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〈ミスターJ〉は、放送作家の私が仲間と創りあげた架空のコラムニスト。この正体不明の男が評判を呼んだとき、私は実在の男にその役割を振りあてた。彼がこれほどの〈怪物〉に育つとは思いもよらずに。深夜放送で若者の苛立ちや鬱屈を代弁してカルト的人気をえた彼は、毒舌で大衆を扇動しつつ、攻撃の矛先を意外な方向にむけ始める……。情報化社会にひそむ恐怖を描く現代の都市伝説。
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Posted by ブクログ
年末の大掃除で、我が家で“発掘”された“積ん読”本を読んだ。面白かった。 買ってすぐ読んでいたら、より面白かっただろうなと思う。 HP・メール・ツィッター・Facebookを誰もが利用する現代で、もし、この物語が展開されたら、もっともっと恐ろしいことになる……。
ホラーのカテゴリにしてしまうと、構えてしまうかもしれない。この本を初めて読む人は、そこまで構えなくてよい。ワタクシの場合「純文学書きおろし」という宣伝文に完全にだまされたクチである。 放送作家とジャーナリストが「架空の怪物」を作り上げていき、それが本物になり、作った当事者を襲い始める。怪物は架空の...続きを読む人物なのか実在の人物なのか、それに憑依した何かなのか、はたまたそこを取り巻く大衆心理なのか。襲ってくる恐怖も見えるものから見えないものになっていくあたり、現在のネットを絡めた話ではないかと錯覚する。 オウム真理教事件より3年前、ましてやインターネットが出来るよりも5年ほど早く、こういう恐怖を描いているところは特筆に値する。メディア論だの世代論だのを論じるのは野暮である。「怖くて面白い本」として読めばよいのだ。
「私」とミスターJとの同性愛関係を疑っていた愛人が、死んだはずのミスターJの影に怯えて精神を病みそうになる。それを阻止するため「私」は愛人とアナルセックスを試みる…わかったようなわからないような、馬鹿馬鹿しく人を食ったオチが気に入った。
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怪物がめざめる夜
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小林信彦
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