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Posted by ブクログ 2021年03月06日
断片的感想、備忘ノート、散文詩の一節、過去の追憶、目にした風景の描写、日記、手紙などを一冊にまとめあげた手記体の小説。風景描写、あらゆる想念、思考、追憶など、とても緻密で密度が高く、一寸の隙もない。だけれども文章はもたつくことなく、迸るような勢い、速さがある。そして時にはゆっくりと、緩慢になる瞬間も...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年08月12日
久々に主だった筋のない、断片を繋ぎ合わせたタイプの小説を読んだ。そうして思うのは、私はこういったタイプの小説に非常に安堵感を覚えるということだ。人生は物語ではない。断片を継ぎはぎしたものである。そう言った方が私の実感と合っているし、結局のところなまの人生をより広く肯定しているように感じられる。
内...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月12日
果たしてこれを物語としてよいものか。
なんて孤独で乾いているのか。まるでランボーが書きえないものを書こうとして時空から立ち上がり、筆を折ったみたい。きっとこれを書き上げたリルケも筆を持てなかったに違いない。
ゲーテは理解されないのを知ってことばを選んで紡いだ。だが、彼は理解されないのを知りつつも、あ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年06月23日
事件は起きない。あらすじも伏線もない。パリに来たデンマーク人というフィクショナルな設定があるだけ(リルケはドイツ人)。
そのマルテが、自由な形式で、パリで見る景色を語ったり、かと思うと過去を語る。詩や音楽を語り、そんな連関性のない話を重ねていくが、読者はそれにつれて自分の心の奥底を覗き込むように誘わ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年04月24日
中学生の頃のピアノの楽譜入れだった母の手作りのお洒落な鞄がひょっこり出てきて、中を開けるとこの本がひっそりと息づいていました。
『マルテ・ラウリス・ブリッゲの手記』の作者は、134年前の1875年12月4日にオーストリアのプラハに生まれた詩人で小説家のライナー・マリア・リルケ、スイスに移り住み薔薇...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年04月06日
リルケ自身がこの小説について語った言葉の一部を掲載させていただきます。
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ぼくは『マルテの手記』という小説を
凹型の鋳型か写真のネガティブだと考えている。
悲しみや絶望や痛ましい想念などがここでは一つ一つ
深い窪みや条線をなしているのだ。しかし、もしこの鋳型から
ほんとうの作品...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年07月12日
” 彼らはいずれも自分だけの「死」を待っていた。(中略)子供たちも、いとけない幼な子すら、ありあわせの「子供の死」を死んだのではなかった。心を必死に張りつめて────すでに成長してきた自分とこれから成長するはずだった自分を合わせたような幽邃な死をとげたのだ。”(p23)
私はふと、東日本大震...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
マルテの手記が好きって人は、ちょっとヤバい。
何故なら、孤独者の視点が身に浸みてしまうから。
悲しみや苦しみ、そして孤独や不安、影や暗闇、そういったものたちに美しさや豊かさを見出してしまうから。
だけどもリルケが好きって人はそれでいいんです。
少しずつ読んで、隣にマルテがいるような感覚を覚えるまで、...続きを読む
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