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朝鮮事変を契機として、再び動揺しはじめた世界情勢のなかで、当時、日本の誠実な知識人は、どのような方向へと動かんとしていたのか――。日本脱出を夢みる木垣が、去就を決する、まさにその土壇場まで来て、初めて日本人としての自覚に到達しながらも、なおたゆたわざるを得ない孤独な姿を、清新なタッチで描きあげて、異常な感動を与えた、昭和二十六年下半期の芥川賞受賞作。
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Posted by ブクログ
1951年下半期芥川賞受賞作。佐藤春夫や川端康成等、選考委員の多くから高い評価を受けての受賞だった。物語の構造は、19世紀末フランスのユーモア作家アルフォンス・アレエの『腹の皮のよじれるほど』と同じ。今、聞いている物語が、まさにそのものだというもの。すなわち、私たちは読者であると同時に、まさにこの小...続きを読む説の生まれる瞬間に立ち会っている目撃者でもある。世界情勢の混沌としていた1950年を描くが、主題上の核となる言葉は、"commit"。おそらくはサルトルの"engagement"を作者流に受け止めた結果だろう。 なお、"commit"が、小説全体のキー・コードになっているのだが、同時にこの作品は、それが書かれた時代、及び時代精神に深く"commit"している。
朝鮮戦争が始まった時期の東京で、降って湧いたような軍事特需の中で慌ただしく新聞社で働く翻訳記者、内職で海外小説の翻訳もしている主人公・木垣がその時代や世相に否応なく巻き込まれ社会にcommitせざるを得なくなり、自身の魂を如何にして守るか・保ち生きていけるのかを悩み足掻く作品。やがて新たな自己の現実...続きを読むを創造する以外に道のないことを悟り、その一歩を踏み出す、それは題名にもある『広場の孤独』という小説を書き出そうとしたところで作品は終わる。絶妙且つ作為的、それはコミュニストかと疑われる同僚の記者に「御国」と名付ける企みからも明らかで、国の政治がいかに莫迦げて滑稽かということを表している。何だか出来すぎているようで、でもやはり見事な1951年度下半期芥川賞受賞作。
学校の課題として出されたため読んだのですが、正直私の年にはまだ早すぎたと思いました もう理解しなくてはならないのかもしれませんが 全体を通して話は一つなのですけれども、短編の連作のようにバラけていて焦点が上手く定まりません でもそこがかえってリアルで、主人公が、この混乱しきった時代の日本で生きている...続きを読む、ということを事実へと近づけているようでした この作品は政治色がかなり色濃く、文章の端々から作者の論理的な思考能力の高さ、頭の良さが見受けられます 今のゆとりを出た私たちの世代にはまだ理解できないかもしれませんが、知っておくべきことだと思うので、同世代の方に是非読んでもらいたいです
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