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Posted by ブクログ
8月に読んでみたが、また読みたくなってしまった。
結末はわかっているものの、いやむしろ、結末がわかっているが故に余計に貫多の押し潰されそうな気持ちが鮮明になってしまう。
横浜に移り住もうときめたことや、造園会社との面接シーンや、アットホームな職場に居心地の良さを感じるところ、古本屋を廻って偶然的に田中英光と出会うところや、梅野と親しくなるところ、油井に岡惚れしてしまうところ、歓迎会にて大虎になってしまうところ、歓迎会の帰りの向いのホームに誰もこないところ。。。
これらすべてが年末の忘年会のあの出来事に繋がっていくと考えると、貫多の孤独が際立ってきてしまう。
とっても面白かった。
「文学」の意味を改めて確認できるような作品だったと思います。
北町貫多版「こころ」みたいな雰囲気すらありました。
ほんとうによかった。
胸が締め付けられる思いです。
Posted by ブクログ
安定の北町貫多シリーズ。相変わらず職と寝床を転々としていたが、本作では心機一転横浜桜木町へと住まいを移し、新たなスタートを切るが、いつもの癇癪で破綻のカタルシスを読者は味わうこととなる。
ただ一つ重要な点は、藤澤清造同様、師と仰ぐ田中英光の私小説との出会いがあり、人生の支えを得る点。
貫多は作中「これはどこまでも、その後に続く流れに、ただ身を委ねているより他はないのだ。(中略)陳腐な例えだが、流れているうちにはいつか掴まる枝もあろうし、浮かぶ瀬だってあるだろう、と云うやつだ。で、その時になって、実こそ自身の立て直し、新規蒔き直しのきっかけが何によっていたのかが、初めて判るものなのであろう。」と語っているが、田中英光とのこの時の出会いこそ正にそれであったのでしょう。
Posted by ブクログ
「告白(町田康)」の熊太郎、トリプルファイアーの吉田靖直、そして北町貫多。どうしようもない人たちにしか出せない魅力がある。
小心者なのにも関わらずプライドだけは人一倍高く、世間とモノの見方が若干ズレている。普段鬱憤を溜め込んでいる故に、お酒が入ると悉く失態を晒してしまう。
なんでこんなにもダメな人(自分はどうなのかは棚に上げて)に惹かれるんだろう……
一つの理由は、やはり怖いもの見たさだと思う。
上で挙げていた人たちの動向を追っていると、ほぼほぼ「あぁダメだよ〜」と思う方向に行ってしまう。普段私はそんな状況は全力で避けているので、逆にそっちの方向にレールが行ってしまったらどうなるんだろうとエキサイトしながら読んでしまう。
もう一つは心の中に彼らと共通する部分を見出しているからなのかなと思う。
彼らが物語の中で対峙している(または迎合している)欲や無精さは、みんながそれぞれ持っていてるけど、理性であったり社会通念で無意識に蓋をしているモノなのかなと思う。彼らはそれらが原因で間違いを起こし、葛藤する。私はその葛藤の中にふと、グッと共感する瞬間を見つけることがあった。普段、私が無意識に抑えている感情を明け透けにしている彼らだからこそ、私は心の根っこに近い部分で共通したものを感じるんだと思う。
もっといろんな貫多を見てみたいなと思った。これから貫太シリーズを読み進めてみたいと思う。
めちゃくちゃ良かった!
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