ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
今年の新潮文庫の100冊に入っていたので、読んでみました。 あまりの凄さに西村賢太さんについてイロイロと調べてしまいました。 この作品は2011年の芥川賞受賞作なんですね。 受賞して10年以上経っているとは、時代の流れは速いものです。 文庫本で170ページ弱。 この薄い本の中には人間の本能がこ...続きを読むれでもか!っていうほど詰まっています。 主人公・貫多はホント歪んでいて、人間のネガティブな面(本能)がむき出しなのです。 ここでいう人間のネガティブな面とは、人間誰しも持っている、エゴ・見栄・どうでもいいプライドを言ってます。 普段私たちは本能を薄ーーーーい皮(それを理性と言うのだと思う)でどうにか抑えているのだと思うのですよ。 人様に見せるもんじゃないし、万一人様に見られたら恥ずかしいじゃないですか。 しかし、彼は抑えない。 いや、抑え方を知らないから抑えられないのかもしれません。 読んでいくとわかるのですが、それは彼なりの自己防衛なのかもしれません。(本人は自覚ないけど) 彼には「父親が犯した犯罪」という壁があるのです。 その壁が彼と社会(他者)を断絶させるものとして大きく立ちはだかっているのです。 仲良くなっても父親の犯罪を知ったら、皆自分の元を離れていく。 それが怖いから最初から人と仲良くならない。 人一倍誰かとつながりたいのに、自分を守るために敢えて嫌われようとする。 短い文章にこれだけの心情を表現しているんですよね。 いや~、凄い!恐れ入ります。 まあ、読んでいて明るくなる本ではないことは間違いないです。 わたしも読んでいる間、自分のどろっどろで黒くて臭いものをダダ洩れにしながら読んでましたので(笑)、イヤーーな気分になりながら読みました。心臓えぐられる感じです。 それだけ人の心を動かすものがこの作品にはあるんです。 石原慎太郎氏の解説がホントに素晴らしくて! 文学としても高評価をつけたい作品です。
きっと誰にでもある相対的に暗い部分、そこを指で少し擽られる感じ。赤裸々でいて、穿っている心情描写は痛快だった。
汚くてひねくれてるけど、どこか自分も持ってる感情な気がして読んでて他人事とは思えない。こういうの好き
面白く読ませていただきました。 映画もみたくなりました。 ぎっくり腰の描写がなかなか秀逸だと思います。
私小説ということで描写が生々しい。 温度や湿気や匂いが伝わってくる。 劣等感に苛まれながら何とか生きている男。 やっていることは無茶苦茶だが今後どうなるのか興味を掻き立てられる。 悲観から楽観に至る心の動きが印象的。
作者の作品はいくつも読んでいるが、一番を選ぶとしたらこれかもしれない。 どの作品にも出てくるカンタは中途半端じゃなく、清々しいクズだからこそ好感が持てる。この作品では、そんなカンタらしさが特に出ている気がする。客観的に見てる分にはいいが、実際に関わりたくはないだろう。
"かかえているだけで厄介極まりない、自身の並外れた劣等感より生じ来たるところの、浅ましい妬みやそねみに絶えず自我を侵蝕されながら、この先の道行きを終点まで走ってゆくことを思えば、貫多はこの世がひどく味気なくって息苦しい、一個の苦役の従事にも等しく感じられてならなかった。"
友達の彼女を見定めて、点数を付け、自分の思った通りの、自分のプライドを慰めるようなレベルであることに安堵する。業界人ぶった態度や、自分には手の届かない世界には容赦無く嫌悪感を示す。文学賞など、肩書きのある人生に憧れ、評価されず、一人で侘しいプライドに拘泥しながら死んでいくことに恐怖を感じる。中卒、日...続きを読む雇い労働者、性犯罪者の息子、に囚われながら自らのプライドを慰めようと、言葉で救いを求めてもがいている。
まぎれもない底辺の生活をしている若者の物語だが、自分自身と共感する箇所も多かった。特に、青春と言われるような彼氏彼女ができない人からすれば、自分を僻んだり、特に相手が何かをしたわけでもないけど相手に嫉妬や妬みを持ってしまうのは普通のことだと思う。 そういった日頃抱えている思いも何の躊躇もなく、自分自...続きを読む身の代わりに吐き出してくれているように感じさせてくれた。 昨今、インスタなどできらきらした人々を毎日見るようになっているが、主人公に共感する人も思いの外多いのではなかろうか。
中学を出て以来、これといった目標もなく冷凍倉庫の日雇い仕事で食いつないでいる北町貫多。あるとき現場で、同い年で専門学生の日下部正二と知り合い交流を深めていく。 (おそらく著者自身をモデルにした) 粗暴で鬱屈し、プライドが高く、寂しがりでもある貫多にはよくも悪くも人間味があり、共感も覚える部分も少な...続きを読むくない。時代がかった言葉づかいが多いが読みやすく、展開もはやいのでテンポよく読める。 「最後の無頼派」とよばれた著者の芥川賞受賞作。 後年、私小説家になった貫多を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」も併録。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
苦役列車(新潮文庫)
新刊情報をお知らせします。
西村賢太
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
一私小説書きの日乗
一私小説書きの日乗 新起の章
試し読み
一私小説書きの日乗 不屈の章
一私小説書きの日乗 野性の章
一私小説書きの日乗 遥道の章 (角川ebook)
雨滴は続く
狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集
寒灯
「西村賢太」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲苦役列車(新潮文庫) ページトップヘ