やまいだれの歌(新潮文庫)

やまいだれの歌(新潮文庫)

693円 (税込)

3pt

中学を出て、その日暮らしを三年半。十代も終わりに近づいてきた北町貫多は、心機一転、再出発を期し、横浜桜木町に移り住み、これまでの日雇いとは異なる造園会社での仕事をはじめた。三週目に入って、事務のアルバイトとして貫多と同い年の女の子がやってきた。寝酒と読書と自慰の他に特に楽しみのなかった貫多に心を震わせる存在が現れたのだった。著者初の幻の傑作長編、ついに文庫化。(解説・山下敦弘)

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やまいだれの歌(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    初の長編も面白い。新たな職場でのアレコレや、そこに入ってきた同年の女性への恋心、田中英光作品との出会い。いつもの北町貫多だが、19歳時点の話なのでやけに惨めに思える。それはやはり同じ年頃の当時の自分の中にいた、ライトな貫多を思い出させられるからかも知れない。

    0
    2024年10月01日

    Posted by ブクログ

    貫多のクズっぷりにめちゃくちゃ笑ってしまった。
    貫多は本当にどうしようもないのに、どこか憎めないところがあり、なぜか惹かれてしまう。

    貫多はどうしようもない人間のままだし、作中で分かりやすい成長もしないが、そういうどうしようもなさすら、見つめ続けて誠実に書けば一つの作品として成立しうるんだなぁ。文

    0
    2024年08月22日

    Posted by ブクログ

    とっても面白かった。

    「文学」の意味を改めて確認できるような作品だったと思います。

    北町貫多版「こころ」みたいな雰囲気すらありました。

    ほんとうによかった。
    胸が締め付けられる思いです。

    0
    2024年08月20日

    Posted by ブクログ

    横浜に移り住んだ貫多のあまりに痛すぎるストーリー。滅茶苦茶面白い、けれどページを捲るのが居た堪れるほどにイタイ、貫多の行状にどこか感情移入する自分がいるのが不思議である。

    0
    2024年05月21日

    Posted by ブクログ

    安定の北町貫多シリーズ。相変わらず職と寝床を転々としていたが、本作では心機一転横浜桜木町へと住まいを移し、新たなスタートを切るが、いつもの癇癪で破綻のカタルシスを読者は味わうこととなる。
    ただ一つ重要な点は、藤澤清造同様、師と仰ぐ田中英光の私小説との出会いがあり、人生の支えを得る点。
    貫多は作中「こ

    0
    2023年09月17日

    Posted by ブクログ

    本は好きだけど金も無く、同僚を見下し職場も上手くいかず、一方的な恋愛(風俗は好む)を押し付けるなど、プライドと閉塞感の塊のような貫太は中卒だった事もある自分には舞台が桜木町という事もあり他人とは思えぬ感情が湧き立つ。この卑小さをどう見るかで作品の捉え方が変わる、つまり読者の人生も問われていると言った

    0
    2023年08月27日

    Posted by ブクログ

    「告白(町田康)」の熊太郎、トリプルファイアーの吉田靖直、そして北町貫多。どうしようもない人たちにしか出せない魅力がある。
    小心者なのにも関わらずプライドだけは人一倍高く、世間とモノの見方が若干ズレている。普段鬱憤を溜め込んでいる故に、お酒が入ると悉く失態を晒してしまう。

    なんでこんなにもダメな人

    0
    2023年06月29日

    Posted by ブクログ

    惨め
     初読み賢太がこの作で好かったなと思へたのは、心底貫多の惨めな境遇に共感したからである。さすがにここまでの人間の屑、下等な片恋や妄想で目茶苦茶に人をこき下ろした事はないが、その心情は過去幾度となく味はった事がある。作中の田中英光の作のやうにどこか突き放した書きぶりで、滑稽さともども自身を丸裸に

    0
    2023年05月07日

    Posted by ブクログ

    いいよ、貫多。最高のローンウルフだよ。
    あの北町貫多がこんなにも愛おしいとはね。

    「苦役列車」と「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の間のエピソードを読みたいと思った矢先、たまたま手に取ったのが、ちょうど「苦役列車」の後続の話だったとは!!
    「落ちぶれて……」の作中作と同じタイトルだったから何かしら繋

    0
    2023年01月09日

    Posted by ブクログ

    なかなかに底辺の世界を描いているのだが、何故か貫多に親近感を覚えてしまう。酒癖が悪く全てを失う辺り、気が気でない。

    0
    2025年04月28日

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