青波杏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
社会に抑圧を感じている私にとって、プスっと内側に針が刺さる話だったなぁ。
登場人物が「社会から逸れている」もしくは「今の生活に疲れている」人達ばかりで、誰もが主人公なんだと思える内容で…私だけかもしれないけど、もう読み終えた最後には登場人物全員に愛着が湧いちゃった。
この物語で私は、登場人物達と一緒に「自分を見つめる旅」に出掛けたけど、人生の問いは簡単に見つかる筈もない。これは作者が読者へ向けた物語の本質的な部分だと思う。
これは色々な人に刺さる物語だと思う。
最初は言葉にできない難しさがあるかもしれないけど、何度も味わってほしい作品。
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Posted by ブクログ
ネタバレ衝撃の事実に驚いた。ミステリー仕立てで、足跡を追った末に知らなかった世界や感情が立ち上がってくるのが良かった。
最後のKからの手紙には自分のことを知ってほしいと思う気持ちと、背景の違いからどうしても届かない悲しさともどかしさが綴られており苦しくなった。また、Kに自分を重ね合わせたジュリにとっては、秋子の足跡を追うことは過去を探すことではなく、自己を見つめることでもあったのだろう。
積み重ねられてきた歴史の表層しか知らず、その裏で歴史に残らなかった一人一人がどんな思いをしてきたかは当事者でなければきっと完全にはわからない。自国が他国にしてきたことを直視せず、つい都合の良いところだけを見て -
Posted by ブクログ
1941年、日本が占領していた中国の南の方、厦門が舞台。主人公リリーは日本人向けのカフェーで働いている日本人。実は日本人諜報員の暗殺を命じられたスパイ…という設定。一緒に作戦に関わることになるヤンファとともにすごすうちに、リリーはヤンファに強く惹かれていくことになります。しかしヤンファが任務に失敗した場合は、リリーが自らの手でヤンファを殺さなければならない…という緊張感が漂う状況です。そういったサスペンスフルな面だけでなく、読み終えたあとには深い感動が残っており、生涯の大切な作品の1つになるだろうな、と強く予感しました。再読しましたが、改めて同じように噛み締めています。
リリーの複雑な感情や -
Posted by ブクログ
日本統治下の台湾と現在の台湾を舞台にした物語。親日家が多いイメージだけど、日本統治下時代は平等な立場ではなく、支配者と従属者の関係であり多くの犠牲を強いていたことを忘れてはいけない。そして朝鮮の問題にも触れられている。決して堅苦しい内容ではなく、ミステリーやサスペンス、台湾の風習やグルメ、ファッション、サブカル、そして日常生活が生き生きと描かれており、複雑な環境で育った二人の心情も細やかに描写されていて読みごたえがあった。
先日読んだ『台湾漫遊鉄道のふたり』と同じく百合要素あり。日本統治時代の台湾と百合が重なってどうしても思い出してしまった。 -
Posted by ブクログ
1971〜72年の連合赤軍事件がモチーフの作品。
とは言え、この事件や学生運動を深掘りしたものではなく、女性たちの友情や青春を描いた希望の物語。
この事件については昭和の重大ニュースなどで何度も映像を見たことはあるが、あまり関心を持ってこなかった。
日頃ぼんやりと生きている私は、学生運動の意味をよく考えた事がないかも。
しかし、登場人物のひとりがどんどん傾倒していく姿を見て、その理由を知りたいと思った。
巻末の参考文献を頼りに少し調べてみようかな。
ストーリーは…
2024年、小説誌の編集部に届いた原稿には、学生運動が過熱した半世紀前、日本中を震撼させた事件で親友を亡くした大学生ジュン -
Posted by ブクログ
『楊花の歌』で小説すばる新人賞を受賞した著者の2作目。こんどは2013年の台北を舞台に、25歳の日本人女性と23歳の在日コリアンの女性とが、古道具屋で見つけたトランクに隠されていた女学生の日記を手がかりに、1941年の台中と日月潭で起きた本島人女性の殺人事件と日本人少女の溺死事件の謎に迫るというストーリー。小説の鍵となる場面で淡水の老街や紅毛城が舞台に取られていて、つい懐かしくなってしまった。
いささか教科書的な記述や展開が気になったけれど、それでも、現代の日本語の読者に帝国日本の支配と植民地主義の暴力、とくに女性に対するそれを主題化しようとする志の高さは特筆したい。2010年代のサチコ