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Posted by ブクログ
この本の主人公蒼と、『成瀬は天下を取りにいく』の成瀬は、周りの人との共感力が小さいという意味では、よく似たキャラクターであるように思う。
周りを気にせず、「我が道を行く」という点でもよく似ているのだろう。
しかしあちらがベストセラーになって本屋大賞もとるのに、こちらがそうでないのは、成瀬が目指すものが、一般人の私たちにとってわかりやすく、ある意味「俗っぽい」からなんじゃないだろうか。西武の大津店の閉店セールに一月通い続け、ローカルテレビの撮影に写り続けるということは、蒼が「夜間街光調査官」になるために、無名大学に進学することと、自分なりのロマンとこだわりをかたちにする・・・という意味では変わりないし、その現実的な意味での不毛さもそう変わらないはずだ。しかし成瀬の行動は、ある程度の人の着目を浴びて、その後の「びわ湖観光大使」というよりオフィシャルな地位にもつながっていったのに対し、おそらく蒼のほうはもっとごくごく狭い範囲の友人の共感を得るにすぎない。
成瀬のほうは、おそらく「プロジェクトX」のように、人知れず自分の道を進み、ほとんどは誰にも知られずに終わる人々に、スポットライトがあたったら良いな という人々の希望と妄想に基づくファンタジーなのだろう。
一方、こちらは、世の中にそんな仕事があるわけないと知りつつも、その妄想にとどまろうとする、ある意味より現実路線が描かれているのだろうと言える。
それでもこの作品が単に、妄想にしがみつきながら、現実に押し殺されていくかわいそうな女の子というだけに終わっていないのは、自分の夢のために子どもを犠牲にしながら、子どもにそれをうまく納得させようとしてきた親からの自立を描いているからなのだと思う。その自立のために必要なファンタジーとしての「夜間街光調査官」を成り立たせようとする主人公と同じ位置に立ちながら、彼女をささえてくれている友人たちに、読者も支えられるという構図になっているように思う。
そうした友人の代表格が冬子さんだが、この子のありえないくらい「良い人」像のリアリティを支えてくれているのが、きつい言葉を向けてくる看護助手の関さんだ。
この本は終始、蒼の視点から語られるが、『水底のスピカ』のように、これらの友人の視点からの物語で補完されることによって、よりリアリティが高まるのかもしれないとも思う。
ぜひ続編が読みたい。冬子や米田の支えがなくなっても、彼女がどこまで強く生きていけるのか、見てみたい。
Posted by ブクログ
高校生のあどけなさと葛藤が忠実に描かれた作品だった。主人公蒼に共感したり、考え方の違いに驚いたり…高校時代のあの心許なく、でも未来が無限大に広がっている浮遊感を久しぶりに感じた。
あの懐かしい時代を教えてくれた本作に感謝!!
主人公蒼は、1人でいることを好む。彼女の親は会社が忙しく、蒼はそれもあって1人で何でもこなせ1人が苦ではないのだった。
そして小学4年生のとあるときに同級生の米田から『夜間街光調査官』の話を聞き、蒼はその調査官になりたいと強く思うのだった。
時が経ち高校生になった蒼は、学校で小学校時代の同級生冬子と同学校の定時制に通う米田に再会する。蒼は、母親めぐみとの間に考え方の違い等から違和感をずっと感じていて、モヤモヤした期間をずっと過ごしていたのだった。しかし彼らに接するうちに、野球部にも属し徐々に心を開き始めていく。それはまるで蒼の心のなかに、"灯"が灯っていくような温かいものだった…
果たして彼らの行く末はー。
蒼は、母親との軋轢にどのように向き合っていくのか。そして『夜間街光調査官』になれるのかー。
本作を通して自分を他人に理解してもらえる難しさを痛感した。その反面、自分を理解してもらえたからといって、むずがゆく居心地が悪くなることもある。
だから蒼の近くにいて寄り添ってくれた米田や冬子という存在は、とてもかけがえのないものだと強く思う。
そして蒼という自分を曲げず、自分の気持ちに素直な少女に出会えて、とても勇気をもらえた。
みんながこれからも迷いながらも、
自分の道を突き進んで行けますように…
p.218 灯り
「灯りがもし見られたら、私はその小さな輝きを一生大事にするのだ。二つとない宝物みたいに、生涯そばに置く。そして、いつまで続くか知れない私の時間の中で、迷った時、足が止まった時、疲れ切ってうずくまった時に、胸の中から取り出して眺める。そうしたらきっと、もう一度歩き出せる気がする。」
Posted by ブクログ
感想
人とは違う自分。それを受け入れる友達の凄さ。何処に向かうのか分からない自分。見つかって良かった。
あらすじ
相内蒼は母子家庭で育った。他人と交わるのが苦手で子供食堂を経営する社交的なめぐみとは正反対の性格だ。
高校生になり、小学生の頃に一緒だった米田と再会する。米田は同じ高校の定時制に通っていた。小学生の頃、彼の父親が夜間街灯調査員をしていると聞き、蒼はそれになりたいと思っている。
蒼は米田の助けがしたくて超弱小野球部に入る。活動するうちに他の部員や女友達に、米田のことが好きだと勘違いされる。
蒼は、仲良くしてくれた冬子に、一人が好きなことを正直に伝える。理解ある良き母親でいたがる母にイラついていたが、ある日、母が乳がんであることが分かる。
地元ローカル番組に取り上げられた米田の放送を見て、米田が小さい頃に小児がんだったことが分かり、ショックを受ける。
蒼が3年になった夏の大会、米田がエースの創生高校は10数年勝っていなかったが、西川高校についに競り勝つ。
友達の助言もあり、何がやりたいか分からなくなっていた蒼は、夜景研究をしている大学に行こうと決め、必死の勉強で合格を勝ち取る。そこには米田の支えがあった。
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