、実は体も心もボロボロになっていってるんだな、と想像すら出来なかった一面が見れたのが良かった。巨匠は巨匠にしかわからない悩みは必ずあるな。
Posted by ブクログ
夏と言えばジブリ。
金曜ロードショーにジブリが並ぶと夏を感じる。
今年は宮崎駿の新作、「君たちはどう生きるか」が公開されています。
ジブリに関する物語が読みたくて、「スタジオジブリ物語」と併読していた一冊です。
1990年代のインタビュー集で、
インタビュアーの渋谷さんも著名な方なんですね。
二人のやり取りが途中喧嘩のようだし、
インタビュアーの考えを押し付けているような印象も受けましたが、文字だけだからですかね。苦笑
映画は受け取り手の見方、
感じ方に委ねたい部分もあるから、
名言はせず抽象的に伝えている印象の宮崎監督と、
だからこういうことでしょ、という感じのインタビュアー。
途中、インタビュアーの文章の方が長くて、
宮崎監督が「そうですね」の一言で返してるのは、
笑いました。苦笑
宮崎監督の最初の一言が、
「いや」「いや、だから」みたいな言葉が多くて、
インタビュアーが違うのか、
宮崎監督の元々の性格なのか、
あまり詳しくない私には判断できず。苦笑
子どもに向けて映画を作っているというのは、
とても腑に落ちました。
「あんな人いない」に対して、
「まだ出会ってないだけかもしれないよ」と言いたい、と。
ヒーローでもヒロインでも、特殊能力がなくても、
ちゃんと自分で立って頑張る、
千(千と千尋の神隠し)を描きたかったというのが印象的でした。
読んでいて宮崎監督節に苦笑いしたり、笑ったり、ほっこりしたり、はっとさせられたり。
宮沢賢治の本が読みたくなりました。
Posted by ブクログ
僕も大好きなジブリのアニメーション映画の数多くを手掛けている宮崎駿さんのインタビュー集。インタビュアーは音楽雑誌のほうで著名な渋谷陽一さん。1990年11月から2001年11月までのあいだの5度のインタビューを収録。
最初のインタビューこそ謙虚さが勝っていてまっすぐに応えようとしている姿勢が感じられるのです。しかし、だんだんと、インタビュアーに慣れてきたのでしょうか、あけっぴろげに感じられるところもあるし、歯に衣着せぬ発言も多数あるし、気難しげなところもあるしで、もともとけれんみの無いお人柄のようではあるのですがざっくばらんに話をしてくれている印象に変わっていきました。その結果、宮崎駿さんという、一人の人間であり、アニメーション映画監督であり、アニメーションの技術者であり、表現者であり、という丸ごとにすこしずつ触れられるような出来栄えの本になっていると思いました。そして、たびたび、「いやはや、面倒くさい人だな」と笑えてしまいました。
面倒くささでいえば、このなかで語られる手塚治虫さんについてもかなりです。漫画を描いているぶんには神様と言われるほどの天才的な技術と表現力を発揮する人でも、アニメーションの分野での仕事ややり口は、宮崎駿さんの言い分のよると「彼がアニメーションでやったことは僕は間違いだと思うんです」でした。製作を安く受け合ったり、イエスマンしか周りに置かなかったり、いろいろあったみたいです。
また、『エヴァンゲリオン』の庵野秀明さんと『攻殻機動隊』の押井守さんにたいする言及があるのですが、彼らへのすごいこきおろし方をしていてびっくり。読んでいくとわかりますけども、どうやら気心知れた仲みたいですね。アニメ世界の世間は狭いようで。
『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで、映画を作った動機やどういう流れの中での作品なのか、また背景にある宮崎監督の思想や知識(マルクスだとか照葉樹林文化だとか)を断片的に知ることができる内容でした。映画の一部分やキャラクターの解説になっているところもあります。
あと、コミック版『風の谷のナウシカ』に触れている箇所も多く、このコミック版にわくわくどきどきした者から言わせてもらうとぞくぞくしてくる話を聞けたような感じでした。名作だと思っているのですが、宮崎さんは苦役のようにこなしていたところがあるようで、スタジオで彼の半径何メートルかではコミック版ナウシカは無かったことになっている、と。もし誰かが触れたら怒鳴り散らされたり不機嫌になってどうしようもなくなったりしたそうです(やっぱり面倒くさいですね)。
なんていうか、クリエイター、表現者として、これだけいろいろ考えているし勉強されているし、っていうところが、一文一文にきらめいて見えるわけです。そのきらめきの光に力をもらうような読書でした。ほんとはこういう本をちまちま読みながら自分でも何か短篇小説をひとつ書いてみるだとかするとすごく楽しくなるんだと思うんですよ。なんか、よく分かっている人で、理解してくれるだろう人で、そしてライバルに設定できる人っていう感覚を持ちつつ書けるというような。読者想定がかなり具体的になるからかもしれないですね。宮崎駿さんを読者に想定して書きやすくなる、という。
それはそれとして、宮崎駿さんのバイオレンス性についてはあまり考えてこなかったですが、ふつうに自認しておられる様子。『ラピュタ』なんかでは「人が蟻のようだ」なんていって大勢死んでいったりしますし、『もののけ姫』でもばっさり刀で斬られるシーンがあったと思います。こういう暴力性の表現の意味っていうものについて、もっと話を読んでみたいです。同時に、僕も自分でもっと考えてみたいところでした。
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