乾ルカの一覧
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螺旋プロジェクト(私の中で)6冊目。
今まで読んだ中で一番海族と山族の対立に対する心の葛藤に焦点を当てた作品だと思う。先が気になり一気読みした。
対立する2人の少女が、それぞれ互いへの憎悪に苦しみながらも、それを乗り越えて自分を律していく様がとても丁寧に描かれていて感動的だった。螺旋プロジェクトの
...続きを読む設定に一番ガッツリと向き合っている小説ではないだろうか(これまで読んだ中では)。哀しさの中に力強さを感じる作品だった。
乾ルカの他の著書も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
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心臓移植で助かった子の周囲の人視点で描かれる物語
メインの章六つと、プロローグ的な「終焉」とエピローグ的な「誕生」
終焉
第一章 若葉のころ
第二章 なぐさめ
第三章 気の毒な子
第四章 幸福の対価
第五章 バイオリニスト
第六章 私の音
誕生
第一章は、同じ時期に同じ病気で救う会を立ち上げ
...続きを読むたにもかかわらず、寄附金額が集まらずに助からなかった子の母親視点
助かった子と自分の子は何が違ったのか?という問い
初っ端からして重い……
募金活動中に聞こえる声
もう1回作った方がコスパ良くね?という言葉
私が子供の頃も似たような事を考えてたなぁ
まぁ今でも、そのお金を他の事に使えばもっと多くの命を助けることができる、とか思わないでもない
ただ、多少の知識がついたから、そこまでして一人の人間を助ける意義は考えられるようにはなった
個人、家庭、日本、アメリカ、人類、それぞれのスケールでメリット・デメリットを考えれば、まったく無意味な行為でもないのはわかる
そのメリットを自分が享受できない人にとってはコスパが悪く思えても仕方がないかな
外食している姿への批判
まぁ、募金した相手が自分の生活レベルより上や同程度の場合、そんなやっかみを感じる人はいるでしょうね
本当に子供の命を救いたいのであれば、まずは私財を投げ売ってでも金を作れよと
集金のしやすさも、どうメディア受けするかがポイントというのも納得できない人もいるでしょうね
作中のようにテレビで取り上げられたらそりゃぁ集まりやすくなるでしょうし
出演するためには何らかの伝手があった方が有利だし
そんな伝手のある人は元々裕福な家庭の場合が多いと……
似たような条件で、助かった子がいて、我が子は亡くなったという事実
何が違ったというのか?
我が子は何を望んでいたのか?
親として何をしてやれるのか?
こんな立場の人がいるのは想像できるけど、今までそこまで深く感情移入したことはなかったなぁ
一章は何から何まで重い……
そして、第二章
明音の立場がまた酷い……
1億五千万円さん
命はお金で買える事を教えてくれてありがとう
いや、まぁ事実ではあるんだけど、事実を言っても名誉毀損になる場合はあるんですけどね
ネットでは事実陳列罪という造語があるけど、あれも同じようなものかな
生徒のために何とかしてあげたいというのも教師のエゴ
ただ、普通の場合はその行為は責められるものではないけど、本作の状況で言うと「ちょっとねぇ……」というあたりがポイントだろうか
ってか、大きなものを背負っている子に、これ以上の責任感を背負わせるものではないわなぁ……
日本人が渡米して移植手術を受けるのは、順番を抜かしているという指摘
病状によって優先度が異なり、渡米するほどの病状だから優先されているというだけなんだけど
では、アメリカでは臓器の供給は十分なのかというとそうでもないし
適合の問題もあるので、日本からその子が行かなければ元々は臓器移植を受けるはずだった子は存在する
そして、移植を受けられなくなった事で、結果命を失うケースはあるのではなかろうか?
となると、人類全体で考えれば救える命の数は増えていないので、順番を抜かしているという指摘も成り立つ場合がある
前述の通り、そのお金を他の事に使えばもっと多くの命を救う事ができたのではなかろうか?というのは考えていかなきゃいけないと思うよ
緊急時にはトリアージを行うのに、平常時はたった一人の命を救うために莫大なコストを払うのは矛盾じゃなかろうか?
三章はともかく、後半の部分はネタバレになるのであまり感想を書けない
四章はある意味で幸せが描かれてあるけど、その後の展開がまた落差があって、より一層のもどかしさを感じる
「あなたはまるで、人の死を自分の幸福に変えて生きているようだ」
という言葉を投げかけられても、それを受けれる明音
そんな事はこれまで何度も自問していたでしょうからね
「意味のない人生はない、人には必ず役目がある」というのも捉え方によってととても重い
沢山の人の善意と亡くなった一人の命があり、そのおかげで助かった命で社会に還元するために生きている明音に、また重いものを乗っけるかぁ……
五章、六章が一番の主題でしょうか
冒頭の「終焉」では、バイオリンの描写によってミスリードを狙っているのだろうけど、ここでそのシーンの意味が推測できるようになっている
ここで「意味のない人生はない、人には必ず役目がある」という言葉が重くのしかかる
何のために自分は助かったのか?
相手の望む事をしてあげる事なのか?
ってか、四章がなければ五章の状況にはならなかったわけで、個人的には本当にそれが明音の役目なのかと疑問に思うけどね
読後感としては、東野圭吾の「人魚の眠る家」を読んだときにも似たような気持ちになった
ときどき心臓がバクバクいってるのを感じた
「救う会」に対する考えも変わってない
基本的に否定的だけど、「自分の子が」という仮定を考えると親の気持ちは理解はできる
ただ、これを読むと、助かった後も我が子にそんな重いものを背負わせていいのかという疑問を感じる
一生背負っていく事になるわけで、なかなかに大変な事だ
ところどころで「母親ぁーーー!」と憤りを感じた箇所もある
選択を子供に与えるという形で、結局は重いものを背負わせている
助かった後も、生きるための処世術は確かにその通りなんだけど、もっとこうやりようはあったのではないかと……
本当に子供のことを考えるのであれば、責任は全て自分が背負う覚悟は必要ではないですかね?
Posted by ブクログ
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螺旋プロジェクト第5弾。
昭和初期の戦時下の物語。
海族の個人と山族の個人がぶつかる話でした。螺旋プロジェクトのこの作品より前の時代を描いた作品はどちらかと言えば、一族としての海族vs山族であったり、血統としての海族vs山族であったりしていたので、これまでの時代の話とはちょっと違うな、と感じまし
...続きを読むた。
この作品での、海族は清子、山族はリツ。二人は敵意をお互いに抱いていてそれをストレートに表現する。これは大人じゃなくて、まだ少女だからかな?実際、清子のお母さんも、海族の身体的特徴があるけど、その山族に対する敵意をコントロールすることができていたので。
この物語は渦巻模様の首飾りのお守りがとても重要なアイテムになっていました。この首飾りのお守りが、壊れるとき・・・。で、この首飾りが壊れてから、清子もリツの成長していく。二人とも強くなるんです。
この物語での「超越した存在」源助爺さん。「ウナノハテノガタ」のウェレカセリと同じような風貌のイメージ。この源助爺さんが「超越した存在」になったと実感したことを語るところはビックリ。リツの存在がそうさせたんですね。
清子のお母さんは、海族の一員として、誇り高い存在だと思いましたが、同時に山族の人たちと出会っても、その敵意をうまくコントロールして無益なムダな争いはしないようにしていたのも、凛としていてステキだな、と思いました。嫌いあっていても争わずにやり過ごすことが大切って。
エンディングは個人的にはショッキングでした。同時に力強い希望も感じましたが。
また、エピローグ的な書き下ろしの短編があって、本編のエンディングから15年ぐらい?経った後の話がありましたが、この書き下ろし短編が追加されたのも良かった。清子もリツも戦禍を生き抜いて良かったな、としみじみ思いました。
物語の直接的なテーマではないと思いますが、戦争ではだれも幸せになれないな、と思いました。
ラムネが出てきたり。螺旋プロジェクトの年表にあった「絵本」の元ネタっぽいものが出てきたり。また、ある天皇の名前が語られていたり。リツにクジラっていう生き物がいることを説明していたり。この作品でも螺旋プロジェクトのつながりを感じながら楽しむことが出来ました。
悲しいエピソードもありましたが、楽しく読めました。面白かったです!
引き続き、螺旋プロジェクトを読んでいきます。
Posted by ブクログ
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乾ルカさんを読んだことがない人に一冊薦めるなら間違いなくこの作品。「プロメテウスの涙」「蜜姫村」も面白いけど、怖いのが苦手な人にはハードル高そうなので…。
10年ちょっと前にNHKでドラマ化されていたそうで(知らなかった…)、出演者のお顔を思い浮かべながら読むと没頭できた。
二号室 遠藤さんの「〜
...続きを読む〜だよぅ」という話し方、おじさんなのになぜかかわいく見える。おじさんなのに。
三号室 石黒さん 生前タレントだった女性だけど、関わった仕事が次々ダメになりつくづく運がない。同居する長久保さんとの掛け合いが、長年連れ添った夫婦のようで楽しい。長久保さんが道を外れそうになったときは真剣に怒るし、資格取得の勉強中には一緒に勉強して伴走してくれる人。
(以下、石黒さんの出演作)
「こぶ茶牛乳ラーメン」CMの昆布の役→異物混入で製造中止(いやいや、どんなラーメンかよ。味の想像がつかんわ)
長久保さんの(あいつ、あの昆布だったのか)という口から出ないツッコミも最高。笑
「T銀行」のポスター→破綻
映画「君の愛に☆KANPAI」→観客動員がなく、配給会社が潰れる寸前
「ラッキーパンチは当たると痛い」→月9初の二回短縮打ち切りドラマ
その他「朝まで五時間」「午前零時の牛丼特盛り」「俺の股の下をくぐれ!」など…細かい設定に乾先生の遊びを感じて面白かった。
五号室 事故で亡くなった兄の百日参りをするため、短期で入居した真由美さん。
この本の中では、ある意味逆に特異体質の人。最後に兄の存在を感じて目的を成就したシーンでは、通勤中のバスの車内なのに泣きそうになった。
このエピソードから、大家さんが何者かも徐々にわかりはじめる。大家さんも最後まで住民を思いやれるとても素敵な人。
読後、心が温まるような爽やかな気分になれた。
Posted by ブクログ
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螺旋シリーズ4冊目。
裏表紙とかのネタバレあらすじは極力読まないようにしてるけど、帯にある「相剋するふたりの美しい少女が目覚め、祈るとき、新しい世界の物語が始まるーー」だけは目が行ってしまったので、そこから女の子たちのあら〜、な展開かと思いきや、普通に山と海の対立バチバチで憎しみ合う上に、舞台は大
...続きを読む戦末期という、だいぶ救われない話だった。
ただ、主人公二人の描写がとても良く、特に野生児のリツを応援したくなってしまう。
しかし、この山の海の一族の身体的特徴、別作品だと「よく見ると目の色が違うように思える」程度だった気がしたが、今作ではもうはっきりと青。子供同士のいじめに使われるレベル。誰がいつ見ても青というわけではなく、条件によるとか、少なくとも普通はそこまで気づかないくらいのものだと思ってたが… まあ、あくまでも同じコンセプトから派生しただけでどう表現するかは作者次第だからこういうこともあるか。特に大戦中で目が青いという要素があれば、そりゃ鬼畜米英の血が入ってるとかに使いやすいよな。
あと、首飾りも明らかに命を救うという超常能力が備わっててそこも他の作品と違う気がしたが、前回のもののふの国でも山と海の両属性持つ人達が神の使いみたいな感じになってたし、まあ似たようなもんか。
後半からは、どうにも馬の合わない相手でも自分の憎しみを制御することが肝心という、人生の教科書みたいな内容になってきて、道徳の教科書かな?みたいな感想をちょっと持ちながらも、ちゃんと成長していく二人をもはや親目線で見守ることに。どうか幸せになってくれ〜。
リツの兄ちゃんが山越えようとして顔潰されて死んだのだけがよくわからなかったな…
Posted by ブクログ
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