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19世紀中盤、アメリカ・ヴァージニア州。神秘的な力を持つ黒人奴隷のハイラムは、奴隷逃亡のネットワーク「地下鉄道」の活動に加わることで、自らが持つ力の意味とその秘密を知っていく。秘密を解く鍵は失われた母の記憶――。トニ・モリスンが「ボールドウィンの再来」と絶賛した、いま最も注目される作家による初長篇小説。
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Posted by ブクログ
黒人奴隷を解放するためにハイラムに備わった「導引」という能力。でもその能力を行使するには「水」そして「記憶」と「物語」が不可欠で、そのきっかけを起こす何か象徴も必要だ。それが起こる時、青い霧が立ちのぼる。こんな風に書くと何かSF小説のようだけど全くそんな感じがなく、静謐な筆致で丁寧な描写がされている...続きを読むので、とてもリアルな風景が見える。なのでじっくりと読み込んでしまうのだ。ウォーターダンスをする母親が青い霧の向こうに垣間見える失われた記憶が切ない。
19世紀アメリカ南部ヴァージニア州。 奴隷であった主人公は、解放組織「地下鉄道」に救われる。彼には奴隷たちの物語を忘れない記憶力と不思議な力が備わっていた…。 それはスピリチュアルな力“導引”。 その謎が、暗く苦しいストーリーを文字通り引っ張っていく。 物語のチカラの一側面を考えたとき、逃避であ...続きを読むったり、耐える力を私達に授けてくれたりするし、中にはある本を読んで救われた、そう語る人もいる。 それは著者が描いたこの不思議な力の肝なのかもしれない。力強い物語です。
人種差別は自由の国を喧伝するアメリカのあまりにもあからさまな矛盾で、それを外部からどのように語っても的外れにはなってしまうが、この本からはその世界の歴史的な面を少しだけ垣間見ることができる。 そしてこの本のテーマはそんな歴史の問題だけにとどまらず現代の個人の意志にまで広がっている。 キーポイントは記...続きを読む憶でありそこから紡ぎ出される物語。現実はもっと厳しいかもしれないけどそんな物語があるからこそ厳しい現実に立ち向かって地下鉄道を辿っていくことができたということかもしれない。 微温的なハッピーエンドは遥か昔に奴隷制度を克服しても問題は解決しない現実も示している。
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