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時は16世紀。ヴェネツィア共和国の若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとイスラムの盟主トルコに挟撃される国難打開の密命を託される。しかし、トルコでマルコを出迎えた旧友で敵国の宮廷深くに通じるアルヴィーゼの瞳にひとたび暗い光が灯ると、世界の命運は激しく変転していくのだった……。愛と陰謀が渦巻くルネサンス時代を描いた傑作歴史小説。『緋色のヴェネツィア』改題。
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Posted by ブクログ
同じような環境で育ちながら,絶対的な境遇の違いのマルコとアルヴィーゼの対比が楽しくも哀しい1冊だった。リヴィアの揺らがない愛も,先に2−4巻を読んでいるものとしてはオリンピアとの対比と類似のように見えた。アルヴィーゼに会えたマルコが羨ましい。
ローマ人の物語以来、ひさしぶりに塩野先生の本を開きました。地中海世界を舞台に、ヴェネツィア、トルコを舞台に絢爛豪華な政治、友情、恋愛が繰り広げられます。美しい情景描写の中に人間の弱さや欲望が見事に描かれており、最後まで一気に読めます。コンスタンティノーブルの陥落や、レパントの海戦などに連なるお話とし...続きを読むても楽しめます。
2021/01/13塩野七生 イタリア・ルネサンス1「ヴェネチア」 塩野七生氏の中世イタリアの歴史小説 20年2月一度イタリア旅行しただけでもヴェネチアの物語を身近に感じ楽しめる 旅行の意義を再認識 イタリア旅行は本当に良かった! 本書はヴェネチアという都市国家の歴史を物語にした 塩野先生は歴史を...続きを読む紡ぐ天才だが、小説で人間を描くのはチョット 男のロマンが歴史を作っていくが、その男を自在に操る女が彩り 本編の主人公は「アルヴィーゼ」 元首の庶子と愛人 庶子ゆえにハンガリー国王の座を目指し最後は挫折する 嫡子と庶子 どちらが幸せなのか それが小説のテーマにもなる そして個人個人の思惑が国家の運命を動かすエネルギーとなる 塩野七生先生の言う「歴史の面白さ」 2021/01/19塩野七生イタリア・ルネサンス ①ヴェネツィア②フィレンツェ③ローマ④ヴェネツィア 1571年10月07日レパントの海戦に至る16世紀ヴェネツィア興隆史 サイズは小さいヴェネツィアもローマ法王、スペインに次ぐ地位を確保していた 東にトルコと争いつつ、長く「地中海の覇権」を保持した「国家経営の秘訣」が 塩野七生氏の造詣を踏まえつつ、司馬遼太郎的歴史小説として書き下ろされた 「国家リーダー」候補を見いだし、育成する ヴェネツィアはそこに国家の命運の鍵を見出し、莫大なエネルギーを投入した そのかいがあって、ヴェネツィアは長期の命を保持することが出来た 作者塩野七生氏はその歴史の教えを、現代の日本に伝えたいとの使命感を感じる本書 国家・国民に殉じる覚悟のエリート・リーダーなき組織は滅ぶしかない
ヴェネツィア貴族のマルコ・ダンドロを主人公とした歴史小説。塩野七生さんの唯一の小説。この巻では、親友であるアルヴィーゼ・グリッティがもう一人の主人公。
ヴェネツィアの一人の外交官の人生を通して、ルネサンス世界を覗くとても面白い小説です。 緋色のヴェネツィアから銀色のフィレンツェ、黄金のローマへと刻々と舞台は移り、次々と事件が起こる歴史に基づく人間ドラマです。 描かれたcolorにちょっと注目してみると更に面白いです。
史実を絡めつつの小説。若干サスペンス仕立ての部分もあり。歴史あり、外交あり、ロマンスあり。豪華。 この世界観が癖になる。
塩野先生といえば「ローマ人の物語」「海の都の物語」ほか、イタリアの歴史物語で数々の名作を残してきましたが、今回のシリーズは小説。 16世紀のヴェネツィア共和国で、名家タンドロ家の当主である外交官マルコと、元首の庶子アルヴィーゼ、出自の違う幼なじみの二人を巡る物語。 詳しい話はぜひ「海の都の物語」を...続きを読む読んでいただきたいですが、中世のヴェネツィアは西にカトリックのスペイン(ハプスブルク家)、東にイスラムのトルコと異なる大国に挟まれた中、人口も国土も小さい中で海洋国家として軍事力・交易、そして統治機構と外交力、いわゆるインテリジェンスを強みに、巧みに独立を保ってきました。 元首の息子ながら、ギリシア人女性との間に生まれ庶子であるという複雑なルーツを持つアルヴィーゼ。ヴェネツィア側なのか、トルコ側なのか分からない彼の動きに翻弄されつつも、インテリジェンスを駆使して国家を守るヴェネツィアの苦闘を、マルコの視点から描いています。 外交とは武器を交わさない戦い、という文章のとおり、武器での戦いはほぼ描かれませんが、ドキドキハラハラさせられ、二人を取り巻く女性たちの愛と悲しみに切なくなります。 <印象に残った文章> ・外交も、武器を交わさない戦いではないか。(略)たとえそれが、いかに不名誉な手段に訴えてまで駆使して闘われるものであっても、戦いは戦いなのであった。 ・深く考えると、かえって道をまちがうことになる。ここは、与えられた合図を受けて、それに素直に応えたほうが適策ではないのか。 ・眠りが覚めれば、良かろうと悪かろうと、事態はなにか変わっているに違いない。
元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。舞台はヴェネツィア。カルロス1人が統治するスペイン・神聖ローマ帝国。アジアの大国オスマントルコ。海軍強国とはいえイタリアの1都市国家に過ぎない国。選択できる手段、は微妙で繊細なものにならざ...続きを読むるを得ない。支えたのは国を思う心と知恵。その渦の中起きる悲劇。小説であるが故の架空の人物、史実と異なる描写。しかし、この時代とこの国のリアルは伝わってくる。バブル崩壊直後、まだ余力が十分があった日本。しかし、ここに描かれているような教訓は生かすことができなかった。
ベネティアの歴史の話かと思ったら、そうではなくて、元首(ドーチェ)の息子がとその親友のマルコの話であった。 トルコ帝国の中で元首の息子のアルヴィーゼの活躍が中心に動く。なかなかストーリとしては良かった。かつ、その時代の歴史がわかるので、良かった。次は?
篠原千絵『夢の雫 黄金の鳥籠』からの夢枕獏『シナン』を経てたどり着きました。 アルヴィーゼ・グリッティの生涯を親友マルコの目を通して語られている。 『夢の雫』『シナン』はオスマントルコからの視点なので、当時のヴェネチアの政治的、文化的な背景も詳細に書かれていて面白い。
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