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大学とは職業教育の場ではなく、専門知識に光をあてて正しい方向に導く一般教養の光明をもたらすところである。文学、自然科学、社会科学、道徳・宗教、芸術などの一般教養科目についてそれぞれの意義を述べながら、大学教育の原点と理念を指し示す。名高いセント・アンドリューズ大学名誉学長就任講演。(解説=竹内洋)
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Posted by ブクログ
自分では至らないであろう、深い考察に基づく考えが多く書かれていた。だから付箋をつけながら読むといいかも。 一年浪人して、今年から大学に進学する僕には大きな勇気づけとなった。また、より有意義な大学生活を送るための助言になる言葉も多かった。 大学入学を控える今、読んでよかったと思える素敵な1冊。
教養とは何か、それがなぜ重要なのか、そしてそれはどのようにして身につけられるものなのか。ミルの大学名誉学長就任演説である。学生に懇切丁寧に語っている。語られて150年近く経っているが、昨今の教養課程廃止や文系不要論への最良の反論となりうる。高校生や大学生に是非読んでほしいと思う本である。巻末の竹内洋...続きを読むの解説も簡にして要を得て素晴らしい。
大学の中だけの事に限らず、 人間が人生で生きる上で非常に重要なもの、それは教養だ。 仕事をする上での専門技術も、それを人の役に立て、世の中を今までよりも良くする為にという素養があってこそ活きる。 それを養うのが、教養だ。 広く自分の専門分野でない事も、その分野の要点や本質を深く理解することは、...続きを読む人生を生きる上での武器となる。 一生をかけて学ぶことは 重要であり、楽しいことだ。
大学で学ぶ学生がぜひとも読むべき著作。大学の本質的な役割が良く分かる。政策考えるときも、この原点は頭に入れておかなくては。
大学での教育について、古典文学、自然科学、芸術などに分けて語られています。 自分はなぜ大学で勉強しているのかということを見つめ直すには、 本書を読むと有効かもしれません。 大変読みやすく、おもしろく、勉学意欲が湧いてきます。 また、訳者の解説では、ミルの生涯について簡単紹介されています。 短い解説で...続きを読むすが、大変興味深く、ミル自伝も読んで見たくなりました。 薄い本なので、大学生は買って読むことをオススメします。
読むべき本。 p.178迄(6/17) p.108迄(6/16) p.58迄(6/15)文学教育について.古典と近代文学の対比.普遍性を感じる.今まで師事してきた人たちが各々異なる機会にのたまっていたことがすべて繋がっていくのが分かる. p.22迄(6/14) 読み始め(6/14)
薄い本だけれど、目が覚めるような言葉が各所にあって、一度ではなく何度も読みたい。 ・「文系教育と理系教育、どっちを取るか」と語られることがあるが、どうして両方ではいけないのか。 ・「言葉」は思考を決定してしまうおそれがあり、より客観的に物事を見るために、多くの言葉を学ぶ必要がある。そのために古典の...続きを読む学習は有効である。 ・実験科学を学んで、物事を正しく推測、検証する方法を学ぶ。 ・人に物事を語るときのために、論理学に触れておくことは有効。 ・好奇心は人生の最高のパートナー 大学で教養をつける重要性を語るが、ミルの話を聞いていると、彼自身が教養ある知識人を体現しているように思える。
素晴らしい名著でした。 J.S.ミルといえば自由論で有名だが、本書でもその適格かつ教養深い彼の思考、哲学が遺憾なく生きていて、それが凄まじい。 約150年も前になされた演説の内容だというのに、 その教育論は今日でも変わらず鮮烈であり、真理に通じている。 とても勉強になりました。
ミルがイギリスのセント・アンドルーズ大学の名誉学長就任する際の講演録である。なんと草稿に1年の準備期間を取ったという。彼は大学を出ているわけではないが、哲学者・経済学者という立場で、新聞や雑誌で公共知識人として意見を述べていて、多くの知識人に影響を与えた。 講演から150年が経過した今でも大学にお...続きを読むける一般教養教育の重要さは変わらない。専門性を生かすにしても、その人が持っている知性と良心によって効果が決定されるというような指摘は、近年の答申で何度も目にしているだろう。また、一般教養教育は、個別に学んできたことを包括的に見る見方と関係づける仕方を教えることであり、体系化と哲学的研究を踏まえて、諸事実の発見と検証することがその極致である、ということも同様だろう。 ただ疑問も残った。教養の要素は、「知識と知的能力」と「良心と道徳的能力」が主なものだが、少し劣るが「美・芸術」もあるとしている。イギリス人が伝統的に美に関心がなかったからだそうだ。これは意外だった。美の解釈こそ教養の代名詞かと思っていたからだ。ミルは、英国人の商業主義からの美を無駄なものと解し、清教主義で神を敬う心以外は罪悪に陥る一種の罠と考えていたからといっている。ドイツ・フランス・イタリアと全く異なっているところがおもしろい。 さらに、大学段階では、道徳教育・宗教教育は、身の回りや家庭でなされるものとして、管轄外としている。キリスト教社会全体の中における大学だからこそこのようにいうことができるのだろう。 解説で訳者が大学改革のキーワードが商業主義によるものばかりで、それを自浄作用できるのは、教養教育といっている。市場化・競争原理が促進される中でも、常に教養教育を考えていきたい。 2012.5.13追記 高等教育論5/12補助教材として、「科学教育」の項までの抜き刷りを講読。
個人的なハイライトは知的教育の意義を提示した部分。ミルによれば、大部分の真理の認知においては直覚に頼ることができない。この弱点を矯正、緩和するのが知的教育である、という。 たしかに大学教育を経た者は、全員ではないが、観察可能な部分から原理原則を推論することに長けている。この点については大学教育がある...続きを読む程度の成功を収めているといっても差し支えないかもしれない。 一方で大学教育のあるべき姿を巡る主張と議論はこうも変容しないものかと驚いた。大学教育論が19世紀から進歩していないわけではないだろうが、問題自体は根治していない、あるいは悪化していることが窺われる。 大学が専門性教育に傾倒せず知性を育み人間精神を涵養する場であってほしいと、大学を職業訓練に利用してしまった身として自戒の念を込めて願う。
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