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強打をうたわれた元東洋ミドル級王者カシアス内藤。当時駆けだしのルポライターだった“私”は、彼の選手生命の無残な終りを見た。その彼が、四年ぶりに再起する。再び栄光を夢みる元チャンピオン、手を貸す老トレーナー、見守る若きカメラマン、そしてプロモーターとして関わる“私”。一度は挫折した悲運のボクサーのカムバックに、男たちは夢を託し、人生を賭けた。
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さすがの沢木さん
沢木耕太郎氏のファンに、改めてなった作品でした。
Posted by ブクログ
世界チャンピオンも狙えると言われたボクサー、カシアス内藤の 選手生命の終焉を描いた「クレイになれなかった男」から5年。 カシアス内藤がリングを去ってから4年半。ルポライターとしての 仕事の上で事実誤認からミスを犯した著者は、しばらく日本を 離れようとしていた。 友人との酒の席での他愛ない話の中で、...続きを読む思いもかけない ニュースが飛び込んでくる。どうやらカシアス内藤がリングに 復帰するようだ…と。 夢が、再び前に進み始める。再起に掛ける元チャンピオン、 日本のボクシング界を語る時に忘れてはいけない名トレー ナーであるエディ・タウンゼント、著者の友人である若き カメラマン、そして、著者である沢木氏。 もう何度、本書を読んだだろうか。結末は分かっているんだ。 それでも、懸命にトレーニングをするカシアス内藤に感情 移入し、エディさんの厳しいけれど愛のある言葉に心を 鷲掴みされ、沢木氏の視点でカシアス内藤を眺める。 上巻はカシアス内藤の再起第一線までだが、沢木氏が アメリカ・ニューオリンズへモハメッド・アリのリターンマッチ を観戦する為に訪れる挿話が秀逸だ。 世界ヘビー級王者であるモハメッド・アリ。その本名である カシアス・クレイからリングネームを名付けられた内藤。 ふたりのボクサーの再起が微妙にシンクロしている。 やっぱり上手いわ、沢木氏は。試合の描写も勿論だが、 スパーリングの描写を読んでいると目の前で内藤が 動いている錯覚に陥る。 結末は分かっている。それでも下巻を読むのが楽しみだ。
才能があるのに努力しないボクサーが5年のブランクを経て再帰する物語。 若干29才で年を取っていると言われてしまうボクシング界。 人生経験や試合経験よりも、瞬発力、運動神経、目の良さ、そして絶対に勝つ気迫が重要な要素だ。 若いときに自分の才能に気づき、それに溺れることないように努力させるには、本人の性...続きを読む格もあるが周りの協力者の力が非常に重要だ。 沢木さんは一度見捨てたボクサーの再帰を知り、ふたたび力を貸すようになる。 主人公が練習に打ち込めるよう環境を整えたり、試合をスケジュールするが、ボクシング界の背後には腹黒い人間や、欲深い人達が渦巻き、一筋縄ではいかない。
[丁半の定め刻]圧倒的な才能を有しながらも、ボクシングに本気になれず、その世界から惨めな敗北とともに脚を洗ったカシアス内藤。そんな彼が4年ぶりに復活するという話を耳にした著者は、引退前の彼に取り憑かれたときのように、またジムへと訪れ、彼の再起をその眼で見たいと願うのであるが......。男たちの一世...続きを読む一代の賭けを追ったノンフィクション。著者は、私がもっとも好きなライターの1人である沢木耕太郎。 人生で一度は震えの起こるような勝負をしてみたいと思ったことがある方なら、本書を読んで間違いなく震えが走るはず。ボクシングに「かたをつける」ためにリングに上がるカシアス内藤、その内藤に形容し難い夢を見る沢木氏、そして内藤で自らも一花咲かせたいと思うトレーナーのエディ......。1人1人の「これが最後」が弾け飛ぶ見事な作品だと思います。 本書の事実上の準主役となっている沢木氏自身の心模様が、筆遣いにも若干の影響を与えているところに読み応えがあります。竹を割ったようなすっきりとした話ではないのですが、それ故に勝負の面白さ、不思議さ、蠱惑さにハッとさせられます。自身が仕事でも生活でも守りに入りつつあると感じる今日この頃、それ故に余計に胸動かされる作品でした。 〜いい博奕よ……これはいい博奕よ……〜 沢木さんの文章はいつ読んでも良い☆5つ
沢木耕太郎は、人物を題材をゆっくりと選ぶ作家だ。 主人公である『カシアス内藤』に少しづつ自分を重ねてゆき、覚悟を決めて同行していく。 自分とうまく折り合いが付けられず、 何か「やりきれなさ」を抱えたまま終盤を迎える。 著者の作品を読んでいると、せつなさが込み上げてくる。独自の視点で何処か天邪鬼で、...続きを読む必ずしも読者の期待に応えなくて。 若い頃の著者は、いつも答えのないものと格闘していた。 それがもしかしたら「青春」なのかもしれない。
沢木氏の著書では「深夜特急」よりもこちらの方が、私の中では思い入れが強い。 未読の方は「敗れざる者たち」を先に手にされた方が、カシアス内藤氏の物語を時系列で読むことができるでしょう。
初めて読んだノンフィクション。そして何度も読んだ。ここまで他人に関わりのめり込める作者がうらやましい。そりゃ旅にも出たくなるさ。
「やはり、それでも勝たなければならないのだ…。」 再起を賭ける天才ボクサー・元東洋ミドル級王者カシアス内藤と、彼の夢に関わる人々の力強くも儚い物語。熱いタイトルが秀逸すぎの、沢木耕太郎による私ノンフィクション作品。 カシアス内藤の内面から発せられる言葉の数々には、正直心打たれます。その分、最...続きを読む終話に向かって徐々に崩壊していくそれぞれの想いと繋がりは、読んでいて辛い。自分の生きかたに躓きかけたとき、再読すべき本のひとつだと僕は思います。
ボクサー「カシアス内藤」こと内藤純一と、そのトレーナー、そして彼らに夢を見る作家とカメラマン。彼らの夢である世界王者は手に入れられるのか。秀逸な作品。
スポーツノンフィクションの中でも傑作中の傑作と思われる。なによりもココまで取材対象の懐にはいれる沢木さんがすばらしいです。 主人公であるかカシアス内藤氏の写真集が発売になりました。
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一瞬の夏
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沢木耕太郎
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