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『巨人』『裸のマハ』等で知られる画家フランシスコ・デ・ゴヤ。1746年、荒涼としたスペイン北東部に生まれ、17歳でマドリードへ。下絵描きを経て、宮廷画家の地位を得るが……。大病や相次ぐ子供の死と、苦難に満ちたゴヤの82年の生涯を、数々の絵画・版画作品と共にたどる。著者の並々ならぬ情熱と、徹底した踏査に基づく長編評伝。第1巻では、ゴヤ40歳までを描く。大佛次郎賞・ロータス賞受賞の傑作。
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Posted by ブクログ
たまたまこの夏、NHKの「あの人に会いたい」という短い番組で、堀田善衛の肉声を聞く機会があったのですが、1998年に80歳で亡くなったはずですから、本来は高校生のころにあんなにいろんな講演会や座談会や討論会を聞きに回った私が、彼の声を知らないはずがないのですが、まったく記憶にありません。
気になるいま現在生きて活動する作家や思想家には、なるべく会って話を聞いておくこと。遠く離れたところからでもいいけれど、出来れば面と向かって質問なり質疑応答をして、彼や彼女の肉声から発せられた言葉をその内実に取り込んでより鮮明なものにすること。そうすれば、自分の頓珍漢な頭にも、少しは偉大な思慮の万分の一でも沁み通るかもしれない。
そんなことを勝手に思い込むようになったのは、父の高校生のときの友人の話を聞いてからです。
その人は、学業全般は成績も悪く頭のよくない劣等生という感じだったそうですが、何故か、こと数学となると現代数学の最新理論とかも独学で勉強していて、よく授業中などは先生を煙に巻いていたそうです。
ただ、どちらかというと厭世的で父などはいつ自殺するかわからないといって心配していたそうですが、あるとき思い立って、当時まだご存命だった数学者の岡潔に会いにいって話をしようということを提案したそうです。
このままでは落第もしかねなく、一生在野で趣味の数学をこねくり回すには惜しい人物とでも思ったのでしょう。その頃、数学だけではなく仏教にも造詣が深い現代の知性といわれる岡潔に会うことで、何らかの影響を受け身の回りの変化があるかも知れないと考えたのは確かなようです。
驚くことに、なんとその友人は岡潔の専門の多変数解析函数論や彼の考案した不定域イデアルも知っていて、父の策略などそっちのけで、一も二もなく喜んで会いに行ったそうです。
その結果は、見事に当たりました。ほとんどオール1の成績では大学進学もままならないことを知り、一年に満たない猛勉強の末に京大理学部に進学し数学者の道を歩んだそうです。
ほら、書物だけで著者に接しているのと違って、会うと何かが変わってくるでしょう。・・・少し短絡的ですが。
それはともかく、堀田善衛が1977年に書いたこの本は、単にゴヤだけでなく、ゴヤを通してスペインいやヨーロッパ全体を、キリスト教文化の奥底までを透徹した眼で凝視して描いた問題作です。
確かに信じられるのは、塩野七生のややプラグマティックな(本質的なものは違いますが、そういう傾向に喧伝されすぎているきらいがあります)視点と異なる、もっとより根源的な歴史を見据えた成熟した眼差しです。
この本を読み返すことで、私たちは未だ解決できないでいる、人間の関係性それに個人のこころの問題の糸口をつかめるかもしれません。
いやいや、そんなふうな参考書めいた読み方じゃなく、心底ゴヤという画家の、情熱的なドラマティックな人生を垣間見ることに熱中することだけで、喜びを感じる本かもしれません。
それからくれぐれも念のため、うちの妹のように、パッと見てホッタヨシエという名のお料理研究家が出した、「ゴーヤ」に関するお料理ブックと間違わないように、お願いしま~す。
Posted by ブクログ
画家というのは変わった人が多く、それ故に数奇な生涯を送る人が多い。
昔、ゴヤを主人公にした映画を見たことがあるが、内容をほとんど覚えていない。ただ、その生涯に興味を持って、小説にした人がいるのは事実のようだ。
著者は、ゴヤという人物の背景にあるスペインを描く。
当時、スペインという国はヨーロッパでは後進国だったようだ。国家とは呼べない単なる地域だったかもしれない。貧しい地域だったことは間違いない。
著者が描くゴヤという人物もあまり付き合いたくない人物だ。身勝手で、現生の出世欲が強い人物だ。こういう人物を著者が描いてみようと思った理由がよく分からない。その理由は、次巻以降で解き明かされるかもしれない。しかし、次巻を読むのは少し後にしたい。
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