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大手製薬会社に勤める姉の依千佳(いちか)と、人気アクセサリー作家の妹の仁胡瑠(にこる)。それぞれの道で成功を掴んだ姉妹は、やがて日本を揺るがす治験データ捏造事件、そしてハラスメント騒動を引き起こす。たった一度でも踏み外せば、容易(たやす)く切り捨てられる世の中で、私たちは何を「正しさ」の指標にできるだろう。「間違えた」後も続く自分の人生と、傷ついた心への向き合い方を渾身の力で問う長編小説。(解説・芦沢央)
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Posted by ブクログ
姉妹の対比が良かった。どちらも真面目なのだけれど気付かないうちに間違っている。それは誰にでもあることだなと共感しました。文章もとても読みやすかったです。
とことん利用され人生も何もかも無くしたいちかがNN製薬から雇用されるって 一瞬歓喜してるいちか 直ぐにメールで辞退する場面が草原に立っていると表現する。自分は言われた通りにしただけなのに、何故どうしてと 苦悶して同時に会社を守る=決して見捨てないからって、辛すぎる。にこるも姉の会社に託す気持ちを理解...続きを読む出来ず、裁判でもどうしてのらりくらりするのか、自分の知ってる姉かと苦悶する。仕事のパートナーに気持ちが伝わらず伝えようと行動するのが犯罪とか、しかし貝原はにこるを切ったよねジュエル欲しかった癖にそこで目的達成かよ、調子いい事言ってその気にさせて、困れば会社を押し出すとかふざけるなってこと 終盤の黒川といちかの再会トークはとても良くてコロナも逃げずに挿し入れる、あと町であの姉妹と囁く人間がホント日本人ってアホばっかりだと改めて思う 熊を保護しようとかいう日本人と同類 だから戦争なんか起こすんだ、何年経っても変わらないから
彩瀬まるさん、10作目 自分の正しさを貫くことは、保身かもしれない 所属する組織への遵奉は、献身かもしれない 正しさの基準は、その場所その時で変化していくのでは、と思う 求める生き方の違う二人の姉妹の物語 二人は違う道を求めながら同じ様に突き進んでしまう 自分の気持ちを表現したい妹 組織のために黙す...続きを読むる姉 二人共 真っ直ぐで 揺らぎに弱い 妹の元彼ではないけれど 金とか名誉とか色恋で動くことも 寄り道ではないんだろうなあと思う 真面目すぎる二人が それぞれの行動を間違えて堕ちていく様は 具体的で現実的で寒気がする サーカスの挿入に多少違和感はあるけれど 人生をステージでの演目として与えられる役を演じていくとして理解してしてみる 間違えた後に続く人生への道筋を残す素敵な小説でした 単行本の改稿の時点でコロナ禍となったようです 現実に寄せる為 感染症拡大の混乱の描写を入れたとか 感染症に関わる女性は 姉妹とは違う正義を持つ存在で 彼女の挿入は面白いのですが ウイルス感染のくだりがどうも意識しすぎているかなと思っていたんですよね 読んだ時期が遅すぎたかなー
彩瀬まる作品の中では、メタファー少なめでスピーディーなストーリー展開、社会派の題材。心理描写の切なさや温度の低さみたいなものが、厚みとして感じられる。
姉妹それぞれ、転落していく。 どこで間違えたのか、間違えたとしても何処かで踏みとどまる事も出来たはず。 正義感が強すぎる2人だからこそ、そのまま突っ走ってしまった。 転落した後の人生をどう生きるか、どう決断するか、特に依千佳は重要な決断をする場面があった。 救われたのが、両親がとても愛情深く、転...続きを読む落した2人を温かく迎え入れていた所。 帰れる家がある事。温かい両親が居る事。 それだけでも十分幸せな事なんじゃないかと思った。
目まぐるしく変わる今を、私は何を頼りに、何を信じて生きていけばいいのだろうか。 何が善いことで、何が悪いことなんて、時代や組織そして、集団で安易に変わってしまう。 結局、信じられるのは自分だけなのかもしれない。 「絶対に間違えたくなかったからこそ間違えてしまった人」 もっと自分を持って、信じて生き...続きを読むていきたい。
芦沢央さんの解説が的確、かつ本書の完全なる「解説」だった。掴みきれなかったサーカスの意味がしっかり書かれていて、作品とセットになった文庫本としての完成系だと感じた。 朝井リョウさんの『正欲』も、正しさとはーー、をぐりぐりと問うてくる作品だったが、これもすごい。もっと身近な、陥りがちな、色恋のハラス...続きを読むメントと仕事での善悪のボーダーラインの境目を「踏み外してしまった」姉妹を描く。彼女たちはお互いに違うが、普通の人間だ。私たち誰もが陥ってしまいかねない状況だった。でも、ただ共感させて終わりではないところが綾瀬まるさんのすごいところ。 p.51 「鑑賞するのは純粋な物体の美しさだけで良い。どこでどんなふうに誰が作ったとか、そういう情報は、むしろ変に色眼鏡をかけることになるから、邪魔だよ。本当に優れた作品は、そんなバックグラウンドなんか関係なく、構成に残っていくんだから。それがきれいか、そうじゃないか、それだけを見れば充分」「社会や時代をまたぐ、純粋な物体の美しさっていうものが、この世にあるって一片の曇りもなく信じるのね。面白いな」 p.101 「きっとこれからはそんなふうに世の中を見る人が多くなるのね。社会…んん、人生を信じるっていうか…片桐さんは、美しいよ。その潔さと猛々しさが喜ばれ、当たり前になる時代が来る。もっともっと、売れると思う」 p.105 「ねぇ、なんで、そんな、誰にも文句言われないように気をつけてます、みたいな格好してるの?」 p.119 「てゆうか、ある程度出世してて、常に傷が1つもない、叩いてもほこりが全然出ないやつなんていないだよ。みんな不愉快さを飲みくだして、生きてるんだよ」 p.124 「リスクのある仕事をする端力も、業務を処理する能力もない。だめなやつ。それでも同じ給料もらってるし、多少疑われても普通に生きてる。会社や組織ってのは基本的に、別に無理して張りきらなくたって、それなりに生かしてくれるシステムになってるんだ。よっぽど憎まれない限りな」 p.135 同棲時代、自分たちはずいぶんうまくいっていたように思う。それぞれの仕事を尊重し、干渉せず、たまに休みが被った時はケーキをお金を使って、海外でもどこでも遊びに行く。2人ともマリンスポーツとお笑いが好きで、喧嘩なんてほとんどしなかった。結婚しても、変わらない2人でいられると思っていた。楽しい事は分け合えても、難しいことや工夫が必要な事は分け合えない。それが自分たち夫婦のだめなところだ。話せば話すほど鈍い痛みのようなあきらめが胸で膨らみ、息苦しくなる。 p.141 趣味?自分はアクセサリー政策を趣味だなんて思った事は1度もないし、結婚したこともないけれど。女性のデザイナーに対しては稼がなくていいから、気楽だといった眼差しを向け、男性のデザイナーに対しては人生をかけている、勇敢だ。奇妙な美化を行うのは失礼じゃないか?誰だって、たった1つの人生で職業を選ぶと言う行為には、勇気を振り絞っているだろうに。 p.244 「無罪と無実は別のものです。健康法はあなたを無罪であると判断しました。しかし、無実は、司法が判断するものではありません。片桐さんは事件について、深く悩んでいるように見えました。私に言えないこともあったのでしょう。法的な罪を問われない上で、自分に過ちがあったのか、なかったのか、あったとしたら、どんな過ちか。それは片桐さんにしか判断できないというかです」「奈良、私は何を正しの指標にすれば良いのでしょう」「信仰や思想にそれを委ねる人もいます。何か特定の、信じる対象を持ちですか?」「いえ…」「それで私が差し出される正しさを頼るのではなく、ゆっくりと自分で考えてください。この先も人生は続き、もっとも深い場所で片桐さんを理解し、罰し、許すことができるのは、片桐さんしかいないのです。…良い形で、ご自身の人生と折り合いがつくことを願っています」 p.248 生きること、育つことへの無垢の喜びに満ちた季節だ。 p.249 「堂々としてればいいのよ、無罪なんだから。そもそもね、何が罪とか罪じゃないとか、そんな細かい部分まで大概の人は考えないって!無罪だったんだ、じゃあ悪くなかったんだねーって、それで終わり。気にしてビクビクする方が変よ」母親の言葉はある意味で正しいのだろう。無罪と無実の違いなど、ほとんどの人は考えない。考えるのは、考えなければならない状況に陥ったことがある人だけだ。 p.254 地位であったり、金であったり、名誉であったり、望外の輝かしいものに心が躍り、過剰なサービスをした。要請に応えた。自分から望んでそれを行った、ことにした。柴田に、会社に、質問されたくなくて、それが仕事だ、仕事とは、そういうものだ、誰もが耐えていることだ、この深さに耐えることが優れた職業人の証だ、と山のような言い訳で、自分を練り伏せ、過剰なサービスを、要請への応答、忖度を、した。自分の人生を、切り売りした。痛覚のないマネキンが、あんな苦痛を感じるのか。 p.268 「そういう目まぐるしく変わる世界で唯一、私たちの思い通りに動かせるものって自分の体と心ぐらいじゃない。それしか持ってないんだから、優先したほうがいいよ」「優先した結果、あなたはひどい目にあったのに?」「違う、逆だよ。優先せず、自分の意思とかけ離れたことをして殴られたら、きっと今より苦しかった」 p.272 「優しい人が、そばで手を握ってくれるって、贅沢でいいね」 p.278 「してるよ。自分の俗っぽさも、他人の俗っぽさも。芸術がどうとか、文化がどうとか、そういう交渉な理由だけじゃなく、もっと簡単な理由で、人は動くんだ。金とか名誉とか色恋とかな。そのエネルギーは、侮るから、足をすくわれる」 p.280 仕事を人質に、相手が職業的に差し出したサービス以外のものを強奪しようとすることをハラスメントって言うんだ。ニコルが貝原さんにしたのはそういうことだ。貝原さんがいないと作れない、だ?違うだろう、あんたはあの人に拒まれて、それは認めたくないから、仕事、ポーラスターを、ニコルを締め殺したんだ。貝原さんがそれだけはやめてって泣いて帰ってくることを期待してな」 p.282 「人を好きになることの何が悪いよ。仕事だの芸術だの高尚ぶった建前で人を縛る位なら、堂々とアプローチすればよかったんだ。それで振られたって、関係が終わるわけじゃない。ニコルが貝原さんの結婚式のスピーチをしたり、貝原さんの人生の節目をニコルのアクセサリーが彩ったり、そんな未来があったかもしれない。…そうだろう?」 p.316 姉は、自分よりも弱いものをたざわ、好んで保護したがる偽善的な性質を持っているのだと思っていた。きっと違う。彼女にとってチイコは唯一の仲間だったのだ。姉の中に、あの小さな金魚みたいな、大きな存在に怯える魂がある。背負って、生まれた弱さに苦しみ、もがきながら、この人は大人になった。 p.317 「うまくいくよ。ニコルの願いは叶う。次は大切な人を傷つけずに、目的の場所にたどり着く。間違えたって思ったんでしょう?それを忘れなければ、次に間違えそうになった時は立ち止まる。道を変えられる。だから大丈夫なんだよ」 p.325 本書は、間違える人を描く物語だ。欲しいものに懸命に手を伸ばし、登れば登るほどに大きくなっていく。うねりの中でもみくちゃにされ、やがて道を踏み外して転落していく。2人の物語である。私もよく間違える人の話を書くが、その際、最も意識しているのはできるだけし、人物と読み手の間に距離を作らないようにすることだ。読み手に体験したことがないはずの最悪の状況を追体験してもらうため、最終的に1線を超えてしまう登場人物であっても、そこに至るまでは常識から極力離れない思考を積み上げようと努めている。読み手に「この心理はよくわからない」と思われてしまったら、その先を臨場感を持って読み進めてもらえなくなるからだ。普段自分が苦戦していることだからこそ、読む上で価値観や感覚への保留を必要とする構成に驚き、戸惑った。なぜ、この物語が共感をベースに進まないのか。社会や時代に左右されない日があると信じ、才能だけで上り詰めていくニコルは、読み手にとっても「特別な存在」と認識されるにしても、そうであるなら、なおさら、いちかのほうは読み手にとって理解しやすい存在にしたくなるものではないのか。疑問を抱いてみると、ますます1階の理解のできなさが募っていった。1人になることを恐れる気持ちはよくわかる。認められたい、失望されたくないと言う思いにも強く共感する。だが、だからこそ、1千夏が夫と離婚する際に見せたためらいのなさに置いてきぼりを食らったような気持ちになった。夫の不倫が発覚するや否や、興信所に身辺調査を依頼し、弁護士に連絡を取る行動力も、慰謝料の額で揉めてなじられてもぶれない姿勢も、1人になることを恐れる気持ちとは相反するものに思えた。では、彼女は本当に恐れるものは何なのだろう…私はイチカがわからないまま読み進め、そして彼女自身がわからないと考えるシーンにたどり着いた。「わからない。何が起こっていて、自分は誰の話を聞くべきなのだろう。誰の話を、聞くべきだったのだろう。わからない。本当にわからない。正しいものを判断する力がない、自分が1番わからない。おしまいだ。仕事しかないのに。弾き出される。私は、1人じゃ遊べないのに」この、予期せぬタイミングで現れた最後の1分に、頭を殴られたような衝撃を受けた。いかに共感して、彼女を自分のようだと感じて、彼女の体験を追体験したわけではない。そうでは無いのに、爆発するように、わかる、と感じた。彼女の恐怖が、やるせなさが、心細さが、悲しさが、怒りが、理屈を吹き飛ばすほどの勢いで伝わってきた。そして、気づいた。私が読みながら感じ続けていたもの語り、世界の得体の知れなさは、イチカが世界に対して抱き続けていた戸惑いや不審や疑念と重なることになる。突然海の真ん中に小さな島ができた。そんな自分の努力とも人とも何ら関係ない出来事で家業が変わり、街の風景が変わり、危機にあった会社が息を吹き会した。大規模なリストラが観光され、あらゆる予算が縮小され、不採算部門が切り捨てられていく様を目の当たりにして、将来が全く見通せずに淡々としていた日々が、唐突に終わったのだ。彼女がなぜこんなにも出世にこだわっていたのか。それは出世しなければ、会社に必要な存在だと認め続けられなければ、容易に組織から切り捨てられることを痛いほどに知っていたからだ。ここで、繰り返しモチーフとして現れるサーカスの話が、社会の隠喩であること、医師かとニコルのサーカスにまつわる記憶の本当の意味が浮かび上がってくる。河川敷での風景がいかに安心感をもたらしたのは、単に非日常であったから、でも両親の機嫌が良かったからでもなかった。それより彼女にとって大事だったのは、団体に溶け込めたことだった。サーカスと言う作られた演目を楽しむには、ある種のお約束に乗っかる必要がある。動物が虐待されているのではないかなどと言う「余計な」ことを考えず、与えられる刺激に無邪気に言わなければならない。それは、共犯関係にも似た一体感だ。コルノ、1頭で世界と立ち向かう白い虎のイメージもまた、彼女自身が社会や時代に左右されない日を自らの感覚だけを頼りに追求したい思いと一致する。しかし、ニコルは貝原と美術館で出会い、彼女から作品にまつわる物語を聞かされて、美らら飲み方が変化したことをきっかけに揺らぎ始める。社会的に成功していく中で、社会とは無縁ではいられなくなり、自身も物語を付与される立場になり、位に疎まない仕事もしなければならなくなっていく。そして、1日の逮捕の方がもたらされ、子供の頃から1日の良きもの象徴のように感じていた。ニコルは、自分の完成自体が信じられなくなる。けるべき地面がなくなってしまったような心もなさ…地面がなければ、虎は走れない。 物語の後半で、正しさとは何か、ということが繰り返しと問われる。正しさは変わる。それは、正しさは多数派かどうかによって決まるからだ。だからこそ、イチカは、組織の中に居続けることに執着した。いちかが本当に恐れていたのは、1人になることそのものではなく、集団に溶け込めなくなることで「正しくなくなること」だったのではないか…そう考えた瞬間、個別には心を揺さぶられながらも、バラバラなまま残り続けていたいくつものエピソードが、急速につながっていくのを感じた。 本書は、単に間違える人を描く物語ではない。「絶対に間違えたくなかったからこそ、間違えてしまった人」の物語なのだ。この物語は、安易に共感しやすい形で描かれなかったが、故に、読み手が登場人物たちのよる変なさを共鳴する力を持つ。そして、物語と現実の境界が揺らいだところで現れる胸をつくような1文によって、読み手は物語世界に強烈に縫い止められる。「火に包まれ、滑稽に踊りながら走ったのは、それだけ欲しいものがあったからだ」 本を閉じた後も、この物語を読む前の自分には完全には戻れない。それは、突き付けられた問いが、体感した寄る辺なさが、知らぬうちに、身の内に深く食い込んでいるからだ。
今前半を読んでいますが、少し展開がゆっくりなように思いました。 後半でどのように話が繋がってくるのか楽しみです。
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草原のサーカス(新潮文庫)
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