それにしても、昔の「別れ」の重み。二度と会えないことがほとんどであり、一期一会という言葉がいまのように軽薄に使われることはなかっただろう。だから、昔の人は別れでよく泣く。それが今生の別れだから。さようなら(ば、私はいかねばならぬ)という言葉は、出会いと別れの鮮烈な無常をじつによく表している。
See you、再見という言葉にも、明るさより悲しさがあふれている。いまは、会おうと思えばいつでも会えるがゆえに、結局あやふやな別れを迎える。別れを自覚的に生きることは大切なことなのだ。そうでないと、その人と交わることができなくなるからだ。