以前、気になったことがあって、読まねばならぬと自分なりにリストアップしていた。
今回、手に取ったのは、検閲で削除された数か所が原作のまま、翻訳されての発刊。
その個所を気になって読むと、やはり・・というか、性的描写の生々しさを感じさせ、それに人種的なニュアンスが影響している個所であった。
ガーデ
...続きを読むィアン誌が選ぶ「読んでおくべき本」にリストアップされている。
そもそも、この選書に従う気持ちがないあまのじゃくの私・・一層、読んだ上でのやりきれない感情が一層ネガティブのベクトルに傾いた。
構成は心理的描写(白人、アカ、黒人それぞれにおいて)がこれでもかというほどに、生々しく綴られ、幾度、読むのを投げ出そうと感じたか。加えて、後半3割強の法廷劇。
これほどに弁護士の語りが延々と、津から強く語られる裁判は現実にありうるのだろうかとすら考えてしまう。
読ませるといえばそれまでだが、度を越えていないとも言えず、息切れしながら、少しずつ読み進めていく。
南北戦争から数えると相当な歴史的分断といえるが、民族としての対立というのは少し違う気がする。
アフリカから綿花労働の奴隷 働き手として連れてきた黒人がルーツの一つであり、加えて、中南米からの移住も含めると民族的対立というのは言い方がふさわしくない気がするが。
一方的に、新大陸に最初に渡ってきた白人たちが都合のいい解釈の元に、黒人を「完全に非人間の存在」と据え置いた都合のいい社会的位置関係としか思えない。
日本人がどうこう言えるほど甘くない深刻な問題はこの先も簡単に拭い去れない大きな問題といえる。
ビッガーは無知で粗暴な人間として描かれ、それだけに、罪を現在と突き詰めることが問題という法廷劇・・これまた読むのが苦しいほど理解できない部分が多かった。
そもそも炉で一人の白人女性を骨まで焼き切れるのか、圧倒されんばかりににおいが立ち込めたと思うのに・・簡単に発見されなかったのが最後まで不可思議な展開とあいまった。