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作家の“私”はなかなか思うように執筆がはかどらない。小説の取材で、宇宙線研究所や盆栽フェスティバルなど、様々な地を訪れる“私”だったが、いつも知らず知らずのうちに不思議な世界へと迷い込んでしまう。苔料理を出す料亭、海に繋がる大浴場、ひとが消えてゆくアートの祭典。これは果たして現実なのか。幻と現(うつつ)の狭間で、作家は日々の出来事を綴り続ける──。日記形式で紡がれる長編小説。
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Posted by ブクログ
小川洋子が、数々の体験を日記という形で表現する不思議な雰囲気の小説。 宇宙線研究所の見学の後、F市の旅館の近くで不思議な苔料理を食べる。盆栽祭を見に行って、チャボを見る。近所の運動会に紛れ込み、父兄でもないのに観戦する。現代アートの祭典を見に行き、バスの集合時間に集まれなかったメンバーがひとりひと...続きを読むり消えていく…。 てっきり本気の日記でエッセイだと思いこんで読み始めたが(相変わらずあらすじは読まずに読み始めるのである)、旅館に向かうタクシーの辺りで気がついた。これは偽日記だ。そもそも「宇宙線研究所」って何だ? 小川洋子らしく、妙な生物のディテイルなどが細かく書かれているが、ドウケツエビなど、本当だかどうだかわからない解説が出てきたりする辺りが非常にらしい。 後半へ進むごとに、日記っぽい浅い表現がどんどん深くなていき、小説らしさが出てくるが、個人的には浅い淡々とした表現の面白さというものがもう少し味わいたかったと思う。吾妻ひでお「不条理日記」を思い出す。「くるむへとろじゃんのへろが!?」 そして何より、これを読んでいると、偽日記形式の小説が書きたくなってくるのだ。描きかけのイラストのように、読んでいるだけでアイデアが湧いてくる。決してガチガチに組み上がった小説ではない(ように見えるだけかもしれないが)。しかし、その未完成然としたところが良いのだ。 アイデアがわかないときのためにずっと手元においておきたい1冊である。
日記風の小説ですが面白かったです。 作家の「私」の奇妙な日々と、ひたすら原稿が進まないのがかわいいです。 再読なのですが、今回は、好きなエピソードの、現代アートの祭典を見に行くお話が、西岡兄妹さんの作品のように脳内再生されて、更に好きになりました。ガイドさんのしわしわぶりが千晶さんの独特な老人で表れ...続きを読むた、と思うとそのまま、あの世界に。楽しかったです。 眠れない夜に図鑑を写すお話も好きです。「光の射さない深海で、少しずつ自分を失ってゆくのはどんな気分だろうかと考える。」
小川洋子版、洋子in wonderland. 赤ん坊にまつわる描写が、まるで赤ん坊のむっちりした太ももを触っているかのようにリアルで生々しく、思わず傍らの我が子を見直してしまった。
ああ、これは恐ろしく美しい。とても美しい、という意味でもあるし、恐ろしくて美しいという意味でもある。 日常と異界と間にあるはずの境界がふと揺らいでなくなってしまい、頭では「逃げなくては」とわかっているのに目も足も動かない。美しさに釘付け。 『博士の愛した数式』ではなく『薬指の標本』の方の、ファンタジ...続きを読むーホラーな小川洋子。しかも円熟味を増して怖さに色気艶渋みが加わり、ある日ふと友人から「お前、最近痩せた?」と聞かれたら真っ先に「この本の精に取り憑かれたから」と思うくらい楽しんだ。 売れない中年独身女性作家が日々狼狽しこっそり人混みに紛れて誰にも気づかれないように何かしてくるだけの話しなのに。 見てはいけないもの、あってはいけないこと、それが「わたしだけ」の目の前に現れ他の人はまだ誰も気がついていない時の背徳感。本当はアンダーグラウンドで入手しないといけない小説です。
とある作家の日記。苔料理を食べ、小学校の運動会に忍び込み、あらすじを語り、生活改善課の職員はトランペットを吹き、現代アートの祭典では人が消えていく。 夢と現の狭間をたゆたう小川洋子ならではの作品でした。幻想的でありながら肉体的である筆致に圧倒されます。こういう世界に浸れるのも小説の持つ魅力ですね。
エッセイかと思って読み始めたのですが、苔料理が出てきたあたりから、あ、違うかも、と気付いた次第。果たしてこれは全くのフィクションなのか、それとも実は・・・。曖昧な境界線に立たされる読者の心を見事に翻弄しますね。なかなか書き進まないある女性作家の日常なのですが、白昼夢の中で迷わされ、独特の濃密で不穏な...続きを読む世界の底に沈んでいくような不思議な感覚を覚えました。様々な「荒らし」を行う彼女の隠された背景に、ぞくっとした震えを感じるのに、もっと覗いていたいという欲求にかられる空気は小川さんならではという感じです。
最初は小川洋子さん自身の日記なのかと思いながら読みました。途中で違うって気が付きました。タイトルから想像していたより哀しい話でした。いや、作家さんにとっては、このタイトルはとても哀しいのかな。私の夫に本のタイトルを見せたら、「一冊分の原稿が書けてるじゃん」と言われてしまいました。運動会や赤ちゃんのお...続きを読む相撲や新生児室に行く話は何だか本当にありそうだなあ。って感じました。
「最果てアーケード」「ことり」「いつも彼らはどこかに」「夜明けの縁をさ迷う人々」など独特の世界を醸し出す小川洋子さん、「原稿零枚日記」、2010.8発行。飛び飛びの、時に続いた26日分の日記をもとにした小説。入院中の母親を介護し、生活保護を受けている女性小説家の話。「健康スパランド」で、8歳の時死ん...続きを読むだ娘にそっくりで許されるならあなたの顔に触らせていただきたいとお願いされる日記。公民館の「あらすじ教室」の講師で、タイトルを聞いてパッとあらすじを語る日記。押しの強い生活改善課の人と盆栽祭りに行った話。印象大。
匿名
作者の分身と思われる主人公が、夢と現実の間を彷徨いながら、その心象風景をあらすじのごとく綴っていく。ひとつひとつの出来事をこまやかに言葉をえらんで綴っていく。適度なグロテスクさが小川洋子の真骨頂である。これ以上詳しく描くと気持ち悪くなる境い目のギリギリのライン上をうまく綱渡りしている。ずーっとひと...続きを読むりぼっちで人との交流がうまくいかないが、最後の後書き風日記の中で少年と心を通わせるところはひじょうに良い読後感をもたらしてくれる。 小川洋子の作品の中でもベスト3に入る出来である。
日常からいろんな世界に入り込んでいく。変な世界だけど、キレイに整理されていて、すっと入ってくると、いつも思う。不思議な心地。 「苔料理専門店」「ドウケツエビ」「あらすじ教室」「カワウソの肉球」「盆栽フェスティバルの桂チャボ」「子泣き相撲」「イトトンボの付け爪美女」どの話も魅力的。
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