アメリカ前大統領のトランプは以前、メキシコとの国境に壁を作ると宣言した。国境の壁といえばベルリンの壁であり、もはや冷戦時代の遺物というイメージ。
結局、様々な批判や問題があふれ、壁はできないまま、トランプは失職した。が、この壁発言によって、移民たちの侵入はアメリカ国内の大きな問題となっていることを
...続きを読む世界中が知ることになる。それどころか、中南米諸国で暴力と貧困から逃れたい人々にとって、壁ができる前に行動を起こさなければと、アメリカへの移住を後押しする結果となった。なんとも皮肉だ。
著者は何度も中南米を訪れ、徒歩やヒッチハイク、列車でアメリカを目指す移民たちの行動を取材。移民たちは入国審査がずさんな国に入り、そこから陸路でアメリカやメキシコなどの豊かで平和な国を目指していた。
そして、2018年。これまで国境を越えようとする人々は少数でひっそりと移動することが当然だったのに、1000人を超える人数が集団で行進をはじめた。それは聖書に記されるエジプト脱出の民「エクソダス」に例えられる。
今後、アメリカには、より多くの移民が堂々とやってくるのだろう。おそらく壁や軍隊などのリアルな力は役に立たない。「国境のない世界」を本気で考えるときなのかもしれない。