村山祐介のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
生々しい
責任者は権力者に忖度して、キャスターが朗読する系のニュースとは違って、現地で話を聞いた人の書いたものは生々しさがある。
地図の画像は、大き目の画面の方が良いかも知れない。
移民にしろ難民しにろ、一時の「自分は優しいんだアピール」の為に何かをして解決するものでもないし、どんなやり方でも正解と言えるものはない。
ただ、作品を読むことで知るは出来る。 -
Posted by ブクログ
朝日新聞をお辞めになって、そのあとのコロナ禍でどうしておられるのかと気になったら、なんとウクライナ取材をしておられた。なんとすごい!
戦時下の国で、自分の身を守りながら取材するためには、資金がかかるだろう、会社持ちでなくなってどうされているのだろうと心配になる。
地中海を小さなボートで渡るシリア難民の人々の記事などは読んでも、中南米からアメリカに行く移民、難民の人のことは、「トランプの壁」まではあまりにも無関心、この本を読むまではあまり考えたことがなかった。
自分の国、自分の家に安心して家族と住めない、殺される、選択肢なく、命懸けで国境を越えようとする人の姿は、そこまでの危機ではない日本の私 -
Posted by ブクログ
アメリカ前大統領のトランプは以前、メキシコとの国境に壁を作ると宣言した。国境の壁といえばベルリンの壁であり、もはや冷戦時代の遺物というイメージ。
結局、様々な批判や問題があふれ、壁はできないまま、トランプは失職した。が、この壁発言によって、移民たちの侵入はアメリカ国内の大きな問題となっていることを世界中が知ることになる。それどころか、中南米諸国で暴力と貧困から逃れたい人々にとって、壁ができる前に行動を起こさなければと、アメリカへの移住を後押しする結果となった。なんとも皮肉だ。
著者は何度も中南米を訪れ、徒歩やヒッチハイク、列車でアメリカを目指す移民たちの行動を取材。移民たちは入国審査がずさ -
Posted by ブクログ
何となく一本テーマの通ったノンフィクションかなと思って読んだんだけど、ポーランド・ベラルーシ国境から地中海イタリア、そしてウクライナ侵攻による国外脱出や国内のルポ、モルドバ、再びポーランド・ウクライナ、また地中海、チュニジア・イタリア、そしてジョージアと、著者の興味が赴くままに取材した雑多な地域の内容をまとめた一冊という印象で恣意的な感じを受けた。広い意味では「難民・移民」が通底しているけど、どうにもウクライナの問題だけが浮いて感じられて寄せ集め感は否めなかった。
もちろんルポとしての内容は大変貴重で、自身が足を運んでインタビューした人々の表情や言葉は素晴らしく価値があると思う。読み終えてみ -
購入済み
明日は我が身
フリージャーナリストの精力的なルポルタージュである。世界各地の移民難民たちの凄惨な状況をとても生々しく描き出している。同時に移民難民を受け入れる国々の人たちの葛藤も描き出していて、綺麗事は言えない という状況も大変によくわかるようになっている。残念なのは、このように世界各地で移民難民な発生する原因についての考察が見当たらない点である。我が国も目先は受け入れ側としての苦慮、将来的には国から逃れなくてはいけないような事態 を考えなくてはいけないのかもしれない。
-
Posted by ブクログ
村山祐介(1971年~)氏は、立教大学法学部卒、三菱商事勤務、朝日新聞社でワシントン特派員、ドバイ支局長、経済産業省・外務省・首相官邸等の担当、GLOBE編集部員、東京本社経済部次長等を経て、フリージャーナリスト。2021年からオランダのハーグ在住。
2017年からアメリカ大陸を舞台にした移民を追った取材を行い、朝日新聞日曜版GLOBEの特集で、「壁がつくる世界」(2017年10月)、「『野獣』という名の列車をたどって」(2018年3月)、「エクソダス 壁を越える移民集団」(2019年5月)の移民3部作を掲載。それらに加えて、ウェブメディアで掲載した関連記事をもとに、大幅に加筆・再構成したもの -
Posted by ブクログ
日本に住んでいて不平を垂れる人を見かけますが、今でも日本がどれだけ平和で住みやすいかを確認する事になる一冊です。同じ地球上で生きながらも生まれた場所、居る場所が異なるだけでこれだけの惨状を被る事になるとは。
米前大統領が壁を作る事に意欲的に取り組んでいたのも、本気半分/選挙・在職期間中の政治的パフォーマンス半分な気がしています。センシティブな問題な為に代表が長期的なアピールをする事は、火に油を注ぎ続ける事と同義であり、またこの現状を世界的に知って欲しい傍ら、知られてしまうと密航ルートが公になり余計な死体の山を築く事になりかねない、という二律背反が潜んでいる問題です。なので、この一冊でも描き切れ -
Posted by ブクログ
中南米からアメリカに渡る移民を追ったノンフィクション作品。こうした作品を読むと自分の全く知らない世界に驚かされる。
トランプ元大統領が掲げた国境の壁建設の公約。実際に壁建設に賛成していた人々は、国境から遠く離れた地域に集中していた。アメリカ人ですら知らない国境の実態、そしてその原因について鋭く切り込む本書の役割は大きいと思う。
こうした実態に日本が無関係というわけでもない。たとえば、本書では、エルサルバドルでのJICAの港湾建設や農村開発の取組について触れられている。こうした視点は、単にアメリカの国境の話が、アメリカとそこに隣接する国々だけの話ではなく、日本の開発援助の在り方にも大きく関係 -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカとの国境を越える、トランプ政権になり、大きな壁が立ちはだかる。野獣と呼ばれる列車に、飛び乗り、国境に向かう人々は、ホンジュラス、エルサルバドルのマラスという集団が国に影響を及ぼすところまで来ている。マラスに入らなければ殺すと脅され、一家を連れて逃げる。国境までの命懸けの逃避行。そこに同行した記者の目から見たレポートは、生々しい部分もある。色々、記者だからこそ言えないこともあるのかもしれないが、一日がどれだけスリリングなのか、そして、命を削る旅なのか、そのあたりももっともっと凄まじいものだったと想像する。深夜特急に感化された若かりし頃、思わずそのイメージで読んでしまったのが間違いだったか