西行花伝(新潮文庫)

西行花伝(新潮文庫)

小説・文芸
1,155円 (税込)

5pt

花も鳥も風も月も――森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために……。高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う“美”に身を置き通した行動の歌人。流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。谷崎潤一郎賞受賞。(解説・高橋英夫)

詳しい情報を見る

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    西行花伝(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1261052
  • 電子版発売日
    :
    2022年11月25日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

西行花伝(新潮文庫) のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    西行の一生を架空の弟子藤原秋実が追う物語。

    21帖700ページに及ぶ大作で、近代小説的なナラティブに最初面食らったが、それでしか書けない物語があると読み進めていくに思い直した。

    辻邦生さんが思う「芸術家はかくあるべし」という理想が、西行を通して存分に描かれている。

    辻さんは芸術家の一生を追う作品をいくつも描いているが、これが彼の最高傑作ではないか。

    0
    2025年11月23日

    Posted by ブクログ

     
    京に上り、政にも拘わり歌を詠みつつも、この世を浮世とみる心が芽生える。己の心に従い過ぎる時のままに生きることにした。西行の歩いた道のりは、辻邦生という作家の筆でより深く語られている
    花の季節に、西行墳のある弘川寺を訪ねようと思っていた。今年になって、桜の季節までに評伝を読んでおこうと思いたって、辻邦生著のこの本を選んだ。

    藤原鎌足を祖とする裕福な領主の家に生まれたが、母の願いで官職を得るために京都に出た。
    馬術、弓道、蹴鞠、貴族社会の中で身につけなくてはならないものは寝食を惜しんでその道を極めた。
    流鏑馬では一矢も外さない腕を見せ、蹴鞠は高く蹴り上げた鞠を足でぴたりと止めて見せた。
    当時の社会で歌の会に連なることも立身出世の道だった。武芸が認められて鳥羽院の北面の武士になり、歌の道でも知られてきた。

    鳥羽上皇の寵愛を失った待賢門院を慕ったことや、突然従兄の憲康を亡くし、その失意から出家したといわれてはいるが、辻邦生著の「西行花伝」は著者の想像力と、残る史実を基にした壮大な芸術論で、西行が歌の中で見出した世界が、著されている。
    そんな中で出家の動機がなんであろうと、その後、この世を浮世と見て、自然の移り変わりを過ぎ行くものとして受け止める心境を抱く切っ掛けが、出家ということだった。

    「惜しむとて 惜しまれぬべき此の世かな 身を捨ててこそ 身をも助けめ」

    人間の性には、どこか可愛いところがある。そうした性の自然らしさを大切に生きることが歌の心を生きることでもある。肩肘張って生きることなど、歌とは関係がない

    「はかなくて過ぎにしかたを思ふにも今もさこそは朝顔の露」

    時代は院政から武家に政がうつっていき、保元・平治の乱が起き、地方領主は領地境で争っていた。
    西行は、待賢門院の子、崇徳帝の乱を鎮めるために力を尽くし、高野山に寺院を建立し、東大寺再建の勧進行のために遠く陸奥の藤原秀衡を訪ねたのは70歳の時だった。

    「年たけてまた越ゆべしと思ひきやいのちなりけり小夜の中山」

    こうして出家したとはいえ時代の流れに関わり続けながら、それを現世の姿に捕らえ、歌は広く宇宙の心にあるとして、四季の移り変わり、人の世の儚さを越えた者になっていった。森羅万象のなかで、花や月を愛で、草庵を吹く風の音を聴いて歌を読み人の世も定まったものではないと思い定めた。
    そうした西行の人生を、辻邦生という作家の筆を通して感じ取ることが出来た。

    「仏には桜の花をたてまつれわが後の世を人とぶらはば」

    「なげけとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな 」(百人一首86番)



    「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」 

    と詠んだ春、私は桜が満開の900年の後、西行墳を訪れ、遠い平安・鎌倉の時代に生きた人の心を実感した。

    0
    2020年01月20日

    Posted by ブクログ

    読書って、出会った時の体力と精神力の充実度で、読める・読めないということに繋がる時がある。
    辻さんの本は、気力充実、且つ、心に遊びがある時に手に取れると、スゴく良い時間になってくれる。

    その意味で、いいタイミングで読めて大変楽しめました。

    【たとえば鳥が空を飛んでゆく。それは日々気にもとめずに見る平凡な風景である。だが、なぜ〔その〕鳥が〔その〕とき〔そこ〕を飛んだのか、と考えはじめると、平凡な風景が突然平凡ではなくなり、何か神秘な因縁に結びついた「現象(あらわれ)」に見えてくる】


    西行法師、として生き切ったのではなく、佐藤義清として自身の生涯と格闘していたのだな~と、とても身近に感じれた一冊でした。

    0
    2018年07月14日

    Posted by ブクログ

    花に染む 心のいかで 残りけん 捨て果ててきと 思ふわが身に

    身を捨つる 人はまことに 捨つるかは 捨てぬ人こそ 捨つるなりけれ

    0
    2015年02月04日

    Posted by ブクログ

    10数年ぶりに読み返してみた。「利休にたずねよ」があまりにもつまらなかったので、もう歴史小説は自分には合わないのかと思ったが、読み返した本書はやっぱり面白かった。辻邦生作品の中でも「背教者ユリアヌス」と並ぶ傑作だろう。

    物語は歌人西行の生涯を弟子の藤原秋実が、西行その人や、さまざまな周辺の人から聞き取っていくという形で進む。

    前半は恋物語が基軸。終盤は保元の乱がクライマックスとなる。

    歴史的事実からは踏み外さず、そこに小説としての肉付けを丹念にしていく姿は素晴らしい。大著だが多くの人に読んでほしい。

    0
    2013年08月17日

    Posted by ブクログ

    西行の歌の弟子藤原秋実が記す形を取った西行の物語。序の帖に始まり二十一帖に至るまで、西行を時代の流れの中心におき、彼の秀歌と併せて語ってゆく。//前半は物語の筋が読めず少し退屈感を覚えた。中ほどから、平安末期の乱れた世の激変を活き活きと描き面白くなる。皇族・女性・僧侶・源平の武士達が、史実にフィクションを織り交ぜて西行と係ってゆく。西行の人生観も深みを示す。//西行は十五帖で、「我を捨て、この世の花とひとつに溶ける」と説き、二十帖で「歌こそが真言、森羅万象の中に御仏の微笑を現前するもの」と現す。この生き方の基本は終生変わらない。しかし西行は浮世を捨てたわけではない。我を捨ててこの世の花に染み込んで浮世を楽しんでゆく。//西行の歌は、浅学な私でもまだ分かり易い。「ゆくへなく 月に心のすみすみて 果てはいかにか ならむとすらむ」//しかし歌にて世の中を変えるという本書の中の西行は、非現実的で理想主義。

    0
    2013年05月19日

    Posted by ブクログ

    初めてのレビュー。記憶に新しい去年を振り返って、2012年は辻邦生を知ったのが大きな収穫。
    「西行花伝」を読んで、それよりずっと以前に書かれた「背教者ユリアヌス」も知った。
    平安末期から武士社会に移る時代に「もののあはれ」の美意識を求めた西行と、キリスト教が台頭し始めた時代、純粋さゆえ裏表を使い分けるキリスト教を受け入れられず古代ギリシャ・ローマに美を求めたユリアヌス。勝ち負けで片付けるなら、どちらも時代を生きる中で易くない道を選択したようにみえる。
    「西行花伝」の最終章近くで、平家を倒し後白河院から権勢を奪い勝ち進む鎌倉殿の幻影を夕刻の大磯で西行の夢に現れさせている。その時の西行のつぶやきが「心なき 身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮」の歌で、頼朝とて飛び立つ鴫に涙したであろうと西行は幻の中で思ったのだとこの作中では構成されている。かつて大磯の鴫立つ沢に行って教科書で習ったような感慨にひたったけれど、こんな見方もあったのか・・。作者は西行を描くにあたって、この歌を単に世捨て僧の心の情景にはしていない。
    勝利や成功に役立たない心を切り捨てるのは「心なき心」であり、『人は常にあらゆる動機で心を失う。』 のであれば、西行にも 『世を捨てたいという思いで、私とても、もののあはれに震える心を失っているのかもしれない。』 と言わせている。その矛盾を埋めるのが西行の多くの歌なのだろうか?

    純粋さゆえ、周囲に利用され、キリスト教と対峙し、背教者の汚名を着せられながらも自分の哲学に従って突き進んだユリアヌスが、若くして戦死するのも哀れ。 次第にゾロアスター教や原始的儀式にひかれていくユリアヌスだが、それは西行にとっての歌と同じなのかしら。洋の東西も時代も違うけれど。

    0
    2013年04月28日

    Posted by ブクログ

    日本語の美しさが心地良い。西行がなんでもできすぎなのが鼻につくが。。。しかしとても優美な世界。再読したい。

    0
    2010年11月08日

    Posted by ブクログ

    西行法師の生涯を、周辺人物・時には西行自身の独白というカタチで追うフィクション。700ページという読み応えある本でした。
    風流に生き、恋に生き、詩歌に生き、遁世の身でありながらこの世を愛し続けた西行。彼の世界観はまさにこのようであったのではないかと、フィクションながら感動させられます。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    桜にこめた辻の複雑な思い。
    構想に年月を掛け、何度も吉野に足を運び書き上げた。
    辻の書く文章は本当に美しい。
    西行と魂を交感させながら書かれた西行の世界。

    0
    2009年10月04日

西行花伝(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    西行花伝(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1261052
  • 電子版発売日
    :
    2022年11月25日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

新潮文庫 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

辻邦生 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す