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Posted by ブクログ
今年三月まで、東日本大震災で行方不明者は2523人となっています。
行方不明となったすみれの不在をどのように受け止めればいいんでしょうか。真奈は、すみれの死亡を認めずにいて、「形見分け」をする遠野も、仏壇に向かい記憶の「改竄」をするすみれの母も許せない。自分が苦しければ苦しいほど、すみれが近い。一人で暗闇のなかを彷徨うすみれを手放してはいけない。
一方、遠野は暗闇から去ると決め、「すみれはきっと歩き続けるだろう」と、自分も勇気を出して進まなければと考えている。
どちらにしても、現実の時間は生者の悲痛をものともせずに流れていく。真奈は時の移ろいの中で忘れていくことを怖がり、「本当にいいのか」とすみれに問い続け、「遠ざかるものにさようなら以外の言葉をかける方法を探している」(218) のだ。
消えても、流されても、何かが残れている。その残されたものを通じて、死者と会える。死んでも、生きても、きっと暗闇を通り抜けたあと、どこかへと辿り着く――というのは、本作のメッセージだと思います。
Posted by ブクログ
震災で失った友人の不在とそこからの再生の物語
友人が震災で亡くなって、海にかえる(成仏?)まで闇の中をさまようながら、思い出せない生きていたときの記憶を探る
奇数章は現実を生きる主人公が、友人が付き合っていた彼氏や職場の店長、同僚、友人の両親、女子高生たちとの時間と会話で少しずつ再生していく
偶数章は友人の視点で、生前深く大切に思っている人たちへの残り香のような繋がりを明確には思い出せないながらもかすかに感じながら、少しずつこの世から消えていく様子が美しい夢を見ているような感覚においる描写
同僚やある女性の言葉からいなくなってしまった人たちはただ消えるだけでなく、残された人たちに何か影響を残していくということが確かに感じられた。
Posted by ブクログ
「なにが、なにか困ったことはある?だ。あんな電話、しなくてよかったのに。職場のことなど考えず,迷惑をまき散らしながら逃げて逃げて、どこかの温泉にでも浸かってくれていた方がよかったのに。そうしたら、きっと探しに行ったのに。
本当だろうか、と熱いコーヒーを口に含んで自問する。死んだ人間相手だからと、非現実的な絵空事のやさしさを掻き集めていないか。実際にそれをやられたら,私はそれまで尊敬していた楢原店長をすぐさま見下すようになったはずだ。私も同じような目に遭ったことがあるけれどこんな風にはならなかった、なんて弱い人だろうと、さっきのように自分のたった一度の体験を引き合いに出して、わかる部分だけ切り刻み、乱暴に評価しようとしたはずだ。」p129-130
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