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三年の月日をかけて中国北部からチベットまで辿り着いた西川は、インドへ向かいそこで日本の敗戦を知る。密偵の任務は失うが、それでも新たな世界への探究は止められなかった。ヒマラヤを幾度も超え、さらにさらに奥へ。しかし旅は突如終わりを告げる。西川が著した三千二百枚の生原稿と五十時間に及ぶ対話をもとに、未踏の地に魅せられたひとりの旅人の軌跡を辿る、旅文学の新たな金字塔。(解説・石川直樹)
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Posted by ブクログ
これは簡潔に感想を書きます。 人によってはわかりにくいかもしれないけれど、それは『読んでみて』と言いたい。 凄まじい人生を観た。 自身の生活や目標、大きく言えば価値観にとても影響する読書体験でした。 『自己』を大切にしたいと本気で思えました。
読売文学賞を受賞した圧巻のノンフィクションでした。 読み終わった今もじんわりと熱を帯びた余韻が残っています。 西川氏と共に旅をしたような…… でもそれも、雪の降り荒ぶ中、自転車を引いて歩き去る西川氏と共に霞んでいくような… そんな読後感を噛み締めています。 要約じゃこの良さは味わえません。 ...続きを読むぜひ多くの方に読んでほしいです。
戦前の修猷館の卒業生ならば、こんなパワフルな人がいても納得します。それでも、帰国してからの行動や、お互いの帰国にいたる経緯に対しての思いが対照的でした。帰国してからも飽きない!
第二次世界大戦末期、中国の奥地からチベットやインドへ、ラマ教の巡礼僧に扮して密偵として8年に及ぶ旅をした西川一三の記録。 沢木耕太郎さんの取材と文章で、様子が目に浮かぶような、わかりやすく迫力のあるストーリーで驚きと興奮が止まりませんでした。 戦時中に敵国へという危険な状況、スマホもない、旅の装備...続きを読むもない、そんな中、 例えば西川さんの旅の一部、中国の西寧からチベットのラサまでは、日本で当てはめると、北海道の札幌から鹿児島の指宿までとのこと。 それも平均高度4500メートル。 それを徒歩で。 雪や雨のなか寝たり、凍るような河を泳いで渡ったり、酸素の薄い高山を歩き通したり、不可能と思えることばかり。 人間の生命力の強さなのか、それとも西川さんの持つ運と生命力なのか。 体力だけでなく、今のように語学学習手段があふれていな 中、英語、モンゴル語、チベット語をマスター、それに加えてヒンディー語、ウルドゥー語などの読み書きもできるように。 信じられないような旅でした。 「国家という後ろ盾がなくとも、ひとりの人間として存在していける」 長く厳しい旅をしながら、西川さんの得た感想が壮大で、圧倒されます。
「国家なき民族の末路は現世の地獄だななどという感想を抱いたことを思い出した。しかし、いま、自分がその国家を失おうとしている。戦争に敗れ、連合国軍の占領下にある日本は国家としての存続が危うくなっている。もはや日本という国家の庇護を受けることはできない。どうしたらいいか。」西川一三が敗戦を確信したときの...続きを読む記述部分。私は、ここを読んだとき、ある老紳士から諭されたことを思い出した。「海外でパスポートを無くしたとき、自分が何者であるのか証明するのは至難の業。国家が自分の存在を証明してくれている。」と。当時の私は外国への憧れが強かった。そしてなんとなく日本を軽視していたと思う。所属している国家のことを真剣に考えないことは、自分の存在すら証明できないことに繋がる。自分の国を大切にしないことは、他の国の人から見れば、自分を大切にしていないに等しく写るのではないか。国家に所属していることについて考えさせられたあの日を思い出した。
「自分はラマ僧だ」という大きな嘘を守るため、全身全霊で僧としてふるまう。信仰を「様式」から学ぶうち、人の恩や信頼に応えようという気持ちが自ずと湧いてくる。それ自体は信仰ではないとしても、「善く生きる」という、他でもない信仰のめざすところなのではないか。 人は様式を作り、その中に魂を落とし込むものだと...続きを読む思う。魂に触れるまで様式を模倣すれば、それは真理になるのかもしれない。
第二次大戦末期、敵国である中国大陸の奥深くまで潜入した「密偵」西川一三の旅と思考の記録を、晩年の西川と交流があった著者が、その冒険を追体験するように綴っていくというノンフィクションです。ひとつの人生を描く「ストーリー」の導入として、これ以上、完璧な導入はないというほどの美しい冒頭が特に印象的でした...続きを読む。 大変失礼ながら、私はこの作品を読むまで、西川一三さんという方を知らなかったのですが、こんな魅力的な人物の謦咳に接したとしたならどうしても書きたいとなってしまうだろうなぁ、という著者の想いが伝わってくるような作品でした。
第二次大戦末期、中国から蒙古チベット、インドを密偵として旅した西川一三さんを追った旅行書。 圧倒的な旅人のチカラ。 面白い
「第二次大戦末期、ひとりの日本の若者が、敵国である中国の、その大陸の奥深くまで潜入した。彼はラマ教の巡礼僧に扮した密偵だった。しかし、彼は日本が敗れたあともなおラマ僧に扮し続け、実に足掛け八年に及ぶ旅を続けることになった。彼、西川一三の旅も長かったが、その彼を描こうとする私の旅も長かった。・・・発端...続きを読むから終結まで二十五年かかったことになる。・・・本格的に執筆に取り掛かったこの七年余りにおいても、飽きるということがなかった。ここにこんな人がいたという驚きから出発して、その人はこのような人だったのかというもうひとつの驚きを生んでくれることになった。」 と沢木があとがきで書く。 青海蒙古からチベットのラサへと旅は続く。 アトムボムボという爆弾でやられた日本は負けて、漢人住民が提灯行列を行い、それに地元のチベット人が石を投げた。中国に積年の恨みを持つチベットがアジアの小国日本に好意を持っていた。 インドに入りヒマラヤ山脈を越える。 『秘境西域八年の潜航』には霊峰ヒマラヤを越えること七度とあり、西川もそういうが、実際は九度であった。寒いなか雪と氷と岩と激流の踏破であった。 途中木村肥佐生に遭遇し同道する。 ラサ巡礼の帰り、病人が道端にいた。病気にかかり仲間に見捨てられ置き去りにされて1ヶ月がたった。息はあるが異臭を放ち、野犬が死ぬのを待っている。 女性に接すると性病に罹り治療ができず旅が終わる。性欲を抑えるため疲労困憊するまで肉体を酷使する、そのため労働、勉強、修行に体を動かす。 逮捕されて帰還時、マラヤ半島のラングーンのマラヤ兵に親切にされて「日本軍は今度いつ来るんですか」 と聞かれて気持ちが明るくなりかけたが、「今度進出した時はビンタだけはしないようにしてくださいね」と懐かしそうに明るい笑顔で話しかけられた。 「この戦争で、日本軍は、その土地その土地の人々の感情や習慣を無視してどれほどの失敗を犯したことだろう。それは、多くは無知によるものだった。何も学ばず、知ろうとせず、ただ闇雲に異国に侵攻してしまった。日本は戦争をする前に、自分や木村のような者たちを、あらゆる国に送り出しておくべきだった。あるいは、実際に送り出されていたのかもしれない。だが、その人たちは、自分たちのように、地を這うようには歩くことをしていなかったのだろう。同じ言葉を話し、同じ物を食べ、同じ苦しみを味わったりはしなかったのだ。」
密偵としてモンゴルからインドまで旅を続け、日本人ということを隠すため、ラマ教徒と偽る。 西川さんの行動力や努力は計り知れない。 未開の地で生きていくのに、現地の言葉を覚え、托鉢をして僅かな食糧を得て、殆んどが野宿。 ヒマラヤに近い地域の峠を何度も登り降りし、匪賊 の脅威にさらされながら集落に着くと、...続きを読む軒を借りながら次の地を目指す。 読んでいて、西川さんの8年に渡る経験を疑似体験 したような感覚だった。 人生には、生きながらえるための食糧と寝床さえ有ればあとは何も要らないといった人生観を養えたのは、あの体験があったからなのか。 この小説に出会わなければ、このような日本人がいたと分からないままだったと思う。
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