小説・文芸 - 集英社作品一覧

  • 怪しい隣人
    3.9
    6人の隣人、6回分の罠。さえない中年男の、親友の未亡人に寄せるほのかな恋心がとんでもない結末を生む「妻と未亡人」。夫の上司の娘を預かることになった主婦が、知りたくもない事実を知らされる「本当のこと」。思いがけない事件をきっかけに妻と愛人の間で孤立してゆく男を描く「隣の他人」ほか、ありふれた人々の、少し歪んだ思惑が交錯するとき、日常にぽっかりと開く恐怖の落とし穴。心の闇を暴くサスペンス6編。
  • かたづの!
    3.9
    遠野の羚羊の片角には霊妙な伝説がある。慶長五年、根城南部氏当主直政の妻・祢々は片角の羚羊と出会う。直政と幼い嫡男・久松が立て続けに不審な死を遂げた直後から、叔父の三戸南部氏・利直の謀略が見え隠れしはじめた。次次とやってくる困難に祢々は機転と知恵だけで立ち向かう。「戦でいちばんたいせつなことは、やらないこと」を信条に波瀾万丈の一生を送った江戸時代唯一の女大名の一代記。河合隼雄物語賞(第三回)、歴史時代作家クラブ賞作品賞(第四回)、柴田錬三郎賞(第二十八回)、王様のブランチブックアワード2014大賞受賞作!!
  • ゼンマイ
    3.9
    「世の中なんて、不思議な出来事が簡単に起きるくらい、くだらねえもんだな」魔術団の女が残したゼンマイの小箱をたよりに、モロッコへとオトコ二人の珍道中。見つけたのは、ひとりの女か、それとも人生か──。野間文芸新人賞受賞の新鋭による最新傑作小説。
  • 政と源
    3.9
    東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが――。当年とって七十三歳の国政と源二郎は、正反対の性格ながら、なぜか良いコンビ。水路のある下町を舞台に老人パワーを炸裂させるふたりの、痛快で心温まる人情譚! 【目次】一、政と源/二、幼なじみ無線/三、象を見た日/四、花も嵐も/五、平成無責任男/六、Y町の永遠
  • 警察回りの夏(メディア三部作)
    3.9
    母子家庭の幼い姉妹が自宅で殺害される。死体発見時から母親が行方不明の為、母親犯人説が浮上。日本新報甲府支局の南は、本社への栄転を懸け、特ダネを狙って精力的に事件情報を収集。警察のネタ元から犯人の情報を掴み、紙面のトップを飾る記事を書いた。だが、それは大誤報となって……。巧妙な罠に翻弄されながらも、新聞記者としての矜持と野心の狭間で真実を追う男の闘い。長編ミステリー。
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集
    3.9
    仏陀の死せる夜、デイアナの死する時、ネプチューンの北に一片の鱗あり……。偶然手にした不思議な暗号文を解読した園村。殺人事件が必ず起こると、彼は友人・高橋に断言する。そして、その現場に立ち会おうと誘うのだが……。懐かしき大正の東京を舞台に、禍々しき精神の歪みを描き出した「白昼鬼語」など、日本における犯罪小説の原点となる、知る人ぞ知る秀作4編を収録。
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(上)
    3.9
    1~2巻495円 (税込)
    近未来。時間遡行装置の発明により、過去に介入した国連は、歴史を大きくねじ曲げたことによって、人類絶滅の危機を招いてしまう。悲惨な未来を回避するために、もう一度、過去を修復してやり直す。その介入ポイントとして選ばれたのが1936年2月26日、東京「二・二六事件」の早朝。そして史実にかかわる3人の軍人が使命をおうことになる。過去の修復はできるのか!?
  • オーガニック革命
    3.9
    “話題”のクリエイターが説く新しい価値観! オーガニックとは、単なる健康食ブームではない。20世紀的資本主義からの脱却を希求する「運動」だ。金融危機に揺れるロンドンで出会った、新しい価値観への啓示を語る。【目次】はじめに/第1章 21世紀のオーガニック・ロンドン/第2章 オーガニックへ至る道――イギリス“金融帝国”の狂騒と凋落/第3章 オーガニック・ライフ実践編/おわりに/参考文献・資料
  • 美麗島紀行
    3.9
    人気作家乃南アサが台湾各地を巡り歩き、台湾と日本の関係性についてその歴史から思いを馳せる異色の台湾紀行。叙情性あふれる文章に込められた著者の深い想いが全体を包む、台湾紀行の決定版ともいえる作品。
  • 美女
    3.9
    この里芋のような女に、俺の「浮気相手」が演じられるのだろうか? 妻の妹と関係を持った男は、妻の疑いをそらすために、馴染みの居酒屋の女将に一芝居打ってくれるように頼み込んだ。男の目の前ではじまった、妻とその妹、女将――3人の女の壮絶な「芝居」は、想像もしない幕切れへ……(表題作)。逆転に次ぐ逆転! 息を呑む超絶技巧で男と女の虚実を描く、8篇の傑作ミステリアス・ノベル。
  • 野武士、西へ 二年間の散歩
    3.9
    野武士たる著者は、世の散歩ブームを受けて「大阪まで散歩しよう」と思い立った。でも大人だから、一気に踏破するなんて無茶はしない。ちょっとずつ歩いて帰りは電車で戻ってくればよしとする。途中でビールを飲んだりウマイものを食ってもよし。温泉に入ってもよし。疲れたらホテルでマッサージとか頼んでもよし。かくしてユルさと苦難がないまぜの、大人の東海道散歩500キロ超が始まった!
  • 幸福な日々があります
    3.9
    「夫としてはたぶんもう好きじゃないんだよね」。三十六歳で結婚をしてから十年を迎える年の正月、お雑煮を食べながら森子は祐一に告げた。別に嫌いになったわけじゃない。親友としてなら、好き。けれどももう一緒にはいたくない。戸惑う夫を尻目に森子は一人暮らしの準備をし、離婚の手続きを進めようとする――。恋とは結婚とは、一体何なのか。女性の心に潜む本音が共感を呼ぶ長編小説。
  • 自由に至る旅 ――オートバイの魅力・野宿の愉しみ
    3.9
    不自由な日常から、自由な世界へ。オートバイを愛し、野宿旅を続けている人気作家が、その思想と実践について語る。北海道から九州までのお薦めのポイント、野宿や運転技術の具体的なノウハウなど、役立つ情報も満載。さらに、著者自身のユニークなエピソードも交えつつ、自然の呼吸を皮膚で感じるすばらしさ、速度の持つ超越的な力など、自由な旅に出ることの本質を論じていく。カラー口絵をはじめ、著者秘蔵のツーリング写真なども掲載。――さあ、あなたも旅に出よう! 【目次】まえがき/第一章 オートバイとの出会い/第二章 北海道への旅/第三章 基本は野宿/第四章 本州~九州/第五章 旅の心得
  • 野生動物カメラマン
    3.9
    世界的動物写真家・岩合光昭。今やライフワークとも言えるネコの写真でその名前を知る人も多いだろう。だが、彼の真骨頂は野生動物の撮影にある。サバンナでライオンの母子が鼻をくっつけ見つめ合う姿、中国奥地で80センチの至近距離から撮ったジャイアントパンダの授乳シーン、アラスカの海でザトウクジラが見せた迫力のバブル・ネット・フィーディング…。なぜそんな劇的な瞬間が彼にだけ訪れるのか。世界中の人々を魅了してやまない数多の写真と共に、驚きの舞台裏と野生動物への尽きせぬ想いを綴る。【目次】第1章 アフリカ・サバンナの狩人たち/第2章 北極圏の大物たち/第3章 南極圏に営巣する海鳥たち/第4章 人気者の知られざる野生/あとがき
  • 世界地図の下書き
    3.9
    【坪田譲治文学賞受賞作】両親を事故で亡くした小学生の太輔は「青葉おひさまの家」で暮らしはじめる。心を閉ざしていた太輔だが、仲間たちとの日々で、次第に心を開いてゆく。中でも高校生の佐緒里は、みんなのお姉さんのような存在。卒業とともに施設を出る彼女のため、子どもたちはある計画を立てる……。子どもたちが立ち向かうそれぞれの現実と、その先にある一握りの希望を新たな形で描き出した渾身の長編小説。
  • 糸車
    3.9
    深川の長屋で独り暮らしのお絹。三年前までは、松前藩家老の妻だったが、夫を殺され息子勇馬は行方不明。小間物の行商をして、勇馬を探し続けている。商いを通じて、同心の持田、茶酌娘などと親交を深めるうち、様々な事件に巻き込まれ、それぞれの悩みに共感し奔走するが……。船宿の不良娘と質屋のどら息子の逃避行、茶酌娘の縁談、そしてお絹に芽生えた静かな愛。下町の人情が胸に染みる時代小説。
  • 希望の海 仙河海叙景
    3.9
    東日本大震災により失われた日常と、得るべき希望。東北に生まれ、東北に暮らす直木賞作家の、「あの日」を描かない、連作短編集。三年前の秋、早坂希は勤めていた会社を辞めて仙河海市に戻ってきた。病弱の母親の代わりに、スナック「リオ」の切り盛りをしている。過去に陸上選手として活躍していた希は、走ることで日々の鬱憤や悩みを解消していたが、ある日大きな震災が起きて、いつも見る街並みが180度変わってしまう――。(「リアスのランナー」「希望のランナー」)。高校生の翔平は、津波により両親と家を奪われ、妹の瑞希とともに仮設住宅で暮らしていた。震災の影響で環境が大きく変わり、次第に心が荒んでいく翔平だったが――。(「ラッツォクの灯」)。東北の港町に生きる人々の姿を通して紡がれる、3・11からの再生の物語、全9編。【目次】リアスのランナー/冷蔵家族/壊れる羅針盤/パブリックな憂鬱/永久(とわ)なる湊/リベンジ/卒業前夜/ラッツォクの灯/希望のランナー
  • 頭の中がカユいんだ
    3.9
    何かワケありの僕は、ある日、突然、妻と子を残して家出する。勤める小さな広告代理店に、寝泊まりするようになった僕。TV局員をはじめ、いろんなギョーカイ人たちと、夜に、昼に、昭和最後のヒートアップする大阪を徘徊する日々。次々とトンデモナイ事件が起こる中、現実と妄想の狭間で僕は……。中島らも自身が「ノン・ノンフィクション」と銘うった記念碑的処女作品集。
  • フィンランド 豊かさのメソッド
    3.9
    経済協力開発機構(OECD)による生徒の学力調査(PISA)で、フィンランドの子どもたちがトップの成績を挙げて以来、その教育のあり方に注目が集まっている。またフィンランドは、世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキングでも、何度も1位に輝くなど、経済的にも発展している。充実した福祉、女性の社会進出、透明性の高い税金の使途……日本とは対極的とも言える、その成長の秘密は、どこにあるのだろうか。現地の大学院留学など、フィンランドで過ごした貴重な体験をもとに語る、“不思議で豊かな国”の素顔。【目次】はじめに へえー、フィンランド? 日本人には馴染みの薄い国だが……/第1章 不思議でとても豊かな国~失業率二〇%から国際競争力一位へ/第2章 学力一位のフィンランド方式~できない子は作らない/第3章 税金で支えられた手厚い社会~独立心が旺盛でたくましい女性/第4章 日本と似ている? フィンランド文化~異文化コミュニケーション/おわりに
  • ビジネス・ナンセンス事典
    3.9
    「あ」から「ん」まで、サラリーマンの身の回りに、当たり前に起こるできごとや、ことがらを、サラリーマン経験のある著者のセンスで解説した、いわばサラリーマンのための基礎知識的エッセイ。【阿諛追従】もあれば、【愛】もあり、【営業】もあれば、【左遷】もある。決してお気楽ではないサラリーマン。苦しいことや、悲しいこともあるだろうが、本書を読んで元気を出して、頑張ってみようじゃないか!
  • 水に似た感情
    3.9
    人気作家・モンクは友人のミュージシャンたちとテレビの取材でバリ島を訪れる。撮影はスタートするが、モンク自身の躁鬱と、スタッフの不手際や不協和音に悩むが、呪術師を取材し超常現象を体験した後、モンクも落ち着きスタッフもまとまる。帰国したモンクは親しい友人たちを誘い再びバリを訪れるのだが。リアルに迫りくる幻想体験を通じ、なぜか読むほどに心安らぐ小説。
  • こらっ
    3.9
    「こらっ」が言えない性格と自他ともに認める中島らもが堪忍袋の緒を揉みほぐして、ついに怒った! 駅前開発を、言論の圧殺を、非実用英語を、グルメブームを、心霊商売を、変態いびりを、大麻取締法を、性教育の遅滞を叱って叱って叱りたおす。いまどきの若者いまどきの日本人、頭をたれて良く聞くようにっ、という一読ハラワタが煮えくり返る超ぶっとび硬派エッセイ集。
  • 愛しても届かない
    3.9
    「恋」という魔物にとりつかれた女は、ときに、自分自身でも思いがけないことをしてしまう。七々子の場合がそうだった。好きになった彼にはすでに恋人がいた。あきらめきることができない七々子のとった行動は、彼の恋人、美咲に近づき、友達になることだった。嘘をつき、おとしいれ、そうまでして手に入れた恋。一途に思う心には偽りはなかったはず、だけど……。女心の深淵をえぐる恋愛長編。
  • 恋人はいつも不在
    3.9
    大学の頃から好きだった時男と3年かけて、ようやく恋人関係になれた奈月。なのに、この頃、時男のやさしさが見えない……。そんな時、時男の昔の恋人・小夜子が現れる。派手な化粧がよく似合う小夜子にひかれる時男。そして、奈月の前にも、以前に告白された協介が……。社会人としても3年目を迎え、すれ違う恋人たちの心と、その成長を女と男、それぞれの視点から丹念に綴った長編小説。
  • オズの世界
    3.9
    配属先はローカル遊園地!? ディズニーランドで働く夢に破れ、二度と遊園地には行かないと心に決めた久瑠美。失意のうちにホテルへの入社を決めた彼女が命じられたのは、グループ傘下にあたる九州の遊園地での勤務だった。理想と現実のギャップに不満だらけの久瑠美、しかしそこでは更なる試練が待ち受けていた――。遊園地の知られざる裏側と不慣れな地で奮闘する新米社員を描くお仕事小説。
  • ベター・ハーフ
    3.9
    日本が未曾有の好景気に沸いていた時代、2年ごしの交際をへて広告代理店勤務の文彦と派手な結婚式をあげた永遠子。その日が人生最高の日だった。順調にスタートをきったはずの結婚生活は、バブルがはじけたことから、下降線の一途をたどる。不倫、リストラ、親の介護……。諍いと後悔にあけくれる日々から、夫婦はどう再生してゆくのか。結婚の真実を描く長編小説。
  • 蝶のゆくえ
    3.9
    【第18回柴田錬三郎賞受賞作】10代で出産離婚し23歳で再婚した美加だが、新しい夫は息子にまったく無関心だった。彼女もそんな夫に同調し、いつしか虐待が始まる……。突然、夫の両親と同居することになった37歳主婦のいらだち。定年退職した直後の夫をオヤジ狩りでなぶり殺された58歳主婦の孤独。現代に生きる様々な年齢の普通の女たちを鋭く描いた傑作短編集。
  • 神鳥(イビス)
    3.9
    夭逝した明治の日本画家・河野珠枝の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の、妖しい魅力に魅せられた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビ。画に隠された謎を探りだそうと珠枝の足跡を追って佐渡から奥多摩へ。そして、ふたりが山中で遭遇したのは時空を超えた異形の恐怖世界だった。異色のホラー長編小説。
  • かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち
    3.9
    〈傷ついたかなりや達の止まり木に、ようこそ。〉雪のクリスマスイブ。母親が失踪し家を追い出された茜音は、天使のような少女の導きによって古い洋館アパート「かなりや荘」に招き入れられる。そこには心の片隅にさびしい廃園を抱えた人々と、道半ばにして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司がひっそりと暮らしていて…。古アパートを舞台に、歌を忘れたかなりや達が繰り広げる、優しく力強い回復と救済の物語。
  • ギンカムロ
    3.9
    花火には、二つしかない。一瞬で消えるか、永遠に残るか。幼い頃、花火工場の爆発事故で両親を亡くした昇一は、高校を卒業後、一人東京で暮らしていた。ある日、祖父から電話があり、四年ぶりに帰郷する。そこには花火職人として修業中の風間絢がいた。十二年前に不幸な出来事が重なった。それぞれが様々な思いを抱え、苦しみ、悩み、葛藤していく。花火に託された思いとは――。希望と再生の物語。
  • 生きて候 上
    3.9
    倉橋長五郎政重は、徳川家御先手組にあって、無敵の大業“鬼落とし”で知られた槍の名手。家康の名参謀・本多正信の次子にして槍奉行・倉橋長右衛門の養子だが、故あって秀忠公の近習を斬り捨て徳川家を出奔。意地と野心を胸に秘め、慶長の役に身を投じる。前田利家の密命を帯び朝鮮半島に渡った政重だが、そこは人心を捨てねば生き延びられない修羅場であった。
  • またやぶけの夕焼け
    3.9
    僕はヒデユキ、八王子市立第六小学校の四年生だ。放課後になるといつも近所に住むカッチャンたちと遊びに繰り出す。『侍ジャイアンツ』に影響されて魔球を投げようとしたかと思えば、弟をブッチャーに見立ててプロレスごっこ。大物のノコギリクワガタに興奮し、恐竜の化石探しに熱中する―。毎日を全力疾走する少年たちを活き活きと描く、かつて子供だった全ての人に贈る笑いと涙の青春小説。
  • 「独裁者」との交渉術――ボスニア カンボジア スリランカ国連和平調停の舞台裏
    3.9
    冷戦後、世界の安全保障の枠組みが激変するただ中で、カンボジアPKOやボスニア紛争の調停をはじめ、国連が主導した1990年代の平和活動を指揮した日本人がいた。もっとも困難な立場に立たされた交渉人―-明石康は、シアヌーク、ミロシェヴィッチ、カラジッチといった現代史に名を残す政治家・ナショナリストたちと、どのように対話し続けてきたのか? バルカン半島の現場を熟知するジャーナリスト木村元彦が、1年間にわたって連続インタビューを敢行。誰よりも苛烈な現場を潜り抜けてきたミスター・アカシの交渉テクニックに迫る!【集英社新書『「独裁者」との交渉術』改題】【目次】本書の読者のために(木村元彦)/第一章 反抗児/第二章 初の日本人国連職員/第三章 国連的アプローチ/第四章 文民統制/第五章 カンボジアPKO(一)/第六章 カンボジアPKO(二)/第七章 ボスニア/第八章 人を見る目/第九章 食事術/第十章 スリランカ問題/第十一章 スリランカ和平調停の裏側/終章 職業としての交渉者/インタビューを終えて(木村元彦)/あとがき(明石康)/カンボジアPKO関連資料(略年表・主要人物・地図)/旧ユーゴスラビアPKO関連資料(略年表・主要人物・地図)/スリランカ和平調停関連資料(略年表・主要人物・地図)/用語解説
  • 終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ
    3.9
    1999年のNATO軍の空爆により、コソボ紛争は公式には「終結」したことになっている。しかし現地では、セルビア系の民間人が3000人規模で行方不明になるなど、空爆前とは違った形で「民族浄化」が続き、住民たちは想像を絶する人権侵害の危機にさらされている。また、空爆による劣化ウラン弾の被害は甚大で、すべての回収には100年を要するという。本書は、空爆終了後6年間にわたって現地に通い続けた唯一のジャーナリストが、九・一一やイラク戦争の開始以降ほとんど報道が途絶えてしまったセルビア・モンテネグロの現状を告発した、渾身のルポルタージュである。【目次】まえがき/旧ユーゴスラビア全図/第一章 大コソボ主義(2001年~2002年)/一 消えた1300人――セルビア人拉致被害者たち/二 真っ先に見た事務局長/三 コソボへ/四 マケドニア潜入行/第二章 混迷の中で(2002年)/一 劣化ウランとユーゴスラビアの核/二 10月革命の裏側/第三章 セルビア・モンテネグロの誕生(2003年)/一 新憲章発布とモンテネグロ/二 新憲章発布とコソボ/三 誰がジンジッチを殺したのか/四 ボスニア・ヘルツェゴビナ/五 少年が殺された/終章 語り部(2004年10月)/柴宜弘教授との対話――あとがきに代えて/ユーゴスラビアとセルビア・モンテネグロに関する年表
  • オーダーメイド殺人クラブ
    3.9
    クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は――。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。
  • 貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書
    3.9
    たった一人の読者のために、この物語を贈ります――心に迷いを抱えたお客様を癒す、ハートフル・ストーリー。作家デビューしたもののヒットが出ず、書くことすらできなくなった晃司は、祖父の紹介で喫茶店の住み込みアルバイトをすることに。喫茶イストワールは客のリクエストに応じて有名無名の作家たちが書き下ろした“同人誌”を貸し出す一風変わった喫茶店。そこで晃司は、司書をしている幼馴染みの文弥子と再会して…。傷ついた人々の心を癒す、世界でたった一つの物語。
  • ゴヤ I スペイン・光と影
    3.9
    『巨人』『裸のマハ』等で知られる画家フランシスコ・デ・ゴヤ。1746年、荒涼としたスペイン北東部に生まれ、17歳でマドリードへ。下絵描きを経て、宮廷画家の地位を得るが……。大病や相次ぐ子供の死と、苦難に満ちたゴヤの82年の生涯を、数々の絵画・版画作品と共にたどる。著者の並々ならぬ情熱と、徹底した踏査に基づく長編評伝。第1巻では、ゴヤ40歳までを描く。大佛次郎賞・ロータス賞受賞の傑作。
  • 最低で最高の本屋
    3.9
    「本当のこと」を教えてくれない授業に違和感を感じ高校を中退し、何の目的もなく怠惰な日々を送っていた少年時代の著者。好きなことは本を読むこと。高村光太郎の詩集、そしてケルアックの『路上』。本の中に広がる世界に憧れた彼は、ひとりアメリカに旅立った。古書店カウブックスを営み、『暮しの手帖』編集長として多くの若者に支持される著者が綴った青春と「働くこと」についてのエッセイ集。
  • 焚火の終わり 上
    3.9
    1~2巻495~550円 (税込)
    島根県の岬の町に住む美花は、茂樹の異母妹である。幼い頃、岬の家に行くのが茂樹は好きだった。いつも二人は焚火を楽しんだ。父が死に、母も他界した後、茂樹は母のノートから〈許すという刑罰〉との謎のメモを発見する。一方、美花の家には異様な写真が一枚残されていた。「美花は本当に自分の妹だろうか」出生の秘密を探るうち、さらに強まる二人の絆。それは恐ろしいほどの疼きとなった。
  • かもめ
    3.9
    19世紀末ロシアを舞台に描かれる作家志望の男と女優を夢見る女の恋。35歳のチェーホフが“恋だらけの物語”として構想した戯曲は、様々な演出家や時代によって形を変え、100年以上の時を経てなお、世界各地で愛され続けている。「人生の本質を見る真の繊細なまなざしを獲得した」と評された演劇史上不朽の名作が今、現代を生きる人々のための瑞々しい名訳となって甦る。
  • 読書狂の冒険は終わらない!
    3.9
    大ヒット古書ミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの作者・三上延は古書店勤務時代に本の査定まで手掛けていた筋金入りの書物通。一方、ビブリオアクションシリーズ『R.O.D』の倉田英之も「欲しい本はいま持ってない本、全部」と言い切るほどの本マニア。ベストセラー作家にして稀代の「読書狂」の二人が「読まずにはいられない」名作・傑作・奇本・珍本の数々を、丁々発止で語り合うビブリオバトルが開幕! 博覧強記の二人が惜しみなく出し合う秘蔵の「読書ネタ」を収めた本書は、唯一無二のブックガイドである。【目次】まえがき 三上 延/第1章 モダンホラーは最高だ!/第2章 乱歩と横溝と風太郎と/第3章 映画と本の怪しい関係/第4章 「挫折本」もまた楽し/第5章 珍本・奇本が大好物/第6章 ああ、思い出のトラウマ本/第7章 『ビブリア』『R.O.D』打ち明け話/第8章 古本・古雑誌は宝の山/第9章 本、愛あればこそ/第10章 本の未来を語ってみよう/あとがき 倉田英之
  • 賞の柩
    3.9
    イギリス医学界の重鎮、アーサー・ヒルがノーベル賞を受賞した――。知らせを受けた青年医師の津田は、同じ分野で研究を続けながら惜しくもこの世を去った恩師、清原の死因を探るなかで、ヒルの周辺に不審な死が多いことに気付く。彼らを死へと追いやった見えざる凶器とは一体何か。真相を追ううちに津田は大きな陰謀に飲み込まれてゆく。ノーベル賞を題材にした本格医療サスペンス。
  • 米原万里の「愛の法則」
    3.9
    稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか――〈愛の法則〉では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また〈国際化とグローバリゼーション〉では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。4つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。【目次】本書に寄せて――池田清彦/第一章 愛の法則/第二章 国際化とグローバリゼーションのあいだ/第三章 理解と誤解のあいだ――通訳の限界と可能性/第四章 通訳と翻訳の違い
  • アゲイン 28年目の甲子園
    3.9
    もう一度、甲子園を目指しませんか――。40代半ばの元高校球児、坂町は見知らぬ女性に突然、声を掛けられる。彼は高校時代、ある出来事が原因で甲子園への夢を絶たれていた。記憶の蓋をこじ開けるような強引な誘いに苛立ちを覚える坂町だったが、かつてのチームメイトと再会し、ぶつかり合うことで、再び自分自身と向き合うことを決意する。夢を諦めない全ての大人におくる感動の物語。
  • 世界はすでに破綻しているのか?
    3.9
    「国家は破綻する。もしくは、それに近い状態に陥り、社会が大きく揺らぐ。それは誰もが知る国で確実に起こることなのである。そのとき、人や街はどのように変わるのか? 本書は、過去25年にわたって、僕がこの目で見てきたことを、書き記した本である。そして、その要因を探ると同時に、破綻の根底を成している“変わらない人間の欲望”を自戒するための書籍でもある。」アルゼンチン、スペイン、ギリシャ、キプロス、ロシア、タイ、韓国……破綻した国の人々に学ぶ生き延びるためのヒント。
  • 床屋さんへちょっと
    3.9
    「あたし今度、自分で店、開くんだ」。海外出張先への国際電話で娘に告げられ、宍倉勲は絶句した。就職したばかりの大手企業をすぐ辞めてしまったと思ったら、今度は何を言い出すのか――(「マスターと呼ばれた男」)。時に社長として、時にヒラ社員として、誠実に働き続けてきた男。彼と娘との関係、家族の歴史を時をさかのぼりながら描く連作長編。
  • 地球どこでも不思議旅
    3.9
    ある日ふと“真実のラーメン”を求めて中国シルクロードをさまよい、踵を返し一路、プロレス王国メキシコへ飛ぶ。“演歌のルーツ”は竜飛岬。“うどんの聖地”は四国の讃岐。“神サマの本場”は京都に出雲と日本列島水平直角右左の大移動。旅は男のおもしろかなしずむ。こだわりの豪華一点主義である。ややや! と驚きに満ちた初の世界過激見聞記。
  • 相剋の森
    3.9
    1~2巻825円 (税込)
    「山は半分殺してちょうどいい――」現代の狩人であるマタギを取材していた編集者・美佐子は動物写真家の吉本から教えられたその言葉に衝撃を受ける。山を殺すとは何を意味するのか? 人間はなぜ他の生き物を殺すのか? 果たして自然との真の共生とは可能なのか――。直木賞・山本賞受賞作『邂逅の森』に連なる「森」シリーズの第一弾。大自然と対峙する人間たちを描いて感動を呼ぶ傑作長編。
  • 漢方小説
    3.9
    【第28回すばる文学賞受賞作】川波みのり、31歳、脚本家、独身。胃がひっくり返ったようになるのに、眠れないのに、病院に行って検査をすると『特に異状なし』。あのつらさは何? 昔の男が結婚したショックのせい? それとも仕事のストレス? 最終的にたどりついた東洋医学で、生薬の香りに包まれながら、みのりが得たものは。心と体、そして人間関係のバランスを、軽妙なテンポで書き綴る。仕事も、恋愛も、なんとなく疲れちゃった…。大丈夫! そんなときの処方箋。
  • まほろばの疾風
    3.9
    時は八世紀末。東北には、大和朝廷に服従しない誇り高い人々がいた。かれら蝦夷は農耕のために土地に縛られるのではなく、森の恵みを受け大自然と共生しながら自由に暮らしていた。だが、その平和も大和軍の侵攻によって破られる。そして、一人の男が蝦夷の独立を賭け、強大な侵略者に敢然と戦いを挑んだ。彼の名はアテルイ。北の森を疾風のように駆け抜けた英雄の生涯を描く壮大な叙事詩。
  • 春のソナタ
    3.9
    聡明で、魅力的な表情の女性だ――17歳の直樹が年上の早苗に抱いた第一印象である。高校生のバイオリニストの直樹は、音楽を愛しながらも、ピアニストの父と同じ道を進むことをためらう。そんなある時、美貌の早苗に出会った。その時から彼の生活に明らかな変化が起きる。高校生の愛と自立、人生の試練を流麗に描く青春小説。
  • いちご同盟
    3.9
    中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい話し相手になって彼女を慰める。ある日、直美が突然良一に言った。「あたしと、心中しない?」ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描いた長篇。
  • あいにくの雨で
    3.9
    町に初雪が降った日、廃墟の塔で男が殺害された。雪の上に残された足跡は、塔に向かう一筋だけ。殺されたのは、発見者の高校生・祐今(うこん)の父親だった。8年前に同じ塔で、離婚した妻を殺した疑いを持たれ、失踪していた。母も父も失った祐今を案じ、親友の烏兎(うと)と獅子丸は犯人を探し始める。そんな彼らをあざ笑うように、町では次の悲劇が起こり――。衝撃の真相が待ち受ける、青春本格ミステリ。
  • 漂砂のうたう
    3.9
    【第144回直木賞受賞作】御一新から10年。武士という身分を失い、根津遊郭の美仙楼で客引きとなった定九郎。自分の行く先が見えず、空虚な中、日々をやり過ごす。苦界に身をおきながら、凛とした佇まいを崩さない人気花魁、小野菊。美仙楼を命がけで守る切れ者の龍造。噺家の弟子という、神出鬼没の謎の男ポン太。変わりゆく時代に翻弄されながらそれぞれの「自由」を追い求める男と女の人間模様。
  • アド・バード
    3.9
    【第11回日本SF大賞受賞作】マサルと菊丸の兄弟は、行方不明の父親を探しに、マザーK市へと冒険の旅に出た――。そこは、異常発達した広告が全てを支配する驚愕の未来都市だった! 赤舌、地ばしり、蚊喰い虫……珍妙不可思議な生物たちの乱舞。どこかなつかしさを誘う歌声。椎名誠独自の世界を打ち立てた記念碑的長編。
  • 鳩の栖
    3.9
    水琴窟という、庭先に水をまくと珠をころがすような安らかな音が鳴る仕掛け。操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが……。少年たちの孤独と淡い愛情、儚い命の凛々しさを描く表題作など珠玉の短編五編。
  • 我が家の問題
    3.9
    夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意し――「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻に感動していたはずが――「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。
  • L change the WorLd(デスノート特別小説版)
    3.9
    1巻660円 (税込)
    L、最期の23日間。劇場版『デスノート』から、スピンオフ「L」登場。究極の選択をしたのち、Lに降りかかった最後の事件を描く完全オリジナルストーリー。映画原案に参加した謎の人気作家Mが小説版を書き下ろし。スクリーンでは見られないLの言葉、Lの想いがここに。大人気コミック『DEATH NOTE』のアナザーストーリー。
  • 草莽枯れ行く
    3.9
    幕末。黒船が浦賀に現れた頃、上州浪人・相楽総三は天下を憂う志を持って仲間を集う。博徒・清水の次郎長や剣客・土方歳三とも友誼を結ぶ。次第に倒幕に傾倒して、怪物・西郷隆盛率いる薩摩藩に総三は接近して行き、薩摩の闇の左手として活動し、やがて赤報隊として倒幕軍の尖兵となるが! 時代の濁流を生き抜いた若き魂。著者が初めて幕末に舞台を設定した長編小説。
  • 虹の谷の五月 上
    3.9
    1~2巻715円 (税込)
    【第123回直木賞受賞作!】トシオ・マナハン、13歳。フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てる日々だった。奥地の「虹の谷」には元新人民軍のゲリラ、ホセ・マンガハスがひとり住みついて闘い続けている。そこへ行く道はトシオしか知らない。日本から戻ってきたクイーンを谷に案内したことから、トシオはゲリラたちの内紛に巻きこまれていく。直木賞受賞の壮大な少年の成長物語。
  • ショートソング
    3.9
    ハーフの美男子なのに内気で、いまだチェリーボーイの大学生、克夫。憧れの先輩、舞子にデートに誘われたが、連れていかれたのはなんと短歌の会!? しかも舞子のそばには、メガネの似合うプレイボーイ、天才歌人の伊賀がいた。そして、彼らの騒々しい日々が始まった――。カフェの街、吉祥寺を舞台に、克夫と伊賀、2つの視点で描かれる青春ストーリー。人気歌人による初の長編小説。
  • モバイルハウス  三万円で家をつくる
    3.9
    路上生活者の老人から啓示を受け、ノウハウを学んだ著者は、予算三万円足らずで「移動できる家=モバイルハウス」をつくりあげた。およそ二畳間大のモバイルハウスは、思いのほか、快適な空間だった。そして、土地とは何か、家とは何か、住むとはどういう営みなのか……等々、根源的な思考をうながしてきた。それは、小さいけれど壮大な、社会実験の装置だったのである。前著『独立国家のつくりかた』で提示された「一人で国をつくる」という思想は「一人で家をつくる」という実践から生まれた。著者の原点を余すところなく開示する、痛快なドキュメント。【目次】はじめに/一 実験の始まり/二 土地は一体誰のものか/三 モバイルハウスは家か、車か?/四 自力で家を建てるということ/五 多摩川文明を訪ねる/六 モバイルハウスをつくる/七 インフラを整える/八 駐車場を借りる/九 東日本大震災とモバイルハウス/十 モバイルハウスでの生活/十一 一つ屋根の下の都市生活/十二 モバイルハウスヴィレッジ計画/十三 新しい土地の使い方を考える/十四 家とは何か/おわりに
  • 原稿零枚日記
    3.9
    作家の“私”はなかなか思うように執筆がはかどらない。小説の取材で、宇宙線研究所や盆栽フェスティバルなど、様々な地を訪れる“私”だったが、いつも知らず知らずのうちに不思議な世界へと迷い込んでしまう。苔料理を出す料亭、海に繋がる大浴場、ひとが消えてゆくアートの祭典。これは果たして現実なのか。幻と現(うつつ)の狭間で、作家は日々の出来事を綴り続ける──。日記形式で紡がれる長編小説。
  • 恋は底ぢから
    3.9
    「恋は世界でいちばん美しい病気である。治療法はない」女子高生が一番いやらしいと断言できる訳について。結婚について。ご老人のセックス。いやらしいパパになる条件。清潔と身だしなみについて。親の心について。などなど。恋愛の至高の一瞬を封印して退屈な日常を生きる「恋愛至上主義者」中島らもの怒濤のエッセイ集。
  • 走るジイサン
    3.9
    頭の上に猿がいる。話しかければクーと鳴き、からかえば一人前に怒りもする。お前はいったい何者だ――。近所の仲間と茶飲み話をするだけの平凡な老後をおくっていた作次。だが、突然あらわれた猿との奇妙な「共同生活」がはじまる。きっかけは、同居する嫁にほのかな恋情を抱いたことだった……。老いのやるせなさ、そして生の哀しみと可笑しさを描く、第11回小説すばる新人賞受賞作品。
  • 鏡をみてはいけません
    3.9
    朝ごはんを一緒においしく食べられる人と住みたい――。そんな思いが叶って野百合は仕事で知り合った子持ちの律と同居をはじめるが…。10歳の宵太の世話をやき、元気の素の食事を作る暮らしはなかなか素敵で心弾む。が、ふとなしくずしに男の人生に取りこまれていくような不安を感じる。私はなぜここに居るのだろうか。女が美しさを求めて、自分の納得のいく居場所を模索する愛の長編小説。
  • 雨の塔
    3.9
    その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女――高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。
  • 黒塚 KUROZUKA
    3.9
    十二世紀末。鎌倉に追われる九郎坊と大和坊は、奥州の山中で妖麗な女が独居する藁屋に一夜の宿を請う。黒蜜と名乗る女は奥の間を覗かぬことを条件に逗留を許す。十九世紀、奥州山中の荒屋(あばらや)に宿を請うた男は、生首となって生きる九郎坊を奥の間に見る。さらに時代は流れ……九郎坊は高層ビルから廃墟と化した都市を見下ろしていた。永遠の命を生きる異形の者の、時空を超えて展開する愛憎と闘い。
  • 夢見るころはすぎない
    3.9
    退屈でなんにもないと思ってた。でも本当は、きらきらと輝くかけがえのない日々だった――。空振り続きの高校生活で、最後の学園祭に一発逆転のときめきを期待する女子高生。「一生処女でいようね」と誓ったオタク仲間の足抜けに、動揺する女子大生。理想と現実のギャップにもだえる、一途でキュートな女の子たちの青春6編。あのころのあなたが、きっとここに見つかる。(『「処女同盟」第三号』改題)
  • しょうがない人
    3.9
    バイクの無免許運転で捕まった父を交番に引き受けに向かうぼく。豪胆を気取っていても本心は気弱で家族にやっかいばかりをかける。しょうがない人-父親をうとましく思う反面、胸底には深い愛情をいだく息子の気持ちを軽快に描く表題作をはじめ、「非のうちどころのない球形」のメロンを求めて街を彷徨するぼくの、過去と現在が交錯する物語「メロンを買いに」など、繊細で豊かな傑作作品集。
  • 優しくって少し ばか
    3.9
    男は、いけない。女もいけない。いけない二人が一緒にいるから、なおいけない。けれど一人じゃいられない。答えは出ないと知りながら、次から次へと問題提起。重なったり、離れたり、擦れ違ったり、傷つけたり。危うい男と女の関係を縒り合わせて編んだ、問題の多い六つの中短編。第八回すばる文学賞佳作受賞作品を収録の、原田宗典の第一作品集。
  • 無伴奏
    3.9
    学園紛争、デモ、フォーク反戦集会。1960年代、杜の都・仙台。荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店で出会い、恋に落ちた野間響子・17歳と堂本渉・21歳。多感で不良っぽい女子高生と男からも女からも愛されるような不思議な雰囲気の大学生の危険で美しい恋。激しい恋をひっそりと見守る渉の特別な友人、関祐之介。三人の微妙な関係が引き起こす忌まわしい事件は、やがて20年後の愛も引き裂いていく。
  • いねむり先生
    3.9
    最愛の妻である女優と死別し、ボクは酒とギャンブルに溺れる日々にあった。そんな折、友人のKさんが、初めて人を逢わせたいと言った。とてもチャーミングな人で、ギャンブルの神様として有名な作家、色川武大(阿佐田哲也)その人だった。先生に誘われ、旅打ちに一緒に出かけるようになる。先生の不思議な温もりに包まれるうち、絶望の淵から抜け出す糸口を見出していく。自伝的長編小説の最高峰。
  • ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ
    3.9
    「注文の多い料理店」や「風の又三郎」など、誰もが知っている名作童話から生まれる、誰も見たことのない新しい“ミヤザワケンジ”の文学。世界の終わりとはじまり、夢と現実、生と死。すべてが曖昧になった場所で織り成される24編が、あなたの感性にかつてないほどの衝撃を与える。異能の作家・高橋源一郎の手によって開かれる、賢治にも描けなかった賢治ワールド。最強トリビュートの決定版!
  • 美ら海、血の海
    3.9
    東日本大震災発生から3日後、石巻に入った老人・真栄原幸甚(まえはらこうじん)は眼前の惨状に、60数年前、戦時下の光景を思い出す。1945年、日本は敗色濃厚。14歳、沖縄一中の生徒だった幸甚は、鉄血勤皇隊として強制的に徴用される。ついに米軍は沖縄へ上陸。激しい砲撃・爆撃に本島南部への撤退を余儀なくされた日本軍の道案内を命じられ、あまりに苛酷な地獄を見る! 慟哭の沖縄戦を描く異色の力作長編!
  • 妻の女友達
    3.9
    市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく…。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。傑作サスペンス6編。
  • 太陽のパスタ、豆のスープ
    3.9
    結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは“ドリフターズ・リスト(やりたいことリスト)”の作成だった。自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。相手の意見やその場の空気に流れていなかっただろうか。自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。
  • 強く生きるために読む古典
    3.9
    高校三年で肉体労働の現場に転がり込んだ著者は、一冊の古典を読む。ヘーゲルの『小論理学』だ。その哲学書は、日々の土木作業で疲れ切った若者に「未知の地平へジャンプするための勇気」を教えてくれた。正しい理解を目ざすのではなく、自分が生き延びる助けになるように本を読む。そのとき、難解・重厚と思われた古典は、人生を戦うための武器となり、仲間となる。いわば、生きるための読書だ。その実践記録である本書は、「未読の古典にチャレンジするための勇気」を私たちに与えてくれる。【目次】はじめに 「できそこない」のためのブックガイド/1 『失われた時を求めて』(プルースト)かけがえのない時間/2 『野生の思考』(レヴィ=ストロース)ゴミ捨て場からの敗者復活戦/3 『悪霊』(ドストエフスキー)もしも世界が一編の美しい文章なら/4 『園遊会(ガーデンパーティー)』(マンスフィールド)今日、リアルな死に触れて/5 『小論理学』(ヘーゲル)気がつくと見知らぬ土地に立っていた/6 『異邦人』(カミュ)夕暮れ、場違いな人/7 『選択本願念仏集』(法然)最低の人間に贈られた最高の方法/8 『城』(カフカ)成し遂げられていない物語/9 『自省録』(マルクス・アウレーリウス)春の季節に生まれいづ/あとがき
  • ヘッドライン(スクープシリーズ)
    3.9
    報道番組「ニュースイレブン」の記者、布施。素行の悪さに目をつけられながらも、独自の取材で多くのスクープをものにしてきた彼が興味を示した女子学生猟奇殺人事件は、警視庁捜査一課第二係、黒田の担当だった。警察も知らない事実を布施が握っているらしいと感づいた黒田は、彼に張り付くことを決める。記者と刑事、異色のタッグを組んだ二人は、やがて事件に潜む大きな闇の核心に迫って――。
  • 光媒の花
    3.9
    一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界――。認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄弟が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束……。心の奥に押し込めた、冷たい哀しみの風景を、やがて暖かな光が包み込んでいく。すべてが繋がり合うような、儚くも美しい世界を描いた全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。
  • 家鳴り
    3.9
    妻が際限なく太っていく─。失業中の健志を尻目に、趣味で始めた手芸が世間の注目を集め、人気アーティストとなった治美。夫婦の関係が微妙に変化するなか、ストレスとプレッシャーで弱った妻のために健志が作り始めた料理は、次第に手が込み、その量を増やして…(「家鳴り」)。些細な出来事をきっかけに、突如として膨れ上がる暴力と恐怖を描いたホラー短篇集。表題作を含む7篇を収録。
  • 彼方の声 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VI
    3.9
    かれん。……ああ、かれん。名前をはっきり思い浮かべるだけで、胸が焦がれて息が詰まる。逢いたかった。だけど、だめだ、まだ逢えない。いや、違う、もう逢えない─。いまだに悪夢にうなされる、傷心の勝利の前に現れた金髪の美少女アレックス。無愛想で、ワガママで、最悪の第一印象だった。彼女のすばらしい歌声を聞くまでは…。反目し合っていたふたりだが、やがて心を通わせるようになる。
  • 王妃の離婚
    3.9
    1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上がる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法廷サスペンス。第121回直木賞受賞の傑作西洋歴史小説。
  • 傭兵ピエール 上
    3.9
    十五世紀、百年戦争下のフランス。王家の威信は失墜、世には混沌と暴力が充ち、人々は恐怖と絶望の淵に沈んでいた。そんな戦乱の時代の申し子、傭兵隊を率いる無頼漢ピエールは、略奪の途中で不思議な少女に出会い、心奪われる。その名は――ジャンヌ・ダルク。この聖女に導かれ、ピエールは天下分け目の戦場へと赴く。かくして一四二九年五月六日、オルレアン決戦の火蓋は切られた……。
  • 恋する四字熟語
    3.9
    会いたいのに会いたくない「二律背反」、好きな男のメールを裏読みする「一言一句」、噂と高感度の謎に迫る「悪事千里」、三角関係の結末は「漁夫之利」、「完全無欠」の愛はあるのか……。恋愛短歌の名手が、恋と人生の不条理を122語の四字熟語にからめ軽やかに描く、前代未聞の恋愛四字熟語エッセイ。せつなく甘く、ちょっぴり辛口。
  • 七人の敵がいる
    3.9
    育児と仕事を何とか両立してきた、ワーキングマザーの陽子。息子の小学校入学で少しはラクになるかと思いきや、PTA・学童父母会・地域子供会などに悲鳴を上げる、想像以上に大変な日々が幕を開けた……。●入学早々、初の保護者会はPTA役員決めの修羅場に。空気を読めない陽子は、早速、敵を作ってしまう。「女は女の敵である」●仕事と子育ての両立に不可欠な、義母のサポート。“孫のためなら”の影に押しやられた本音は不満だらけ!?「義母義家族は敵である」など、笑いあり、涙あり、前代未聞の痛快ノンストップ・エンターテインメント!
  • インターセックス
    3.9
    「神の手」と評判の若き院長、岸川に請われてサンビーチ病院に転勤した秋野翔子。そこでは性同一障害者への性転換手術や、性染色体の異常で性器が男でも女でもない、「インターセックス」と呼ばれる人たちへの治療が行なわれていた。「人は男女である前に人間だ」と主張し、患者のために奔走する翔子。やがて彼女は岸川の周辺に奇妙な変死が続くことに気づき…。命の尊厳を問う、医学サスペンス。
  • 石川くん
    3.9
    「啄木の短歌は、とんでもない!」と糸井重里さんも驚嘆。親孝行で清貧という石川啄木のイメージは大誤解だった!? 本当は仕事をサボって友達に借金をしては女の人と……。そんなサイテーな、だけど憎めない「石川くん」をユーモラスに描いた爆笑エッセイ集。<一度でも俺に頭を下げさせた/やつら全員/死にますように>など、啄木の短歌には衝撃の現代語訳つき。朝倉世界一の可愛いイラストも満載。
  • 回想電車
    3.9
    深夜の電車に乗った男が遇った昔の恋人、同僚、かつて一期一会の出会いをした親子。一夜のうちに過去と未来が交錯して、その翌朝は……。不思議な時間軸で描かれた表題作ほか、孤独と愛と死、そして希望が見え隠れする、全9篇を収録。さまざまな人生の断片をたくみに映し出す、優しさとほのかな怖さを秘めた傑作短篇集。
  • 吸血鬼はお年ごろ(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.9
    女子高生の神代エリカ。高校生活最後の夏、エリカの通う女子高のテニス部員たちが、合宿中に喉を噛み切られたような傷を残し、失血状態で惨殺された。吸血鬼の仕業だ、という騒ぎの中、エリカは事件の解明に立ち上がる。実はエリカは「正統な」吸血鬼の父クロロックと人間の母の間に生まれた吸血族の一員なのだ……! 父と共に真相を追うが、犯人によってエリカの親友・みどりがさらわれて!?
  • 消せない告白 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season III
    3.9
    楽しい焼肉パーティー…のはずだった。オーストラリアから一時帰国した秀人さんを囲んだ、にぎやかな会が、一転激しい兄弟ゲンカに。さらに運の悪いことに、仲裁に入った勝利の頬に強烈なパンチが入った。顔面が腫れ、歯を失い、部活を休んだ勝利のもとを星野りつ子が見舞いに訪れ、これまでとは違う一面を見せる。一方、かれんはひとり悩みを抱えているが…。セカンドシーズン第3弾。
  • 約束 村山由佳の絵のない絵本
    3.9
    自分たちにできないことは何もないと信じていたあのころ。ケンカをしても、いたずらして怒られても、ただ一緒にいるだけで楽しかった……。子どもに読ませたい物語を大人になったいま、読んでみると、深いところで切なく心に響く。打算なくつきあっていた友だち、当たり前のように思っていた親からの愛情。自分の中にあった真っ白な心。村山由佳が子どもむけに発表した三篇の絵本を文字だけで再構成。
  • 東京大洪水
    3.9
    大型台風23号が接近。東京上陸はないとの気象庁発表。が、日本防災研究センターの玉城はコンピュータ・シミュレーションで24号と23号が合体、未曾有の巨大台風となって首都圏を直撃することを予知。要請により荒川防災の現場に入る玉城。設計担当者として建設中の超高層マンションに籠もる妻・恵子。残された子どもたち。ひとつの家族模様を軸に空前の規模で東京水没の危機を描く渾身の災害小説。
  • TSUNAMI 津波
    3.9
    東海大地震。起きる起きないが問題なのではない。それは必ず起きる。だから、今から何をしなければならないのか。独自のハザードマップを作り、地震対策に努める26歳の市役所防災課職員がいた。だが、大地震が連続して発生。空前の大津波が太平洋岸を襲う! そのとき恋人は、超高層ビルの建築主は、原子力発電所の職員は、自衛隊員は、首相は、どう運命と向き合ったのか!? 大迫力の防災サスペンス作品。
  • ZOO 1
    3.9
    1~2巻385~440円 (税込)
    何なんだこれは! 天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され――(「カザリとヨーコ」)。謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?――(「SEVEN ROOMS」)など5編をセレクト。
  • 空は、今日も、青いか?
    3.9
    長引く不況にあえぐ日本。広がる格差、減ってゆく子ども、増える自殺……生きることはますます窮屈になっている。けれど本当は、勝ち組負け組の線引きなんかに意味はない。きみはきみらしく、ゆっくりとすすめばいいんだ――。働くことや恋すること、趣味、子育ての話題から世界情勢まで、しなやかな視線で時代を切り取り、閉塞した「今」を生きる若者たちにエールをおくる。著者初のエッセイ集。
  • オー・マイ・ガアッ!
    3.9
    物語の舞台はアメリカン・ドリームの都・ラスベガス。友人に裏切られすべてを失ったお気楽中年男・大前剛、キャリアウーマンから娼婦に「転職」した梶野理沙、そしてベトナム戦争の英雄なのに落ちぶれたジョン・キングスレイ。人生くすぶりまくりのそんな三人が一台のスロットマシンで史上最高の大当たり5400万ドルを叩き出した! 笑って泣いて夢を見る、エンタテインメント大傑作。
  • プリズンホテル 1 夏
    3.9
    1~4巻495~660円 (税込)
    極道小説で売れっ子になった木戸孝之介の身内で、ヤクザの大親分の仲蔵が、温泉リゾートホテルのオーナーになった。招待された孝之介は驚いた。なんとそのホテルは任侠団体専用だったのだ。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ。さまざまな人たちがこのホテルで交差する。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家などなど、奇妙な人々が繰り広げる、涙と笑いの物語。シリーズ第一作。
  • お父さんのバックドロップ
    3.9
    下田くんのお父さんは有名な悪役プロレスラーの牛之助。頭は金髪、顔は赤白の隈取り、リングでみどり色の霧を吹く。そんな父親が下田くんはイヤでたまらない。今度は黒人の空手家「クマ殺しのカーマン」と対戦することになったのだ。父を思う小学生の胸の内をユーモラスに描く表題作。ロックンローラー、落語家、究極のペットを探す動物園園長と魚河岸の大将。子供より子供っぽいヘンテコお父さんたちの物語。
  • 夏と花火と私の死体
    3.9
    九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか? 恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作品。

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