小説 - 新潮社作品一覧

  • あいにくあんたのためじゃない 無料お試し版
    無料あり
    4.3
    1巻0円 (税込)
    過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっとある。 この世を生き抜く勇気がむくむくと湧いてくる、全6篇を収録。 『BUTTER』が大きな話題を呼び、社会の変化を敏感に掬い取りながら第一線を走り続けてきた作家の2024年3月新刊から、「めんや 評論家おことわり」を特別無料配信します。 *本稿は校了前のデータをもとに作成しています。そのため、刊本とは一部内容が異なる場合がございます。予めご了承ください。

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  • 落雷はすべてキス
    4.3
    1巻1,430円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 読む人の世界の美しさのきっかけになりたい――。webマガジン「yom yom」掲載詩を中心に、「最果タヒ書店」のグッズ、雑誌、SNS発表作品を加えた44編を収録。詩の映画化、個展、作詞、街とのコラボレーションなど、ジャンルを超え続ける詩人が、言葉にならない思いを紡ぎ、未知の感覚を呼びさます最新詩集。 ※このコンテンツは固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集―(新潮文庫)
    4.3
    受刑者たちが、そっと心の奥にしまっていた葛藤、悔恨、優しさ……。童話作家に導かれ、彼らの閉ざされた思いが「言葉」となって溢れ出た時、奇跡のような詩が生まれた。美しい煉瓦建築の奈良少年刑務所の中で、受刑者が魔法にかかったように変わって行く。彼らは、一度も耕されたことのない荒地だった――「刑務所の教室」で受刑者に寄り添い続ける作家が選んだ、感動の57編。
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)
    4.3
    君がまだ3歳か4歳だった頃、君と地面はもっと近かった。君の父親がついた小さな嘘。母親が打った特大のホームラン。心揺さぶられた映画。性の目覚め。学生運動。パリでの暮らし。妻との出会い。外見はまるで変わっても、君はまだかつての君なのだ――。人生の冬にさしかかった著者が、身体と精神の古層を掘り起こし、自らに、あるいは読者に語りかけるように綴った、温かで幻想的な回想録。
  • 帆神―北前船を馳せた男・工楽松右衛門―(新潮文庫)
    4.3
    「俺は日本の船すべてに俺の発明した帆を掛けさせたい」。江戸後期、播州高砂の漁師から廻船問屋を営む海商にまで上り詰めた松右衛門は、千石船の弱点である帆の改良に取り組む。船が速くなれば、流通が盛んになり民の生活が潤(うるお)う。仕事とは世のため人のためにするもの――。松右衛門は試行錯誤の末、板のように強く羽のように軽い「松右衛門帆」を発明する。日本海運業の革命児を描く歴史長編。(解説・高島礼子)
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)
    4.3
    地下鉄を東京に走らせる。〈非常識〉な大事業を決意した早川徳次。経験も資金もゼロだったが、大隈重信、渋沢栄一を口説き、ついに上野―浅草間を開業する。日本初の自動改札機やATSを導入、日本橋三越本店直結の駅も作った。だが、ライバルが現れた。のちの「東急」の五島慶太である。地下鉄の路線をめぐる非情な戦いが始まった……。夢を追いかけた非凡な実業家の波乱の生涯を描く傑作。(解説・酒井順子)
  • 草原のサーカス(新潮文庫)
    4.3
    大手製薬会社に勤める姉の依千佳(いちか)と、人気アクセサリー作家の妹の仁胡瑠(にこる)。それぞれの道で成功を掴んだ姉妹は、やがて日本を揺るがす治験データ捏造事件、そしてハラスメント騒動を引き起こす。たった一度でも踏み外せば、容易(たやす)く切り捨てられる世の中で、私たちは何を「正しさ」の指標にできるだろう。「間違えた」後も続く自分の人生と、傷ついた心への向き合い方を渾身の力で問う長編小説。(解説・芦沢央)
  • ぎょらん(新潮文庫)
    4.3
    人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)
  • オルタネート(新潮文庫)
    4.3
    高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」が必須の現代。料理コンテストでの失敗に悩む調理部部長の蓉(いるる)は、再びの挑戦を決断。高校を辞め居場所を探す尚志(なおし)は、音楽家らのシェアハウスに潜り込む。オルタネートを信奉する凪津(なづ)は、アプリが導く運命の相手を探す。そして文化祭の初日、三人それぞれに起こる奇跡――。10代の過酷さと煌めきを鮮やかに切り取る、青春小説の新たなマスターピース。(解説・重松清)
  • 成瀬は天下を取りにいく
    4.3
    1巻1,705円 (税込)
    中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない! 話題沸騰、圧巻のデビュー作。
  • 木挽町のあだ討ち
    4.3
    1巻1,870円 (税込)
    ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙は多くの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者という侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。現代人の心を揺さぶり勇気づける令和の革命的傑作誕生! ご購入いただいた方全員に、声優・関智一さんによる冒頭部分の朗読、20分のフルバージョンをスペシャルプレゼント! 巻末に掲載された二次元バーコードあるいはURLからお聴きいただけます。※購入者特典は事前の予告なく掲載が終了する場合があります。
  • ネイティヴ・サン―アメリカの息子―(新潮文庫)
    4.3
    1930年代、大恐慌下のシカゴ。アフリカ系の貧しい青年ビッガー・トマスは、資本家令嬢で共産主義に傾倒する白人女性を誤って殺害してしまう。発覚を恐れて首を斬り、遺体を暖房炉に押し込んだその時、彼の運命が激しく変転する逃走劇が始まった――。現在まで続く人種差別を世界に告発しつつ、アフリカ系による小説を世界文学の域へと高らしめた20世紀アメリカ文学最大の問題作が待望の新訳。
  • 木挽町のあだ討ち 無料お試し版
    無料あり
    4.3
    1巻0円 (税込)
    「ああ……あの仇討ちを見たかって。ええ、見ましたよ」 ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい少年・菊之助によるみごとな仇討ちが成し遂げられた。 父親を殺した下男を斬り殺し、その血まみれの首を高くかかげた勇姿はたくさんの人に目撃され、木挽町の語り草となった――。 二年のち、菊之助の知人だという若侍が芝居小屋で働く人々に仇討ちの詳細をたずねにくる。 木戸芸者、殺陣師、衣装係、小道具、筋書……、仇討ちの現場に居合わせた人々が自身の来し方を織り交ぜながら語る「木挽町のあだ討ち」の顛末、そしてその真相は――。 2022年上半期直木賞候補作『女人入眼』で大注目の著者による2023年1月刊行の最新長篇のなかから、第一幕を特別無料配信します。 *本稿は校了前のデータをもとに作成しています。そのため、刊本とは一部内容が異なる場合がございます。予めご了承ください。

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  • 月桃夜(新潮文庫)
    4.3
    薩摩の支配下にあった奄美。孤児のフィエクサは、父を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。砂糖作りに従事する奴隷のような身分の二人だが、フィエクサは碁を習い才覚を発揮、サネンは美しい娘に成長する。しかしサネンが薩摩の役人から妾に所望され、過酷な運命が動き出す――。濃厚な花の匂いの中、無慈悲な神に裁かれる禁断の絆。魔術的な魅力に満ちたファンタジーノベル大賞受賞作。(解説・吉田伸子)
  • 安土往還記(新潮文庫)
    4.3
    1巻572円 (税込)
    争乱渦巻く戦国時代、宣教師を送りとどけるために渡来した外国の船員を語り手とし、争乱のさ中にあっても、純粋にこの世の道理を求め、自己に課した掟に一貫して忠実であろうとする“尾張の大殿(シニョーレ)”織田信長の心と行動を描く。ゆたかな想像力と抑制のきいたストイックな文体で信長一代の栄華を鮮やかに定着させ、生の高貴さを追究した長編。文部省芸術選奨新人賞を受けた力作。(解説・饗庭孝男)
  • 西行花伝(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,155円 (税込)
    花も鳥も風も月も――森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために……。高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う“美”に身を置き通した行動の歌人。流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。谷崎潤一郎賞受賞。(解説・高橋英夫)
  • 丘の家のジェーン(新潮文庫)
    4.3
    うららか街の古い大邸宅で、12歳のジェーンは重苦しい生活を送っていた。彼女には父がなかった。頑なな祖母と美しい母は、なぜかそのことに触れたがらない。しかし突然、父からの手紙が届いた。プリンス・エドワード島で一緒に夏を過そうという。こわごわ出かけた彼女は、美しい自然と素朴な人情、そして何より父の深い愛情に包まれ、丘の上の小さな家で目ざましく成長してゆく。
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,045円 (税込)
    母の看病のため実家に戻ってきた32歳の都(みやこ)。アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら、寿司職人の貫一と付き合いはじめるが、彼との結婚は見えない。職場は頼りない店長、上司のセクハラと問題だらけ。母の具合は一進一退。正社員になるべき? 運命の人は他にいる? ぐるぐると思い悩む都がたどりついた答えは――。揺れる心を優しく包み、あたたかな共感で満たす傑作長編。(解説・藤田香織)
  • しろがねの葉
    4.3
    1巻1,870円 (税込)
    戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)
    4.3
    奇妙な老人が奇妙な部屋にいる。彼は何者なのか、何をしているのか――。オースター作品に登場した人物が次々と現れる「写字室の旅」。ある男が目を覚ますとそこは9・11が起きなかった21世紀のアメリカ。代わりにアメリカ本土では内戦が起きている。闇の中から現れる物語が伝える真実。年間ベスト・ブックと絶賛された「闇の中の男」。傑作中編二作を合本。ここに新たな物語空間が立ち上がる。
  • 二人のクラウゼヴィッツ(新潮文庫)
    4.3
    ナポレオン戦争も終結し、士官学校校長となったクラウゼヴィッツ。取り組んだのは『戦争論』の執筆だった。宮廷女官長を務めた聡明な妻マリーに、六つの戦場を語っていく――。見えてくる戦争の変貌と軍事の要諦。国民皆兵制か傭兵か、制限戦争か絶対戦争か……。戦争について問い続けた夫と、理解者だった妻。二人で成し遂げた〈名著誕生〉の舞台裏を描く画期的小説。『フラウの戦争論』改題。(解説・佐藤賢一 )
  • 水平線
    4.3
    1巻2,750円 (税込)
    祖父母の故郷・硫黄島を墓参で訪れたことがある妹に、見知らぬ男から電話がかかってきた頃、兄は不思議なメールに導かれ船に乗った。戦争による疎開で島を出た祖父母たちの人生と、激戦地となった島に残された人々の運命。もういない彼らの言葉が、今も隆起し続ける島から、波に乗ってやってくルルル――時を超えた魂の交流を描く。
  • ナイフを胸に抱きしめて
    4.3
    1巻1,980円 (税込)
    父は、私達姉妹が幼い頃、外に女を作って家を出た。女手一つで私達を育てた母は、過労がたたって数年前に亡くなった。すべて忘れて過ごしていたはずなのに、唐突にあの女が現れた。可愛らしい女の子の母親として。私はあの女を許さない。私達の家族を奪って、自分だけ幸せになるなんて! 怨讐と贖罪の長編ミステリ。
  • ツナグ 想い人の心得(新潮文庫)
    4.3
    僕が使者(ツナグ)だと打ち明けようか――。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(解説・深木章子)
  • やまいだれの歌(新潮文庫)
    4.3
    中学を出て、その日暮らしを三年半。十代も終わりに近づいてきた北町貫多は、心機一転、再出発を期し、横浜桜木町に移り住み、これまでの日雇いとは異なる造園会社での仕事をはじめた。三週目に入って、事務のアルバイトとして貫多と同い年の女の子がやってきた。寝酒と読書と自慰の他に特に楽しみのなかった貫多に心を震わせる存在が現れたのだった。著者初の幻の傑作長編、ついに文庫化。(解説・山下敦弘)
  • 曼陀羅華X
    4.3
    1巻3,630円 (税込)
    1995年、地下鉄にサリンが撒かれ、教祖が逮捕される。だが、教団は公判直後に教祖を奪還、後の歴史は軋みながら軌道を変えた。「予言書」としてその筋書きを書いたのは、教団に拉致され姿を消した作家X。だがそこには、復讐というもう一つのシナリオが埋め込まれていた。魂が共鳴する、当代随一の琵琶法師的現代文学。
  • 欺す衆生(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,155円 (税込)
    戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した隠岐隆は同じく元社員の因幡充に勧誘され、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に才能を開花させる隠岐。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってきた。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは光明か地獄か。山田風太郎賞受賞の犯罪巨編。(解説・酒井貞蔵)
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)
    4.3
    パリでの弁護士生活を捨て、暗い運河の町・アムステルダムに堕ちてきた男、クラマンス。彼の告白を通して、現代における「裁き」の是非を問う、『異邦人』『ペスト』に続くカミュ第三の小説『転落』。不条理な現実、孤独と連帯といったテーマを扱った六篇の物語からなる、最初で最後の短篇集『追放と王国』。なおも鋭利な現代性を孕む、カミュ晩年の二作を併録。
  • ウォーターダンサー
    4.3
    19世紀中盤、アメリカ・ヴァージニア州。神秘的な力を持つ黒人奴隷のハイラムは、奴隷逃亡のネットワーク「地下鉄道」の活動に加わることで、自らが持つ力の意味とその秘密を知っていく。秘密を解く鍵は失われた母の記憶――。トニ・モリスンが「ボールドウィンの再来」と絶賛した、いま最も注目される作家による初長篇小説。
  • 水よ踊れ
    4.3
    1巻2,420円 (税込)
    「返還」前夜の香港。和志は恋人の死の謎を追い、交換留学生として再びその地を訪れる。幽霊屋敷に間借りする活動家、ベトナムのボートピープル、「共産党員」と噂される大物建築家。次第に浮かび上がる香港の実相。やがて、和志は民主化運動の渦に呑まれてゆく。生と、自由の喜びを高らかに謳う、圧巻の社会派エンタメ。
  • 月の炎(新潮文庫)
    4.3
    初めて見る皆既日食に小学五年の弦太たちは沸き立った。しかし、その日から、クラスメイトの家や学校の兎小屋などで放火事件が相次ぐ。消防士として殉職した父に似て強い正義感をもつ弦太は、友達と共に犯人捜しに動き出す。だが、危険を冒しながら辿り着いたのは、せつないほど歪(いびつ)な光と影だった。父が遺した言葉を守る少年が、大人になるための嘘と痛みを知っていく鮮烈な青春ミステリー。(解説・中江有里)
  • ひとつむぎの手(新潮文庫)
    4.3
    大学病院で激務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば……。キャリアの不安が膨らむなかで疼く、致命的な古傷。そして緊急オペ、患者に寄り添う日々。心臓外科医の真の使命とは、原点とは何か。リアルな現場で、命を縫い、患者の人生を紡ぐ熱いドラマ。傑作医療小説。
  • われもまた天に
    4.3
    1巻2,200円 (税込)
    インフルエンザの流行下、幾度目かの入院。雛の節句にあった厄災の記憶。改元の初夏、山で危ない道を渡った若かりし日が甦る。梅雨さなか、次兄の訃報に去来する亡き母と父。そして術後の30年前と同じく並木路をめぐった数日後、またも病院のベッドにいた。未完の「遺稿」収録。現代日本文学をはるかに照らす作家、最後の小説集。
  • 嘘 Love Lies(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,045円 (税込)
    幼い頃に養父を亡くし、母親の愛人から日常的に暴力を受けていた刀根秀俊に、十四歳のとき初めて気の置けない存在ができた。同じクラスの美月、陽菜乃、亮介だ。四人で過ごすかけがえのない時間は、しかし、ある事件で一変する。それから二十年。秀俊は暴力の連鎖から抜け出せず、彼を思う美月、そして陽菜乃と亮介もまた、秘密と後悔にもがいていた。絶望の果てに辿り着く、究極の愛の物語!(解説・馳星周)
  • 秘録 島原の乱(新潮文庫)
    4.3
    1巻737円 (税込)
    慶長二十年大坂の陣。炎上する大坂城を密かに脱出した豊臣秀頼は、遥か薩摩で捲土重来を期していた。時を経て寛永十四年、三代将軍徳川家光の治世に島原で百姓一揆が起こった。死を恐れぬ切支丹や暗躍する忍びの願いはただひとつ。徳川の天下を覆して豊臣の世を回復すること。その中心にいる天草四郎時貞に流れる血脈は……。「最後の戦国合戦」と称される島原の乱を大胆に描いた空前の歴史小説。
  • 恋するアダム
    4.3
    独身男のチャーリーは、母親の遺産を使って最新型アンドロイドを購入した。名はアダム。どんな問題も瞬時に最適解を出すAI能力を利用して、チャーリーは上階に住む女子学生ミランダと恋仲になることに成功した。だが彼女は重大な過去を秘めており、アダムは彼女に恋心を抱きはじめる。人工知能時代の生命倫理を描く意欲作!
  • 母性(新潮文庫)
    4.3
    女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語(ミステリー)。(解説・間室道子)
  • 小説 イタリア・ルネサンス2―フィレンツェ―(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,210円 (税込)
    公職追放処分となったマルコは心機一転、フィレンツェへと旅に出る。しかしメディチ家が善政を敷いたかつての「花の都」は、いまや皇帝カルロスを後ろ盾にしたメディチ家の庶流アレッサンドロの独裁する傀儡国家へと堕していた。マルコはカルロスの間諜だった恋人オリンピアと再会を果たしたが、二人はメディチ家の泥沼の内部抗争に深く巻き込まれていくのだった。『銀色のフィレンツェ』改題。
  • 小説 イタリア・ルネサンス1―ヴェネツィア―(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,210円 (税込)
    時は16世紀。ヴェネツィア共和国の若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとイスラムの盟主トルコに挟撃される国難打開の密命を託される。しかし、トルコでマルコを出迎えた旧友で敵国の宮廷深くに通じるアルヴィーゼの瞳にひとたび暗い光が灯ると、世界の命運は激しく変転していくのだった……。愛と陰謀が渦巻くルネサンス時代を描いた傑作歴史小説。『緋色のヴェネツィア』改題。
  • 新徴組(新潮文庫)
    4.3
    総司の義兄にして天然理心流の剣客沖田林太郎は、新選組勢と袂を分かち、新徴組創設に加わる。その上役たる酒井玄蕃(げんば)はフランス式兵法をも修めた英才だった。そして戊辰戦争が勃発。庄内藩中老の玄蕃が指揮し林太郎らが支えた歩兵隊のスナイドル銃は、勢いづく官軍を食い止め歯軋りさせた。だが時代は彼らの不敗神話さえ呑み込んでゆく。著者が父祖の地を舞台に描く二人の漢(おとこ)の物語。(解説・池上冬樹)
  • わかって下さい(新潮文庫)
    4.3
    人生の折り返し地点をとうに過ぎ、もう恋など忘れたはずだった――。結婚を考えるほど愛していたのに、突然消えた女。四十年後の再会、そして別れの理由に涙する表題作。その他、若き日に性の手ほどきを受けた人妻の娘に出会う「観覧車」、離婚した幼馴染みへのひそかな思慕を描く「土産話」など、全六作を収録。年齢を重ねたからこそわかる、深い味わいと切なさに満ちた、名手による最期の恋愛短編集。(解説・吉田伸子)
  • 信長を生んだ男(新潮文庫)
    4.3
    兄が猛虎になるなら、己は支える龍となる――。大うつけと蔑まれる信長のなかに、弟信行が見出した比類なき強者の資質と、猛虎の意志。だが真の覇者となるには、何かが決定的に欠けていた。兄の弱さに気づいた信行は、密かに身命を賭けた策に出る。すべては兄のために。信長の正室帰蝶を巻き込んで、信行最後の大勝負が始ま った……。定説を覆し、誰も描かなかった歴史の真実を摑む傑作。(解説・大矢博子)
  • カーテンコール!(新潮文庫)
    4.3
    閉校が決まった私立萌木女学園。単位不足の生徒たちをなんとか卒業させるべく、半年間の特別補講合宿が始まった。集まったのは、コミュ障、寝坊魔、腐女子、食いしん坊……と個性豊かな“落ちこぼれ”たち。寝食を共にする寮生活の中で、彼女たちが抱えていたコンプレックスや、学業不振に陥った意外な原因が明らかになっていく。生きるのに不器用な女の子たちの成長に励まされる青春連作短編集。(解説・岩田徹)
  • 忍びたちの本能寺(新潮文庫)
    4.3
    本能寺の変の真相を探れ――。特命をうけた甲賀忍びの伊兵衛は、美貌のくノ一於夕や千蔵らと探索を開始した。他の忍びの妨害をかわし疑わしい人物を洗っていく。近衛前久、勧修寺晴豊、神主の吉田兼和、御所、そして伴天連の筋。愛宕山の連歌の謎や奇妙な日記が意味することは何か。京都と丹後宮津、浜松をつなぐ点と線、非情なる密約の構図とは。歴史の闇に大胆に挑み新説を提示する傑作。(解説・縄田一男)
  • 小公子(新潮文庫)
    4.3
    アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて――。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。(解説・鴻巣友希子)
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    4.3
    ようこそ、村上さんの井戸へ――川上未映子はそう語り始める。少年期の記憶、意識と無意識、「地下二階」に降りること、フェミニズム、世界的名声、比喩や文体、日々の創作の秘密、そして死後のこと……。初期エッセイから最新長編まで、すべての作品と資料を精読し、「村上春樹」の最深部に鋭く迫る。十代から村上文学の愛読者だった作家の計13時間に及ぶ、比類なき超ロングインタビュー!
  • 家なき子(上)(新潮文庫)
    4.3
    優しくぼくを見つめる、母と思っていたその人は母ではなかった。ぼくは捨て子だったのだ……。家を追われた8歳の少年レミは、謎の老旅芸人ヴィターリスの一座に加わり、芸をする動物たちとともに巡業の旅に出発する。大都会から炭鉱町まで、時に厳しい荒野を渡り、吹雪を耐え、川を越え――レミは真の幸福を求めて旅を続ける。時代を超えて読み継がれるフランスの児童文学の傑作を完訳!
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)
    4.3
    一六三二年、英国に生れた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから二十八年に及ぶ無人島生活が始まった――。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼い慣らしてバターやチーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が……。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険文学の金字塔。待望の新訳。
  • 夜間飛行
    4.3
    1巻1,760円 (税込)
    昭和四十年代の東京に花開いた文壇バー。その拠点たる銀座で、文士たちの両眼を虜にし、「最後の女給」と謳われた女。九州の料亭の娘に生れ、美貌ゆえに数奇な運命を強いられたその短くもパワフルな生涯を、姪の眼から辿った長編小説。銀座が不夜城を誇り、地方が活力に満ちていた昭和を、ノスタルジーたっぷりに再現する。
  • 謎の毒親(新潮文庫)
    4.3
    命の危険はなかった。けれどいちばん恐ろしい場所は〈我が家〉でした――。母の一周忌があった週末、光世は数十年ぶりに文容堂書店を訪れた。大学時代に通ったその書店には、当時と同じ店番の男性が。帰宅後、光世は店にいつも貼られていた「城北新報」宛に手紙を書く。幼い頃から繰り返された、両親の理解不能な罵倒、無視、接触について――。親という難題を抱える全ての人へ贈る相談小説。
  • 公園へ行かないか? 火曜日に
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    2016年11月8日、わたしはアメリカで歴史的瞬間に居合わせた、はずだった――。世界各国から作家や詩人たちが集まる、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、英語で議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した3ヶ月。現地での様々な体験から感じたことを描く11の連作小説集。
  • 七夕の雨闇―毒草師―(新潮文庫)
    値引きあり
    4.3
    「……り……に、毒を」被害者は奇妙な言葉を遺して死んだ。毒物の正体は不明。親戚にあたる星祭家では独特な七夕祭を執り行っており、異様な事件が連続する。《毒草師》御名形史紋らは、京都に乗り込んだ。和歌に織り込まれた言霊を手掛かりに、笹・砂々・金・星の言葉を読み換え見えてくる禍々しい真相、日本人を縛る千三百年の呪。「七夕」に隠された歴史を明察する傑作民俗学ミステリー。(解説・中野信子)
  • 影の中の影(新潮文庫)
    4.3
    血も凍る暴虐に見舞われた故郷から秘密を抱えて脱出したウィグル人亡命団と、彼らを取材中のジャーナリスト仁科曜子が、白昼の東京で襲撃された。中国による亡命団抹殺の謀略だ。しかし警察は一切動かない。絶体絶命の状況下、謎の男が救いの手を差しのべる。怜悧な頭脳と最強の格闘技術をそなえた彼の名は、景村瞬一。冒険小説の荒ぶる魂がいま甦る。疾風怒濤のノンストップ・アクション。
  • アクシデント・レポート
    4.3
    1巻2,728円 (税込)
    御巣鷹山の悲劇は空前絶後ではなかった。しかも今度は一機だけでなく、ブラックボックスが見つからず真相は闇に覆われる。事故関係者と遺族、生存者の証言から浮かび上がる人間模様、政府と企業の体たらく、文化芸能、沖縄・原発の問題、そして隠されたこと。刊行自体が「アクシデント」な劇薬小説。
  • 光の犬
    4.3
    1巻1,760円 (税込)
    北の町に根づいた一族三代と、そのかたわらで人々を照らす北海道犬の姿。助産婦の祖母の幼少時である明治期から、父母と隣家に暮らす父の独身の三姉妹、子どもたちの青春、揃って老いてゆく父母とおばたちの現在まで……。百年以上に亘る一族の姿を描いて、読後、長い時間をともに生きた感覚に満たされる待望の長篇!
  • 愛なんて嘘(新潮文庫)
    4.3
    恋人の家に転がり込んできたのは、とっくの昔に離婚したはずの彼の元妻だった。ひとつの場所にとどまることのできない女の存在が二人の関係を変える(「夜を想う人」)。一度は別れを選び、それぞれが新しい伴侶を見つけ、子供も授かった元夫婦の約束とは(「二人のプール」)。裏切りに満ちたこの世界で、信じられるのは私だけ? 平穏で幸福な愛の“嘘”に気づいてしまった男女を繊細な筆致で描く六篇。
  • ノーラ・ウェブスター
    4.3
    夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。
  • 逢魔(新潮文庫)
    4.3
    1巻605円 (税込)
    抱かれたい。触れられたい。早くあなたに私を満たして欲しい――。身分の違いで仲を裂かれ、命を落としたはずの女との、蕩(とろ)けるほどに甘く激しい交わり。殿様の側室と女中が密かにたがいを慰め合う、快楽と恍惚の果て。淫らな欲望と嫉妬に惑い、魔性の者と化した高貴な女の告白。牡丹燈籠、雨月物語、四谷怪談、源氏物語……古(いにしえ)の物語に濃厚なエロティシズムを注ぎ描き出した、八つの愛欲の地獄。
  • ツナグ(新潮文庫)
    4.3
    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
  • ゆらぐ玉の緒
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    老齢に至って病いに捕まり、明日がわからぬその日暮らしとなった。雪折れた花に背を照らされた記憶。時鳥の声に亡き母の夜伽ぎが去来し、空襲の夜の邂逅がよみがえる。つながれてはほどかれ、ほどかれてはつながれ、往還する時間のあわいに浮かぶ生の輝き、ひびき渡る永劫。一生を照らす生涯の今を描く全8篇。古井文学の集大成。
  • やすらい花
    4.3
    1巻1,408円 (税込)
    散る花とともに四方へ飛び散る悪疫を鎮めようとする鎮花祭。いまも歌い継がれるという夜須禮歌。豊穣を願う田植歌であり、男女の契りの歌でもあるおおらかな古来の節回しに、鮮やかに甦る艶やかな想い。その刻々の沈黙と喧騒――歳月を超えた日常の営みの、夢と現、生と死の境目に深く分け入る8篇。待望の最新連作短篇集。
  • 星の王子さま
    4.3
    砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった……。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後七十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
  • 姥ざかり
    4.3
    娘ざかり、女ざかりを過ぎてもオンナには、輝く季節が待っている――何故シルバーシートは片隅にしかないのか、年寄りらしく生きよ、気がねをせよとは何ごとぞ、わび、さび、枯淡の境地などマッピラゴメン、若いもんに煙たがられようとも言いたい放題、やりたい放題、姥よ、今こそ遠慮なく生きよう! 胸をはり、誰はばかることなく己が道を行く76歳歌子サンの姥ざかり。
  • 手毬
    4.3
    夢にも見るほど憧れて慕う良寛さまに差し上げようと、今日も日がな一日七彩の絹糸で手毬をかがる若き貞心尼。――17歳の秋に医者に嫁いで5年、夫の急死で離縁され24歳で出家した長岡藩士の娘、貞心が、70歳の良寛にめぐり逢ったのは30歳の時だった。行商のいなせな佐吉に恋慕をぶつけたくなる貞心のもうひとつの心の安らぎと、師弟の契りを結んだ最晩年の良寛との魂の交歓を描く。
  • 金閣炎上
    4.3
    1巻715円 (税込)
    昭和二十五年七月二日未明、鹿苑寺金閣は焼亡した。放火犯人、同寺徒弟・林養賢、二十一歳。はたして狂気のなせる業か、絢爛の美に殉じたのか? 生来の吃音、母親との確執、父親ゆずりの結核、そして拝金主義に徹する金閣への絶望……。六年の後、身も心もぼろぼろになって死んでいった若い僧の生を見つめ、足と心で探りあてた痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。
  • マルテの手記
    4.3
    青年作家マルテをパリの町の厳しい孤独と貧しさのどん底におき、生と死の不安に苦しむその精神体験を綴る詩人リルケの魂の告白。
  • 薔薇の雨
    4.3
    年下の男との恋に落ちて5年。新鮮さがいつか馴れ合いになり、ときめきは穏やかな親近感に変わった今、留禰は別れが近いと知る。もはや止めることができない恋の終わりを受け入れようとする女、その心に溢れくる甘やかな悲しみを描いた表題作ほか、恋愛に翻弄され人生に行き惑う男女のありさまを、抒情豊かな筆致で描き上げた5篇。芳醇な味わい、深い余韻。まさに恋愛小説の傑作。
  • くまちゃん
    4.3
    風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが……。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
  • 軍艦長門の生涯(上)
    4.3
    1~3巻770~814円 (税込)
    総排水量4万3千トン、40サンチ砲8門搭載、最高速力26.7ノット。世界最大・最強・最高速の戦艦としてその威容を誇った軍艦長門は、帝国海軍の栄光と矛盾を一身に背負って激動の大正・昭和期を生きた。連合艦隊が壊滅し、ただ一隻生き残った長門を、敗戦後待ちうけていたのは劇的な終焉……。一隻の軍艦の生涯を通して今よみがえる、“あの時代”の日本と日本人の一大スペクタクル!
  • みずうみ
    4.3
    故郷を離れている間に友人と結婚した恋人に、美しい湖のほとりで再会したラインハルトは、過ぎ去った青春が戻らないことを知って去ってゆく。――若き日の恋人に寄せるはかない老人の思いを綴る『みずうみ』。併録の『ヴェローニカ』は、死の予感のはしる美しい人妻の痛ましい恋を、『大学時代』は、貧しい美貌の少女の可憐な反逆を描く。いずれも詩情あふれる美しい恋物語である。
  • 冬の物語
    4.3
    北欧の春は華やかに押し寄せ、美しい夏が駆け抜けると、長く厳しい冬がひたすらつづく。ナチス・ドイツ占領下にあった冬の時代、デンマークの人びとの生の営みを、大自然のなかに灯された命の輝きとして描きだす。『アフリカの日々』の作家が物語る力を存分に発揮した作品集。〈イサク・ディネセン生誕一三〇周年〉
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇
    4.3
    夜ごと体を離れて首だけが恋人のもとに通う娘の怪しげな恋慕と残酷な死「首の飛ぶ女」。長風呂がたたってガイコツになった少年の病名は突発性溶肉症と診断された「事故」。夢の中に現われる世にも醜悪な男のたくらみ「交換」。元宰相ボーブラ氏はいかにしてカボチャ顔になったのか「カボチャ奇譚」など、幻想・残酷・邪心・淫猥な世界を、著者独特の文体でえぐりだす怪奇短編20編。
  • 聖痕
    4.3
    五歳の葉月貴夫はその美貌ゆえ暴漢に襲われ、性器を切断された。性欲に支配される芸術に興味を持てなくなった彼は、若いころから美食を追い求めることになる。やがて自分が理想とするレストランを作るが、美女のスタッフが集まった店は「背徳の館」と化していく……。巨匠・筒井康隆が古今の日本語の贅を尽して現代を描き未来を予言する、文明批評小説にして数奇極まる「聖人伝」。
  • レ・ミゼラブル(一)
    4.3
    1~5巻737~979円 (税込)
    わずか一片のパンを盗んだために、19年間の監獄生活を送ることになった男、ジャン・ヴァルジャンの生涯。19世紀前半、革命と政変で動揺するフランス社会と民衆の生活を背景に、キリスト教的な真実の愛を描いた叙事詩的な大長編小説。本書はその第一部「ファンチーヌ」。ある司教の教えのもとに改心したジャンは、マドレーヌと名のって巨富と名声を得、市長にまで登りつめたが……。
  • 井上成美
    4.3
    1巻1,034円 (税込)
    昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。 ※新潮文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
  • 死の島(上)
    4.3
    1~2巻770円 (税込)
    冬の朝、薄気味の悪い夢からさめた相馬鼎は創作ノートを繰りながら机の上に掛けられた絵を眺める。彼は300日前に展覧会場でみたその「島」という作品にひきつけられ、作者の萌木素子を尋ねる。暗い蔭をたたえた被爆者の彼女は、あどけなく美しい年上の相見綾子と二人で住んでいる。相馬が勤務先の出版社について間もなく、広島の病院から二人が心中したという報せをうける……。
  • 海市
    4.3
    妻のある画家・渋太吉は、旅先の伊豆南端の海村で蜃気楼のように現われた若い女性を愛しはじめる。渋はかつて一緒に死ぬ約束をした女性を裏切り、現在の妻とは離婚寸前の状況にある。やがて伊豆で逢った女性は親友の妻・安見子であることが判明するが、渋の安見子への思慕はやみがたく肉体関係を続ける。恋愛のいくつかの相を捉えて、頽廃と絶望の時代における愛の運命を追求する。
  • 怪物がめざめる夜
    4.3
    〈ミスターJ〉は、放送作家の私が仲間と創りあげた架空のコラムニスト。この正体不明の男が評判を呼んだとき、私は実在の男にその役割を振りあてた。彼がこれほどの〈怪物〉に育つとは思いもよらずに。深夜放送で若者の苛立ちや鬱屈を代弁してカルト的人気をえた彼は、毒舌で大衆を扇動しつつ、攻撃の矛先を意外な方向にむけ始める……。情報化社会にひそむ恐怖を描く現代の都市伝説。
  • 校舎の静脈
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    なかに入るとタイムスリップするという給食運搬用のリフト。毎日屋上からフェンスを越えて飛び降りるとささやかれる安行という謎の男。こことは並行して存在する異世界に思いをめぐらす少女。一見平凡そのものにみえる学校のかげに生じるかすかな綻び……。現実に微妙なズレを感じつつ生きる少年少女達を描く表題作他三篇。
  • 新潮モダン・クラシックス 失われた時を求めて 全一冊
    4.3
    作家志望の「ぼく」が味わう苛烈な恋、そして「時」の不思議――。あまりの長大さと複雑な文体ゆえに、名声ほどには読破する者の少なかった二十世紀小説の代表作が、いま蘇える。現代を代表する小説家と仏文学者のコラボレーションによって、プルーストのエッセンスはそのままに、贅美きわまる日本語でついに読める、読み通せる驚異の縮約版一千枚!
  • 明日のマーチ
    4.3
    解雇。それは張り紙一枚の出来事だった。ある日突然、僕らは年収200万円の生活からも見捨てられた。どうしよう。どこに行って、何をする?──歩く。それが、僕らの決断だ。クビを切られたカメラ会社がある山形から、東京へ。600キロ。4人で始まった行進は、ネットを通じて拡散し、メディアを賑わし、遂には政府が動き出す。僕らの青春を等身大(ありのまま)に描いた、傑作ロードノベル。
  • ポニーテール
    4.3
    1巻693円 (税込)
    小学四年生のフミと、六年生のマキ。ふたりは、お互いの父と母の再婚できょうだいになったばかり。おねえちゃんと仲良くなりたいフミだったが、無愛想なマキの心がわからずに泣いてしまうことも。マキはマキで、新しくできた妹に戸惑っていた。そして、姉妹を見守る父と母も、「家族」の難しさに、迷ったり、悩んだり……。四人家族ひとりひとりの歩みを見つめた、優しさあふれる物語。
  • 小公女
    4.3
    暗い冬の日、ひとりの少女が父親と霧の立ちこめるロンドンの寄宿制女学校にたどり着いた。少女セーラは最愛の父親と離れることを悲しむが、校長のミス・ミンチンは裕福な子女の入学を手放しで喜ぶ。ある日、父親が全財産を失い亡くなったという知らせが入る。孤児となったセーラは、召使いとしてこき使われるようになるが……。苦境に負けない少女を描く永遠の名作、待望の新訳!
  • 夜のピクニック
    4.3
    1巻781円 (税込)
    高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
  • 雁の寺・越前竹人形
    4.3
    1巻528円 (税込)
    “軍艦頭”と罵倒され、乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧・慈念の、殺人にいたる鬱積した孤独な怨念の凝集を見詰める、直木賞受賞作『雁の寺』。竹の精のように美しい妻・玉枝と、彼女の上に亡き母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工師・喜助との、余りにもはかない愛の姿を、越前の竹林を背景に描く『越前竹人形』。水上文学の代表的名作2編。
  • 12月の向日葵
    値引きあり
    4.3
    1巻1,108円 (税込)
    警察と極道。高校柔道部の同期生・慎二と一は卒業後、対極の道に進んだ。互いの仕事と一人の女性をめぐり危うく交錯しながらも、絆を保ち続ける二人。だが、それぞれの世界で伸し上がっていく果てに、決定的な局面が待っていた……バブル期から暴対法施行までのアングラ社会を背景に、友情と愛憎渦巻く物語が疾走する圧倒的長編!
  • 人生の親戚
    4.3
    人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るのか。肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平は? 魂の癒しを探り、生きることへの励ましに満ちた感動的な長編小説。第一回伊藤整文学賞受賞作。
  • 同時代ゲーム
    4.3
    海に向って追放された武士の集団が、川を遡って、四国の山奥に《村=国=家=小宇宙》を創建し、長い〈自由時代〉のあと、大日本帝国と全面戦争に突入した!? 壊す人、アポ爺、ペリ爺、オシコメ、シリメ、「木から降りん人」等々、奇体な人物を操り出しながら、父=神主の息子〈僕〉が双生児の妹に向けて語る、一族の神話と歴史。得意な作家的想像力が構築した、現代文学の収穫1000枚。
  • 恍惚の人
    4.3
    文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。老いて永生きすることは果して幸福か? 日本の老人福祉政策はこれでよいのか? 老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない《老い》の問題に光を投げかける。空前の大ベストセラーとなった書下ろし長編。
  • 一の糸
    4.3
    造り酒屋の箱入娘として育った茜は、十七歳の頃、文楽の三味線弾き、露沢清太郎が弾く一の糸の響に心を奪われた。その感動は恋情へと昂っていくが、彼には所帯があった。二十年が過ぎた。清太郎は徳兵衛を襲名し、妻を亡くしていた。独身を通した茜は、偶然再会した男の求婚を受入れ、後添えとなるのだった。大正から戦後にかけて、芸道一筋に生きる男と愛に生きる女を描く波瀾万丈の一代記。
  • チッチと子
    4.3
    息子のカケルと二人暮らしの“チッチ”こと青田耕平は、デビュー以来10年「次にくる小説家」と言われてきた。だが、作品は売れず、次第にスランプに陥ってしまう。進まない執筆、妻の死の謎、複数の女性との恋愛……。ひとつの文学賞を巡る転機が、やがてカケルや恋人達との関係を劇的に変化させていく。物語を紡ぐ者の苦悩、恋、そして家族を描いた、切なく、でも温かい感動長篇。
  • せんせい。
    4.3
    1巻539円 (税込)
    先生、あのときは、すみませんでした──。授業そっちのけで夢を追いかけた先生。一人の生徒を好きになれなかった先生。厳しくすることでしか教え子に向き合えなかった先生。そして、そんな彼らに反発した生徒たち。けれど、オトナになればきっとわかる、あのとき、先生が教えてくれたこと。ほろ苦さとともに深く胸に染みいる、教師と生徒をめぐる六つの物語。『気をつけ、礼。』改題。
  • 卒業
    4.3
    1巻737円 (税込)
    「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが――。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。著者の新たなる原点。
  • 太鼓たたいて笛ふいて
    4.3
    戦前、中国や南方の戦線に従軍し、「兵隊さんが好きです」と記して戦意高揚に尽した林芙美子は、敗色濃厚になると「キレイに敗けるしかない」と公言し、たちまち非国民扱いされてしまう。国家が求める「物語」に躍らされた芙美子は、戦後、戦争の実相を知り、戦争に打ちのめされた普通の日本人の悲しみを、ただひたすら書きつづけた――。『放浪記』で知られる作家の後半生をたどる評伝戯曲。
  • 錦繍
    4.3
    1巻572円 (税込)
    「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
  • 細雪(上)
    4.3
    1~3巻605~781円 (税込)
    大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。

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  • 春琴抄
    4.3
    盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。幼い頃から春琴に付添い、彼女にとってなくてはならぬ人間になっていた奉公人の佐助は、後年春琴がその美貌を何者かによって傷つけられるや、彼女の面影を脳裡に永遠に保有するため自ら盲目の世界に入る。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。

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  • キミトピア
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    あなたが見せるその「優しさ」ってなんか違くない? 夫が分泌するものに、妻は名前をつける(「やさしナリン」)。許せない渾名の先輩をストーキングする私の親友(「ンポ先輩」)。一人ぼっちの部屋に突然現れたもう一人の自分(「あまりぼっち」)。話題作に書下し三作を追加、舞城最多七篇で編むトータル・ストーリーズ。

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  • 李陵・山月記
    4.3
    1巻440円 (税込)
    人はいかなる時に、人を捨てて畜生に成り下がるのか。中国の古典に想を得て、人間の心の深奥を描き出した「山月記」。母国に忠誠を誓う李陵、孤独な文人・司馬遷、不屈の行動人・蘇武、三者三様の苦難と運命を描く「李陵」など、三十三歳の若さでなくなるまで、わずか二編の中編と十数編の短編しか残さなかった著者の、短かった生を凝縮させたような緊張感がみなぎる名作四編を収める。

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  • 仮釈放
    4.3
    1巻649円 (税込)
    浮気をした妻を刺殺し、相手の男を刺傷し、その母親を焼殺して無期刑の判決を受けた男が、16年後に刑法にしたがって仮釈放された。長い歳月の空白をへた元高校教師の目にこの社会はどう映るか? 己れの行為を必然のものと確信して悔いることのない男は、与えられた自由を享受することができるか? 罪と罰のテーマに挑み、人間の悲劇の原型に迫った書下ろし長編小説。

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