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Posted by ブクログ
子供の頃から斜に構えた人間だったので沢木耕太郎は意識高い人間が読むものだと読まず嫌いして避けて通っていたけれども本作は高校時代の友人が勧めていて、かつボクシングの話なので意を決して読んでみました。
結論としてはすごく面白くて夢中になって読みました。
カシアス内藤のことはうっすらと知っていて結末に向かっていくにしたがってドキドキよりも不穏な気持ちの方が大きくなるかなと思いながら読んでいたけれども、結末に至るまでの人物と心の描写がすごくて、ああこれは沢木耕太郎信者が多いわけだと納得してしてしまいました。
やはり好きなジャンルのノンフィクションはいいものだなーと思いつつ、こう言う好きなジャンルでできる支援や応援はできる限り続けるべきだよなと思いました。Support you localってことだね。
Posted by ブクログ
再起第一戦を勝利で飾り、続く第二戦にもKO勝ちをおさめた
カシアス内藤。そして、次に狙うは東洋ミドル級チャンピオンで
ある柳済斗との試合だ。
それは、内藤が望んだ「オトシマエ」だった。「クレイになれな
かった男」で敗れた相手ともう一度闘いたい。その思いが、
内藤をトレーニングに駆り立てた。
しかし、事は順調には運ばない。韓国のプロモーターとの
交渉、契約に際しての駆け引き。ルポライターであるはず
の著者は、いつの間にか内藤の為に、試合のマッチメイク
に奔走する。
度重なる試合の延期と、難航する契約。その中で、1年を
かけて作り上げて来た内藤の肉体と生活に変化が現れ、
同じ夢に向かって走っていたはずの人々の間には徐々に
亀裂が入って行く。
1979年8月22日、韓国・ソウル。この日の為に疾走して来た。
運命の日。分かっていて、読めなかった。最後の50ページ
弱が、どうしても読めなくて丸1日、本を開くことが出来な
かった。
小説なら大団円で終わっているのだろう。だが、これは現実
に起こった話だ。夢は、ソウルの夏の夜にあっけなく散った。
「リングに上がって……初めて、足が震えなかったのに……
生まれて初めて、怖くなかったのに……」
生来の気の優しさから臆病とも評されることもあった内藤が、
持てる力を掛けた時は終わった。
そこへ辿り着くまでには、同じ時に、同じ夢に向かって、走り
続けた男たちがいた。
物悲しい結末だが、最終章の「リア」で救われる。一瞬の夏
に、夢は終わった。だが、夢の終わりから、また違う夢が
始まるのだ。
Posted by ブクログ
血沸き肉躍る話。
これを読んだのは大学生のころだったと思う。
いま改めて読み直して、自分が当時のカシアス内藤と沢木耕太郎の年齢にあることを知った。
なんとなく沢木耕太郎が読み直したくて手にしたのだけれど、そのことに気づくと、呼ばれたような気がした。
自分が何者にもなれていなくって、何かをしなければという焦燥感に駆られる。そいうのって、この年代にはつきものなのかなとも思う。
そして、そのタイミングで、夏が訪れた、夏を作り出せた彼らは幸せなのだと思える。
ひとつの目標に向かってみんながまとまっていく姿、現実の生活というものを目の前にして、亀裂が生じ、誰もがそのことに気付きながら、翻弄され崩壊していく様、そのすべてがノンフィクションで、だからこそ美しい物語だった。
当事者だからこその葛藤と、傍観者だからこその諦念。
沢木さんの傍観者としての線引きは、ある面で正しく、だからこそもどかしい。
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小説・文芸
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