感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2017年08月19日
世界チャンピオンも狙えると言われたボクサー、カシアス内藤の
選手生命の終焉を描いた「クレイになれなかった男」から5年。
カシアス内藤がリングを去ってから4年半。ルポライターとしての
仕事の上で事実誤認からミスを犯した著者は、しばらく日本を
離れようとしていた。
友人との酒の席での他愛ない話の中で、...続きを読む思いもかけない
ニュースが飛び込んでくる。どうやらカシアス内藤がリングに
復帰するようだ…と。
夢が、再び前に進み始める。再起に掛ける元チャンピオン、
日本のボクシング界を語る時に忘れてはいけない名トレー
ナーであるエディ・タウンゼント、著者の友人である若き
カメラマン、そして、著者である沢木氏。
もう何度、本書を読んだだろうか。結末は分かっているんだ。
それでも、懸命にトレーニングをするカシアス内藤に感情
移入し、エディさんの厳しいけれど愛のある言葉に心を
鷲掴みされ、沢木氏の視点でカシアス内藤を眺める。
上巻はカシアス内藤の再起第一線までだが、沢木氏が
アメリカ・ニューオリンズへモハメッド・アリのリターンマッチ
を観戦する為に訪れる挿話が秀逸だ。
世界ヘビー級王者であるモハメッド・アリ。その本名である
カシアス・クレイからリングネームを名付けられた内藤。
ふたりのボクサーの再起が微妙にシンクロしている。
やっぱり上手いわ、沢木氏は。試合の描写も勿論だが、
スパーリングの描写を読んでいると目の前で内藤が
動いている錯覚に陥る。
結末は分かっている。それでも下巻を読むのが楽しみだ。
Posted by ブクログ 2015年12月14日
才能があるのに努力しないボクサーが5年のブランクを経て再帰する物語。
若干29才で年を取っていると言われてしまうボクシング界。
人生経験や試合経験よりも、瞬発力、運動神経、目の良さ、そして絶対に勝つ気迫が重要な要素だ。
若いときに自分の才能に気づき、それに溺れることないように努力させるには、本人の性...続きを読む格もあるが周りの協力者の力が非常に重要だ。
沢木さんは一度見捨てたボクサーの再帰を知り、ふたたび力を貸すようになる。
主人公が練習に打ち込めるよう環境を整えたり、試合をスケジュールするが、ボクシング界の背後には腹黒い人間や、欲深い人達が渦巻き、一筋縄ではいかない。
Posted by ブクログ 2014年11月10日
[丁半の定め刻]圧倒的な才能を有しながらも、ボクシングに本気になれず、その世界から惨めな敗北とともに脚を洗ったカシアス内藤。そんな彼が4年ぶりに復活するという話を耳にした著者は、引退前の彼に取り憑かれたときのように、またジムへと訪れ、彼の再起をその眼で見たいと願うのであるが......。男たちの一世...続きを読む一代の賭けを追ったノンフィクション。著者は、私がもっとも好きなライターの1人である沢木耕太郎。
人生で一度は震えの起こるような勝負をしてみたいと思ったことがある方なら、本書を読んで間違いなく震えが走るはず。ボクシングに「かたをつける」ためにリングに上がるカシアス内藤、その内藤に形容し難い夢を見る沢木氏、そして内藤で自らも一花咲かせたいと思うトレーナーのエディ......。1人1人の「これが最後」が弾け飛ぶ見事な作品だと思います。
本書の事実上の準主役となっている沢木氏自身の心模様が、筆遣いにも若干の影響を与えているところに読み応えがあります。竹を割ったようなすっきりとした話ではないのですが、それ故に勝負の面白さ、不思議さ、蠱惑さにハッとさせられます。自身が仕事でも生活でも守りに入りつつあると感じる今日この頃、それ故に余計に胸動かされる作品でした。
〜いい博奕よ……これはいい博奕よ……〜
沢木さんの文章はいつ読んでも良い☆5つ
Posted by ブクログ 2013年03月05日
沢木耕太郎は、人物を題材をゆっくりと選ぶ作家だ。
主人公である『カシアス内藤』に少しづつ自分を重ねてゆき、覚悟を決めて同行していく。
自分とうまく折り合いが付けられず、
何か「やりきれなさ」を抱えたまま終盤を迎える。
著者の作品を読んでいると、せつなさが込み上げてくる。独自の視点で何処か天邪鬼で、...続きを読む必ずしも読者の期待に応えなくて。
若い頃の著者は、いつも答えのないものと格闘していた。
それがもしかしたら「青春」なのかもしれない。
Posted by ブクログ 2011年11月27日
沢木氏の著書では「深夜特急」よりもこちらの方が、私の中では思い入れが強い。
未読の方は「敗れざる者たち」を先に手にされた方が、カシアス内藤氏の物語を時系列で読むことができるでしょう。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
「やはり、それでも勝たなければならないのだ…。」
再起を賭ける天才ボクサー・元東洋ミドル級王者カシアス内藤と、彼の夢に関わる人々の力強くも儚い物語。熱いタイトルが秀逸すぎの、沢木耕太郎による私ノンフィクション作品。
カシアス内藤の内面から発せられる言葉の数々には、正直心打たれます。その分、最...続きを読む終話に向かって徐々に崩壊していくそれぞれの想いと繋がりは、読んでいて辛い。自分の生きかたに躓きかけたとき、再読すべき本のひとつだと僕は思います。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
ボクサー「カシアス内藤」こと内藤純一と、そのトレーナー、そして彼らに夢を見る作家とカメラマン。彼らの夢である世界王者は手に入れられるのか。秀逸な作品。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
スポーツノンフィクションの中でも傑作中の傑作と思われる。なによりもココまで取材対象の懐にはいれる沢木さんがすばらしいです。
主人公であるかカシアス内藤氏の写真集が発売になりました。
Posted by ブクログ 2024年02月03日
一度は引退したボクサー、カシアス内藤の復帰戦までのプロセス。
カシアス内藤だけでなく、自分や関係する人々の心理まで丁寧に掘り下げていると感じた。
Posted by ブクログ 2015年08月09日
本書はルポとはいえないかもしれない。筆者が被写体に入り込み自分の抱える閉塞感や焦燥感を内藤へ重ね託す。才能ある者は湯水の如く湧く才能を浪費し才能が疲弊し喪失しかかったときに取り返しの付かなさに気付き再起を図るのかもしれない。ニューオリンズでのカシアス・クレイ(アリ)の復帰戦はショービジネスと化した何...続きを読むとも言えない物悲しい残骸感が漂う。試合前の計量者やマネージャーの態度は戦う者への敬意が欠如した見世物に成り下がった実情を感じさせられる。
一方、カシアス内藤や大戸のボクシングへの真摯な姿勢に対して本番でのある種期待はずれの不完全燃焼な出来は弥が上にも現実は常にドラマチックとは限らない現実を突きつけられる。筆者の昇華しきれぬ想いを抱え下巻に向かう。
Posted by ブクログ 2015年01月31日
もう40年前の出来事であるのに、全然古めかしい感じはしない。才能があるが今は落ちぶれたボクサーと、不遇なトレーナー、自分の人生に思いを重ねた私が、再起をかけて闘いをいどむ物語。
私ノンフィクションの金字塔と評価される作品だが、小説としても評価できる作品。
Posted by ブクログ 2014年06月30日
カシアス内藤という実在するボクサーの再起を描いたノンフィクションの前編。下巻を読み終わってないので細かい感想はまだひかえる。今のところは面白く読めている。
Posted by ブクログ 2012年09月02日
小説のような本当の話。
人間臭さがボクサーとしては仇になってしまう主人公と、彼を支える沢木たちとが共に、世界チャンピオンを目指し夢を語る場面では、何度もその場にタイムスリップしたような感覚に陥る。
ノンフィクションならではの結末が、プロスポーツの厳しさを表している。
Posted by ブクログ 2012年04月01日
沢木耕太郎のスポーツのほうは初めて。
文章自体が好きなわけじゃないので、
紀行モノ以外はどうかなと思ったけど…
意外によいです。
やっぱり彼の人間の見方がいいのかな。
ボクシングに
夢に
熱くなるひとたち。
ノンフィクションだから、
結末は「ああ、まぁこんなんもんか」で終わる...続きを読む可能性がずっと高い。
でも時に、フィクションをはるかに上回るものが出ることもある。
その時のためにも、成り行きを見続けていたいな。
Posted by ブクログ 2012年01月21日
現代のスポーツノンフィクションというジャンルの礎となった作品。ノンフィクションにおける『主観』のさじ加減が絶妙。また、ライフステージにおいて20代後半という時期をどう捉えるか。個人的に多いに共感できた。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
観察法の授業で人の行動を記述する際、ある事実が本当に起きているのか(客観)、それとも起きているように見えているだけ(主観)なのか分からないという疑問を持った。それを先生に相談したところ、紹介された本。できるだけ主観を排し事実を淡々と積み重ねていく記述の中に、なぜか人々の切ない感情が浮かび上がってくる...続きを読む本。最近になり主人公のカシアス内藤が、ガンと闘いつつ、エディさんとの約束のジムを開いたと聞いた。夢は続いていたと知り、改めて切なくなった。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
ボクサー、カシアス内藤についての小説。
小説というか、ドキュメントに近いですね。
優しい内藤が、どのようなボクサー人生を辿ったかを綴ったもの。
格闘技、あんまり好きじゃないけど、ボクシングは好きなんで。
なんか、ちょっと悲しくて切ない感じの話です。(アホ友文庫よりもらったもの)
Posted by ブクログ 2009年10月04日
私が進路に悩んでいたときに後輩が突然貸してくれた本がこれ。最初なんか読み辛かったけど、だんだん引き込まれました。そして考えさせられました。うん、今できるベストを尽くそう、何事も。後から言い訳や後悔しても仕方ないんだよね。
Posted by ブクログ 2023年03月25日
強打をうたわれた元東洋ミドル級王者カシアス内藤。
当時駆けだしのルポライターだった『私』は、カシアス内藤の選手生命の無残な終りを見た。
そのカシアス内藤が、四年ぶりに再起する。再び栄光を夢みる元チャンピオン・カシアス内藤、手を貸す老トレーナー・エディ・タウンゼント、見守る若きカメラマン・利朗、そ...続きを読むしてプロモーターとして関わる『私』。
一度は挫折した悲運のボクサーのカムバックに、男たちは夢を託す。
淡々と進んでいく、物語。
ドキュメンタリーだからだろうか…
カシアス内藤の再起戦はどうなるのか…
Posted by ブクログ 2023年03月20日
かなりの長編だったけど飽きずに読めた。もの凄くドラマティックな展開と言うのでは無く、自分の印象としては淡々と物語が進む印象だったけど悲哀とかうらぶれた感じがアクセントになっていて印象深い一冊たった。
つくづく思うのは、ボクサーと言う職業はスポットライトを浴びているのはほんの一握りでほとんどは内藤のよ...続きを読むうな底辺でギリギリやっているような人たちが多数なんだろうな。
Posted by ブクログ 2019年06月26日
強打をうたわれた元東洋ミドル級王者カシアス内藤。当時駆けだしのルポライターだった“私は、彼の選手生命の無残な終りを見た。その彼が、四年ぶりに再起する。再び栄光を夢みる元チャンピオン、手を貸す老トレーナー、見守る若きカメラマン、そしてプロモーターとして関わる“私"。一度は挫折した悲運のボクサ...続きを読むーのカムバックに、男たちは夢を託し、人生を賭けた。 "
Posted by ブクログ 2015年09月05日
ボクサー、カシアス内藤の復活をめぐるドキュメンタリー。ドキュメンタリーなのだが、小説かと錯覚させるなめらかな展開で、全く押し付けがましくない。
実のところ、この前半部の途中までは、架空の話だとばっかり思って読んでいた(紹介などは読まずに読み始める質なので)し、小説にしてもなかなか良く出来た話ではな...続きを読むいかと思う。
カシアス内藤の復活のために尽力する作者が、カシアスの名前の由来にもなった、モハメド・アリの復活戦を見にアメリカへ渡る。このへんが小説なら「なんでよ?」となるわけで、そこで調べてドキュメントだとわかったわけです。
全体に、ボクシングと関係のない部分が語られることが多く、やきもきしたり、逆にホッとしたりする。アメリカに渡ってからも、割とどうでもいい話がたくさん書かれる。
しかし、最終的にダメだったんじゃないのかな?というのが透けて見えてくるので、長く引っ張られるのは、救いが有るのではないのかな?と思われる。