作品一覧

  • 花咲く街の少女たち
    4.1
    1巻2,090円 (税込)
    十七歳の翠は浅草生まれ。私娼窟の玉の井で育ち、流れ流れて京城(現在のソウル)に来た。養父の口利きで、国語教師の家に世話になりながら女学校に通うのだ。下宿先には同い年の朝鮮人のお手伝い、ハナがいた。翠がなかなか彼女と距離が縮められずにいたところに、ハナの弟が行方不明になるというできごとが起こる。その日のうちに弟は無事に見つかるが、そんなことから翠とハナの間の日本人/朝鮮人の垣根が開いていく。そして翠には京城を訪れるひそかな理由があった。
  • 楊花の歌
    4.0
    1巻671円 (税込)
    1941年、大阪松島遊廓から逃走して、日本占領下の福建省廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。ヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。しかし、楊から秘密裏に課されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった・・・・・・。戦時下を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作!
  • 日月潭の朱い花
    4.1
    1巻2,200円 (税込)
    【第35回小説すばる新人賞受賞第一作】 デビュー作『楊花の歌』  Apple Books 2023年ベストデビュー作(歴史フィクション)第12回歴史時代作家協会賞新人賞部門候補  第3回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞候補 【東山彰良さん推薦!】 本当の自分への逃走はこんなにも輝かしい 25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。 誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつけたことから、ふたりの生活は一変する。 普段は引きこもっていたジュリだったが、その日記を書いた女学生の行方調査に夢中になり、やがて大きな謎につきあたった。 それは、70年以上前、深山に囲まれた日月潭という湖で起こったある少女の失踪事件だった。 遠い昔に姿を消した少女を探す旅は、いつしかふたりのアイデンティティを求める旅につながってゆく――。

ユーザーレビュー

  • 花咲く街の少女たち

    Posted by ブクログ

    朝鮮の少女とのすれ違いながらも心を通わせていく切ない話。
    標本の話とは重さは違うけど懸命に生きている戦争中の人々の話は現代の小説にはない重厚な、ずっしり感と戦国時代小説よりも読み応えのある気がする。この作者もこれからも追いかけていきたい作家の1人となった。

    0
    2025年10月02日
  • 花咲く街の少女たち

    Posted by ブクログ

    当時の歴史背景を全然知らずに読んだので、その事実を知って、複雑な気持ちになった。
    それでも、本当に美しい文章で物語が書かれていて終始引き込まれっぱなしだった。
    最後は、出会う人や街を通して大きく成長した主人公とハナが、また笑顔で再会できると良いなと心から思った。

    0
    2025年09月10日
  • 花咲く街の少女たち

    Posted by ブクログ

    ずっと、この物語好きだなぁと味わい噛み締めながら堪能した。戦前の東京の下町の娼婦街で育ちかりそめのお嬢さまとして日本統治下の京城で女学生になった翠と、翠の下宿先で子守として働く朝鮮人のハナ。民族、生まれ、親、立場、何もかも違う2人の少女の友情はたまた恋愛の物語。時代背景や民族差別や虐殺など息苦しくなる部分がありハナの、お嬢さまにはわからないと怒る気持ちに悲しくなる。分かり合えないと感じていた2人が惹かれ求め合い、過去の真実に辿り着いた瞬間には目から鱗だった。2人がまた再開できる明るい未来が待ち遠しい。

    1
    2025年09月06日
  • 日月潭の朱い花

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     衝撃の事実に驚いた。ミステリー仕立てで、足跡を追った末に知らなかった世界や感情が立ち上がってくるのが良かった。

     最後のKからの手紙には自分のことを知ってほしいと思う気持ちと、背景の違いからどうしても届かない悲しさともどかしさが綴られており苦しくなった。また、Kに自分を重ね合わせたジュリにとっては、秋子の足跡を追うことは過去を探すことではなく、自己を見つめることでもあったのだろう。
     積み重ねられてきた歴史の表層しか知らず、その裏で歴史に残らなかった一人一人がどんな思いをしてきたかは当事者でなければきっと完全にはわからない。自国が他国にしてきたことを直視せず、つい都合の良いところだけを見て

    0
    2025年07月19日
  • 日月潭の朱い花

    Posted by ブクログ

    日本統治時代の台湾で女学生が書いた日記を追うお話。過去調査ミステリって好きなんだよね。戦前の台湾って全然知らないからそこも面白かった。現代側の主人公サチコとジュリのもだもだした共依存関係も好き。近現代史を研究する大変さが詰まってるのも好き。

    0
    2025年04月29日

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